5%はやっぱり遅れる? 米郵政公社は「配達遅れがち問題」を解決できるかSupply Chain Dive

米郵政公社は新しい配送サービスを開始する。統合ネットワークの導入によって、これまで遅れがちだった配達日を短縮するとしているが、それでも5%は事前に約束した日程では届かないようだ。

» 2023年08月10日 08時00分 公開
[Max GarlandSupply Chain Dive]

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 米郵政公社(USPS)は、「2023年7月9日(現地時間、以下同)に新しい配送サービス『USPS Ground Advantage』を開始する承認を郵政規制委員会(RPC)から得た」と6月26日に発表した(注1)。同機関は、コロナ禍真っ只中の2020年7月には、米下院民主党議員が「大統領選挙期間にもかかわらず、配達が遅れがちであることは容認できない」と同機関総裁宛てに書簡を提出されたこともあった(注2)。

統合ネットワーク導入でFedExやUPSと「戦える」か?

 USPS Ground Advantageは、既存の配送サービス「USPS Retail Ground」「Parcel Select Ground」「First-Class Package Service」に、返品オプションを加えたものだ。米郵政公社によると、これらの先行サービスと比べて料金が1.4%安くなる。

 「USPS Ground Advantageは本土全域に荷物を2〜5営業日で配達できる。よりリーズナブルな価格で、シンプルで信頼性が高いサービスを提供する」と米郵政公社は述べる。

 米郵政公社が現在進めている10カ年変革計画には(注3)、郵便と小包への統合ネットワークの導入が含まれている。米郵政公社のジャッキー・クラゲ・ストラコ氏(チーフコマース&ビジネスソリューションオフィサー)は「(統合ネットワークの導入によって)USPS Ground Advantageの実現が可能になった」と、2023年6月27日に米郵政公社のポッドキャストで語った(注4)。

 「統合ネットワークによって高い信頼性を確保できる。つまり、A地点からB地点まで2日で配達するサービスでは、95%以上の確率で2日で配達できる。USPS Ground Advantageは手頃な価格であるだけでなく、到着日が予測可能なため信頼性も高まる」(ストラコ氏)

 米郵政公社は、USPS Ground Advantageが人気のサービスになると期待し、ライバルのFedExやUPSと小包配送市場で競争することを目指している(注5)。同機関は10カ年変革計画を通じて、荷物収入が240億ドル増加すると見込んでいる(注6)。

 ストラコ氏は「既存サービスの合理化によって、荷主の混乱を軽減できる。同時に、他の運送会社が提供するサービスよりも競争力のある独自の地上輸送サービスを提供できる。現在、USPS Ground Advantageはフロリダの端からメイン州の端まで、あるいはフロリダの端からワシントン州まで5日間で配達できる。競合他社の地上部門と真っ向勝負できる」と語る。

 米郵政公社は、USPS Ground Advantageのサービス開始日である2023年9月30日までを猶予期間としている(注7)。猶予期間を設けることで、USPSが提供するサービスを利用している荷主の移行を容易にしたいと考えている。

 猶予期間中、米郵政公社はUSPS Ground Advantageに統合される全ての現行サービスを受け入れ、処理と配達をペナルティや査定なしで継続する。その後、荷主が新しい郵送規則を順守しなければ、コンプライアンス違反金を支払う必要がある。

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