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図1■常用雇用者規模別企業数

事例に学ぶ、マイクロソフトが提案する中小企業スマートオフィス

中小企業のIT化には、多くの難問が待ち構えている。だが、すでにその壁を乗り越えてITを見事に活用している企業もある。こうした事例から、中小企業が成功するためのIT化を学んでいこう。

 IT化の波はすでに、企業規模の大小にかかわらず押し寄せてきている。しかし、その乗り切り方は企業によってさまざまだ。大企業の手法をそのまま中小企業に当てはめても、うまくはいかない。さらにひと口に中小企業と言っても、その業態・規模はさまざまだ。ある企業に適切な手法が、別の企業に当てはまるとは限らない。難問である。

 ところがここに、この難問に正面切って取り組んでいる企業がある。それがマイクロソフトだ。本連載は、マイクロソフトが提案する中小企業向けソリューションを実際の現場で取材し、多くの具体的な事例を交えて紹介する。果たして、IT化を迫られている多くの中小企業にとって、マイクロソフトは救世主となりうるのだろうか?

わが国の企業の97%は中小企業

 ひとくくりに中小企業と言うが、中小企業政策の中核的存在である「中小企業基本法」によれば、「中小企業」は次のように厳密に定義されている(表1)。

 例えば製造業の場合、資本金3億円以下または従業員数が300人以下のいずれかに該当すれば、中小企業に分類される。業種によって基準が異なるため正確な数値を割り出すことは難しいが、この基準に照らす限り、従業員が50人以下であれば間違いなく中小企業ということになる。ここでは、もう少し緩く考えて、従業員100人未満の企業を中小企業としよう(300人以下を中小企業とする場合もあるようだ)。

 では、その割合はどの程度なのだろうか? 次のグラフをご覧いただきたい。これは、総務省統計局の平成16年の「事業所・企業統計調査」のデータをもとに作成したものである(図1)。

 このデータを見ると、従業員100人未満の企業は、じつに97.3%にも上る。もちろんこれは、資本金の基準は考慮していない。考慮すれば、この数値は限りなく100%に近づくだろう。

 この97%超の企業は、これまでIT化からは遠い存在と思われてきた。事実、多くの中小企業にとっては、「IT化=PC(パソコン)によるWordやExcelの利用」ではなかっただろうか?

 数年前なら、それでよかったかもしれない。しかし、PCの普及やインターネットによるビジネス環境の激変は、中小企業にとっても“待ったなし”の状況を生み出しつつある。もはや、「PC=文書作成機」では不十分だ。個人の生産性向上はもちろん、従業員同士の生産性を向上し、同時にセキュリティを確保し、企業力をアップするツールとして、PCを活用すべきなのである。「人がいないから」「コストがかかるから」あるいは「よく分からないから」と言って立ち止まっている余裕は、もうない。

中小企業のIT化に求められる7条件

 では、この97%超の企業にとってIT化の目的とは何だろうか。それは、スバリ「儲けるため」「勝ち残るため」の手段である。この手段はそのために、次に示す7つの条件を満たすべきだ。

条件1:導入が容易であること

なぜなら、難しい設定は分からないし、できないから

条件2:専門知識がなくても利用できること

なぜなら、詳しい人材がいないから

条件3:導入後、すぐに効果が現れること

なぜなら、効果が出るまで待つ余裕はないから

条件4:従来の資産が活かせること

なぜなら、WordやExcelで作ったデータが膨大にあるから

条件5:安全(セキュア)であること

なぜなら、セキュリティが企業の命運を左右する場合があるから

条件6:柔軟であること

なぜなら、人の異動や入れ替えが激しいから

条件7:低コストであること

なぜなら、ITに回せる資金はわずかだから

 これらのハードルをすべてクリアするのは、なかなか大変そうだ。しかし、まさにこれにチャレンジしているのがマイクロソフトなのである。そのために用意されているのがWindows Small Business Server 2003(以下、Windows SB Server)、GroupBoard ワークスペース、Windows XP Professional、Office Professional Edition 2003(以下、Office 2003 )などの製品群だ。これらを組み合わせることで、マイクロソフトは先の7つの条件を満たした各企業にとってのベストなソリューションを描こうとしている。以下では、マイクロソフトが提案する中小企業向けソリューションを、7つの条件に沿って検証してみよう。

検証 マイクロソフトの中小企業向けソリューション

 Windows SB Serverは、中小企業のIT化を進めるために必要とされている機能がすべて同梱されたWindows Server 2003ファミリーのサーバパッケージである。中小企業にターゲットを絞ったマイクロソフトの中核的・戦略的な製品と言ってよい。Windows SB Serverが想定する企業規模は次のとおりだ。

  • 従業員75名まで
  • クライアントPC50台以下

 Windows SB Serverの最大の特徴は導入の容易さにある。最も簡単に済ませるなら、Windows SB ServerがインストールされたPCにネットワークケーブルを挿し、それまでのWindowsネットワークに参加させるだけでよい。あとはGroupBoard ワークスペースを追加インストールしてユーザー登録するだけで、後述するGroupBoard ワークスペースによる情報共有が実現する。もちろん、Active Directoryを利用した、よりセキュアなネットワークも構築できるが、とりあえず導入するだけなら、難しい設定は一切いらない。

条件1:導入が容易であることをクリアー


画面1■Windows SB Server 2003のサーバ管理ウィンドウ。「ユーザー」や「バックアップ」など、作業ごとにアイコンで表示される


画面2■GroupBoard ワークスペース。ブラウザで利用できるグループウェアだ。ASP型のサービスも利用できる

 GroupBoard ワークスペースは、Windows Server 2003ファミリーが共通で持つShare Pointテクノロジーをベースとし、日本で独自に開発されたWebベースのグループウェアだ。Windows SB Serverを導入すれば、プラス数千円で購入できる。「サーバはまだちょっと」という場合は、外部業者にサーバ運用を委ねられる手軽なASPタイプも利用できる。

 行き先掲示板、伝言メモ、スケジュールなど、一般的なグループウェア機能を備え、Webパーツと呼ばれる「部品」によるカスタマイズもできる。使い勝手はすこぶるシンプルだ。より詳細はこちらの事例記事を参照していただきたいが、WordやExcelを使えるユーザーなら、特別なトレーニングをしなくても導入直後から業務に不可欠なツールとして活用できる。

条件2:専門知識がなくても利用できることをクリアー

条件3:導入後、すぐに効果が現れることをクリアー

 さらに、GroupBoard ワークスペースはOfficeとの連携機能を備えている。Office 2003を利用していれば、WordやExcelのデータ保存先としてGroupBoard ワークスペースを選択できる。もちろん、GroupBoard ワークスペースからファイルを直接読み込むことも可能だ。GroupBoard ワークスペースを利用することで、Officeデータが自然に共有できるようになるのである。

条件4:従来の資産が活かせることをクリアー

 目には見えにくいが、サーバ導入の大きなメリットはセキュリティだ。例えば、グループウェアの機能だけに着目すれば、外部業者によるASP型のグループウェアも選択肢になる。しかし、他社に知られると困る重要な書類データを外部業者のサーバで管理するのは、やはりためらわれる。暗号化などのセキュリティ対策が施されているとしても、インターネットという公共のインフラをデータが流れる事実に変わりはない。サーバを導入すれば、データが外に流れることはないし、必要とあれば、インターネットと物理的に切断することも可能なのだ。サーバを導入すればさらに、ユーザー、クライアントパソコン、プリンタ、FAXなどの資源を集中管理できるようになり、セキュリティレベルが大幅に向上する。ASP型グループウェアに比して、運用時の速度面でも有利だ。

条件5:安全(セキュア)であることをクリアー

 人の動きが激しいのも、中小企業の特徴だ。もちろん、成長によって社員が増えることもあるだろうし、その逆もあるだろう。部署間での人の動きも頻繁だろうし、必要に応じて社外協力者との連携も必要になる。それに伴って、1台のPCを交代で使用したり、外回りの営業マンのノートPCからアクセスしたりといった使い方も、必要になるかもしれない。

 このように変化する組織へ柔軟に対応するため、Windows SB Serverには「クライアント アクセス ライセンス(CAL)」という購入形態が用意されている。CALによって、必要なライセンスだけを必要に応じて追加できる。同様のライセンスは、Windows XPやOfficeにも用意されている。うまく活用すれば、プレインストールマシンを購入するよりもずっと低コストで、社内を同一バージョンのWindowsやOfficeに統一することも可能だ。その結果、コスト面だけでなく、セキュリティ面でのメリットも得られる。

条件6:柔軟であることをクリアー

表2■Windows Small Business Server 2003の価格
Windows Small Business Server 2003Standard EditionPremium Edition
スタンダードパッケージ110,000 円*1274,000 円*1
バージョンアップグレードパッケージ-109,000 円*1
プロダクトアップグレードパッケージ-165,000 円*1
*1価格はサーバ ライセンスと CAL 5 ライセンスをセットにしたパッケージ製品の参考価格。

 コストについてはすでに少し触れたが、そうは言ってもWindows SB Serverの価格表を見て安いと思われる方は、そう多くはないかもしれない。「オープンソース」という言葉をご存じならば、「オープンソースのソフトならば無料なのに」というつぶやきも聞こえてきそうだ。

 が、本当にそうだろうか? サーバのような基幹ソフトは、導入時のコストだけで高い/安いを判断することは合理的ではない。導入後の運用、メンテナンスも含めて総合的に判断しなければならない。

 あえて言えば、あなたの会社に、Linuxを初めとするオープンソース・ソフトウェアに精通したプロフェッショナルがこれから何年間も継続して勤務し続けるなら、オープンソースによるIT化も選択肢として考えてよいと思う。しかしそれでも、コスト面でのメリットがあるかどうか、やってみなければ分からないのが実態だ。一方、Windows SB Serverを中核とするIT化は、コストがはっきり見える。その1点だけとっても、現時点では、Windows SB Serverに軍配を上げざるをえない。

 とは言っても、「ない袖は振れぬ」のも事実だ。そのような場合でも、打てる手はある。例えば現在、社内のPCでWindows XP Professionalを利用しているとする。もしそうなら、コストをまったくかけることなく、社内のセキュリティレベルをアップすることができる。よろしければ、以下の操作を試していただきたい。

  1. [スタート]→[コントロールパネル]を選択してコントロールパネルを開く
  2. [パフォーマンスとメンテナンス]アイコンをクリックする
  3. [管理ツール]アイコンをクリックする
  4. [ローカルセキュリティポリシー]アイコンをダブルクリックする

画面3■[ローカルセキュリティ設定]ウィンドウ。Windows XP Professionalが標準で持っているセキュリティ設定用ツール

 以上で、[ローカルセキュリティ設定]ウィンドウが表示されるはずだ。これはWindows XP Professionalに標準で用意されているツールで、パスワードの長さや有効期間を設定できる。初めてご覧になった方も多いかもしれないが、このツールを利用してこれらの項目を適切に設定すれば、社内にあるPCのセキュリティレベルを大幅にアップできるのである。さらにXP Professionalには、データを暗号化したり、ファイルへの不正なアクセスのログをとったりする機能も用意されている(残念ながらHome Editionにはこれらの機能は用意されていない)。詳細は、後日の事例で詳しくリポートする予定だが、社内のOSをWindows XP Home EditionからProfessionalにリプレースするだけで、セキュリティレベルを大幅に強化できた例が、実際にあるのだ。

条件7:低コストであることをクリアー

 さて、先に挙げた7つの条件が、すべて揃った。もちろん、以上は机上のこと。現実はそうスマートにはいかないだろう。そこで本連載では、Windows SB ServerやGroupBoard ワークスペース、Windows XP Professional、Office 2003 などを用いて実際にIT化を推進している中小企業への取材を行い、その実態を浮き彫りにする。中小企業の経営者、IT担当者の方々には、ぜひ注目していただきたい。

[井上健語(ジャムハウス), ITmedia]

提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局/制作:ITmediaエンタープライズ 編集部/掲載内容有効期限:2006年6月30日