ITサービス事業は今後どんな方向に動くのか。どの領域のユーザーニーズが高まるのか。NTTデータグループの取り組みから探る。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)によってエンタープライズIT市場が大きく変化する中で、ITサービス事業は今後どのような方向に動くのか。どの領域のユーザーニーズが高まるのか。ITサービス事業者の国内最大手であるNTTデータグループが2024年8月6日に開いた2024年度(2025年度3月期)第1四半期(2024年4〜6月)の決算発表会見で、同社 代表取締役副社長 執行役員の中山和彦氏が説明した注力分野における動きから、その疑問に対する答えを探った。
NTTデータグループは2025年度(2026年3月期)の経営目標として、連結売上高4兆7000億円をはじめとする数値目標を掲げている(図1)。国内事業はNTTデータ、海外事業はNTT DATAが推進しており、売上高の割合は国内が約4割、海外が約6割となっている。
2025年度の連結売上高の目標達成に向けた戦略について、中山氏は次のように説明した(図2)。
「目標達成に向けて、日本や海外の各リージョンを横断的に支えるクロスファンクションを成長ドライバーに、アセットやソリューションの創出、データセンター需要の取り込みなどによって各リージョンの成長を後押しする。加えて、各リージョンでは既存ビジネスの拡大や生産性の向上、アセット活用によるデリバリー拡大とパートナーシップ強化などをベースに各リージョンでの取り組みを進める。このように、リージョンユニットの成長をクロスファンクションが支える形で、2025年度の目標達成に向けて取り組む」
筆者が注目したのは、「クロスファンクション」という言葉だ。同社ではその内容として次の5つの領域を挙げている。
これらのクロスファンクションを、日本ではテクノロジーコンサルティング&ソリューション部門、海外ではGlobal Technology and Solution Services部門が中心となって推進し、各リージョンでの展開を後押しするといった戦略だ。
そうした戦略の中で、中山氏が注力分野として挙げた4つの動きについて以下に紹介しよう。
1つ目は、生成AIへの取り組み状況だ。中山氏によると、「ソフトウェア開発における生産性向上の取り組み状況として、2023年度は製造と試験の工程を中心に自社での生成AIツールの普及を進め、140件で適用し、7%の生産性向上を実現した。今後は両工程に限らず、プロジェクトマネジメントを含む全ての工程で生成AIの活用を進め、適用案件数を2024年度で200件、2025年度には400件に増やして20%の生産性向上を目指す」とのことだ。(図3)
生成AIによってソフトウェア開発の生産性向上を図ることは、ITサービス事業にとって既に必須の取り組みとなっているが、注目されるのはプロジェクトマネジメントへの適用でどれだけ効果を上げられるかだ。プロジェクトマネジメントはプロジェクトに関するノウハウを結集する領域でもあるので、自動化率を高められれば、事業拡大に向けたインパクトは非常に大きいだろう。
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