ゼロ情シス企業はデータガバナンスとISMS対応をどう実践しているか脱ファイルサーバとリスク管理の課題を解決

情シス専任担当者がいない企業であっても重要データの管理には手を抜けない。専門家がいない中でどうすれば安全を確保できるのか。

» 2024年01月10日 08時00分 公開
[荒 民雄ITmedia]

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 ゼロ情シス企業だからといって機密情報を扱わないわけではない。事業運営上のリスク管理として「どこに機密情報があるか」は、どのような企業であっても把握していることが重要だ。

 社内情報システム運用の専任担当者不在の企業メトリックが、AIを活用したデータガバナンス強化を進めている。NetAppが2024年1月9日に発表した。

オンプレ/クラウドの機密データを自動で把握、運用を自動化

 メトリックは札幌市(北海道)を拠点とするITソリューション提供企業だ。従業員数は約50人で、社内情報システムの運用専任の担当者はなく、マネジャーやSE担当者が兼務している。

同社はすでにISMS認証を取得していたが「実態に即した適切な運用をすべく、独自のISMSを制定し運用」してきた。この取り組みの中で、人員が割けない中でもデータ管理とガバナンスを強化することを目的に、「NetApp Cloud Data Sence」を導入した。

 NetApp Cloud Data Senceは、AIアルゴリズムを使って非構造化データ/構造化データを問わずにオンプレミスでもクラウドでもデータを検出して自動でマッピング、分類が可能なデータマネジメントツールだ。ファイルストレージやオブジェクトストレージ、データベースなどに格納されているデータをスキャンしてプロファイリングする。

 プロファイリングでは、データの所有者やアクセス権限などの情報を収集し、データの中に電子メールドレスやパスワード、クレジットカード番号といった保護が必要なものがあるかどうかを分析する。分析結果を基に機密レベルと、どの業務データのカテゴリ(人事、法務、営業など)に該当するかを自動判定する。また、GDPR(EU一般データ保護規則)などで求められるデータ主体アクセス要求(DSAR)に対応したレポートも生成する機能も持つ。

 メトリックは同製品を利用して、機密性の高いファイルに対するアラート通知などの機能を生かして運用の自動化を進める計画だ。同社は現在、ファイルサーバを段階的に廃止し、データの保管場所をクラウド上の共有ストレージに一本化する取り組みを進めており、その移行に当たっても、ファイル配置構造の見直しに同製品の情報を活用している。

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