GroupBoardの機能がムービーで紹介されている


写真1■山津一也氏


図1■システム構成図


写真2■谷吉将氏


画面1■Windows SB Serverはファイルサーバとしての機能も提供。グループボードを使えば、メンバー全員で使うファイルを、わかりやすいインターフェイスで共有できる


画面2■グループボードにアクセスして、受信FAXを開いたところ。FAX機能では、受信・送信したFAXが日時順に整理されているので、過去のFAXを容易に取り出せる

既存の共有ファイルサーバよりも現場から好評のGroupBoard

Windows SB ServerとGroupBoardにより、事業部の情報共有と業務効率を改善させた神田株式会社クオリティー事業部。システムのインストールと設定は専務が担当、その使いやすさで現場担当者からも好評を得ている。本システムの技術的な特徴と機能を見ていこう。

従来はWindows2000 Serverをファイル共有サーバで使用

 前回の記事では、神田株式会社クオリティー事業部における「Windows Small Business Server2003」(以下Windows SB Server)と「GroupBoardワークスペース」(以下グループボード)の導入効果をビジネス観点から検討した。今回はWindows SB Serverとグループボードの構成について、技術的な特徴を見ていこう。

 同事業部ではWindows SB Server導入以前からも、いくつかのWindows Server製品を利用していたという。まず、クオリティー事業部が開発しているタクシー会社やゴルフ場向けのシステムはWindows Serverをベースにしているため、これらのシステム開発検証用としてWindows Serverマシンを1台割り当てていた。

 このほかに業務用のサーバもある。具体的には、クオリティー事業部のウェブサイト用のウェブサーバのほか、ファイル共有サーバだ。ウェブサーバ、ならびにファイルサーバ用のプラットフォームとしては、10年前にWindows NT4.0 Serverを導入。その後Windows 2000 Serverにバージョンアップした。

 「サーバ内には個人フォルダと共有フォルダを用意しており、開発途中のデータなども個人のパソコンとサーバの両方に残すことを徹底することで、情報の一元化を図っています」(システム開発部部長 山津一也氏 写真1)という。

担当者がいない時には節電のために個人用パソコンの電源を落とすように定められているが、サーバにデータを置いておけば、いつでも必要なデータにアクセスできるからだ。

インストール後、既存ネットワークに問題なく接続

 こうした社内環境に、今回新たにWindows SB Serverが加わることになった(図1)。 神田株式会社 代表取締役専務 谷吉将氏(写真2)は「といっても、特に複雑な作業が必要だったわけではありません。安価なサーバ用のマシンを購入し、社内LANで使用しているハブに接続、Windows SB Serverをインストールするだけでした。インストール作業は、Windows SB Server付属のマニュアルを見ながら私自身で行いました」という。「勘違いして自分のアカウントをたくさん作ってしましたが、大きなトラブルもなくWindows SB Serverのインストールは完了しました。Windows SB Server上で動作するグループボードもあっけないほど簡単に稼働。FAXサーバ機能も問題なく動き始めました」(谷氏)。

 Windows SB Serverをインストールしてから2週間ほど、谷氏と山津氏の2名だけでテスト運用し、グループボードの使い勝手を確かめた。ここでも大きな問題は起こらず、その後事業部全員での利用へと移行。トレーニングについてはユニークな工夫を凝らした。

 「マイクロソフトのグループボードの紹介ページには、使い方を紹介した動画ファイルが置かれています。このファイルをダウンロードし、パソコンにプロジェクタを接続してみんなで上映会をやりました。いちいち会議で話したりするより、あれを見てもらうのが早いだろうと。動画の説明がすごく分かりやすくて、みんなも納得してくれましたね」(山津氏)

外出先からもGroupBoard上のスケジュールを確認

 以上のように、クオリティー事業部では、3つのサーバを使い分けている。Windows 2000 ServerとWindows SB Serverはそれぞれ別のドメインを設定。理想的には、ファイルサーバもWindows SB Serverに移行しドメインを統一すれば拡張しやすくなるが、「現在のところは2つのサーバにログインするためのIDとパスワードを共通化しておくことで、使い勝手を向上。エンドユーザーがサーバの違いをあまり意識せずに済むよう工夫しています」(山津氏)という。

 さらに同事業部では、インターネット回線にOCNの光サービス(OCN光アクセス IP8)を導入。光回線は、ヤマハ製のブロードバンドルータにつながり、さらにハブを経由して社員のクライアントパソコンに接続されている。

 ここでのポイントは、固定IPアドレスを割り当てられる光アクセス IP8を利用していること。これにより、外出先からでも、ウェブブラウザにIPアドレスを入力すれば、社内のグループボードへアクセスできる。またブロードバンドルータのVPN機能によって、データを暗号化しているので、安心して社外から情報を確認することができる。ちなみに、Windows SB Server自体に備わっているVPN機能を使っても同様の処理が可能だ。

 Windows SB Serverの管理は山津氏が行っているため、月間の運用コストはインターネット回線とサーバの電気代だけで済み、TCOを抑えているという。

Windows SB ServerのFAXサーバ機能でペーパーレスに

 同事業部ではグループボードの各機能を社内情報共有として利用しているが(前編参照)、これ以外にも大いに活用している機能がある。それがWindows SB Serverにある「FAXサーバ機能」(下記コラム参照)だ。

 企業における電子メールの普及率は上がっているといわれているが、やはり「企業間のやり取りではまだまだFAXが使われています」(山津氏)というのが実際のところ。Windows SB Serverは、FAXを受信してサーバ内に保存する機能を持つ。保存されたFAXデータは、グループボード上から誰でも閲覧可能だ(画面1)。

 「出張先からグループボードにアクセスしてFAXの内容を見ることができるので、営業は特に喜んでいますね。出先にプリンタがあれば、紙に印刷することもできます」(山津氏)

 こうした情報共有以外にも、FAXサーバ機能は思わぬ効果をもたらしている。これまでは大量の広告FAXに悩まされていたそうですが、Windows SB ServerのFAXサーバ機能を使うようになり、紙を大幅に節約できるようになったのだ。

 FAXの送信機能についてはどうか。

 谷氏によると、「FAX送信機能は今のところ私と山津の2人しか使っていません」という。「ほかの社員は、今まで使っていたFAXをそのまま使っています。しかしFAX送信機能を使えば、出先のFAXをプリンタ代わりに使えるという利点もあります。外から社内のサーバにアクセスして必要な書類を開き、近くにあるFAXへ送信するといった使い方も可能です」(谷氏)

パソコンに不慣れな社員も積極的にGroupBoardを活用

 もちろん中には、自社でサーバを導入することに敷居が高いと感じる人もいるだろう。しかしクオリティーの例を見ればわかるように、Windows SB Serverの導入作業は決して難しいものではない。現在、すでに社内LANを利用している場合も、Windows SB Serverを追加するのは簡単だ。

 またシステム導入に当たっては、管理者以外の社員が使いこなせるかどうかも大きなポイントになる。これについてクオリティーでは「動画デモを見るくらいのレクチャーで済みました」(山津氏)という。

 山津氏によれば、あまりパソコンに詳しくない女性社員でも「グループボードに書類のテンプレートをアップしておきましたから、見てください」などと、自分から言うようになったそうだ。「これまでのファイル共有サーバは開発者にしか使われていませんでしたが、グループボードでは抵抗感なく使えているそうです」(山津氏)

 前編でも述べたように、社内での情報共有は、企業にとってこれから命運を分ける分岐点となっていくだろう。しかし、それを実現する環境を作るのに工数がかかったり、日常の操作に社員が戸惑うようではスムーズな情報共有は不可能だ。社内環境へスムーズに導入できること、そしてすぐに使い始められること。グループウェアによる情報共有を成功させるには、この2つのポイントが大きな意味を持ってくるのだ。

Microsoft 共有FAXサービス
 Windows SB Serverには、1本の電話回線をユーザー全員で共有できる「Microsoft 共有FAXサービス」機能が備わっている。
 受信されたFAXは、本文中でも説明しているようにグループボードで閲覧が可能。また、自動的に指定したプリンタで印刷したり、電子メールとして受信できる。
 またエンドユーザーは使い慣れたWordやExcel(印刷機能のあるアプリケーションなら何でも)から、「印刷」を選び、プリンタとして「Microsoft 共有FAXサービス」を選ぶだけでFAXを送ることができるので、FAX送信もパソコンを通じて手軽に行えるようになる。紙を使ったFAXに比べて圧倒的に鮮明な印字になる上、送信したFAX内容・履歴をあとから参照することも可能だ(画面2)。

[山路達也, ITmedia]

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企画:アイティメディア 営業局/制作:ITmediaエンタープライズ 編集部/掲載内容有効期限:2006年6月30日