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» 2001年03月30日 12時00分 公開

第2章  リレーションシップ・マーケティング、メソドロジーの枠組みeCRM実現のためのメソドロジー入門(2)(2/2 ページ)

[松尾順,@IT]
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 「リレーションシップ・マーケティング」をシステム・アプローチの視点で定義すると、どのようなシステムと呼べるでしょうか?

 答えは、「“優良顧客を創造する”という機能を持つシステム」優良顧客を創造する”という機能を持つシステム」です。

システムを構成する「下位システム」

 では、機能として、このシステムに投入されるべきインプットは何でしょう? それは「非顧客(ノン・ユーザー)」です。一方、アウトプットは「優良顧客(ロイヤルユーザー)」、すなわち高い顧客ロイヤルティを持つ顧客であり、繰り返し商品を購入してくれたり、周りの人に商品購入を勧めたりしてくれる、ありがたいお客さんです。これをホッパー図で表してみます(図2)。

レーションシップ・マーケティングのホッパー図 図2 リレーションシップ・マーケティングのホッパー図

 この「優良顧客を創造するシステム」は、次の4つの要素、すなわち「下位システム」から構成されています。

  • 「マーケティング・システム」
  • 「セールス・システム」
  • 「エクスペリエンス・システム」
  • 「カスタマー・サービス・システム」

下位システムにおける「インプット」と「アウトプット」

 上記の下位システムそれぞれにインプット/アウトプットがあります。各下位システムの機能とインプット/アウトプットを表にしてみました(表1)。

下位システム
機能
インプット
アウトプット
マーケティング・システム
見込み客を創造する
非顧客
見込み客
セールス・システム
購入客を創造する
見込み客
購入客
エクスペリエンス・システム
満足客を創造する
購入客
満足客
カスタマー・サービス・システム
優良顧客を創造する
満足客
優良顧客
表1 下位システムにおけるインプットとアウトプット

 こうして見ていただくと、普段何気なく使っている「マーケティング」や「セールス」「エクスペリエンス」「カスタマー・サービス」といった概念の目的が、スパッと一言でいえることがお分かりでしょうか(「エクスペリエンス」というのはそれほど使用しませんが、ここでは、商品やサービスを購入後、実際にそれを消費・利用することを意味します)。

  • 「マーケティングとは、『見込み客の創造』である」
  • 「セールスとは、『購入客の創造』である」
  • 「エクスペリエンスとは、『満足客』の創造である」
  • 「カスタマー・サービスとは『優良顧客』(ロイヤルユーザー)の創造である」

 さて、今度はこれら4つの下位システムを図2のホッパー内に入れてみます(図3)。

下位システムを含めたホッパー図 図3 下位システムを含めたホッパー図

 こうして図にしてみるとリレーションシップ・マーケティングの全体としての機能である「優良顧客を創造する」ということに対して、各下位システムがそれぞれの役割・働き、すなわち「機能」を有する、統合された仕組みであることがお分かりになると思います。

まつおっち先生の“ココがポイント”

各下位システムのアウトプットが、その次に続くシステムのインプットになっている点に留意しよう


もう1つの下位システム「分析システム」

「分析システム」のホッパー図 図4 「分析システム」のホッパー図

 なお、リレーションシップ・マーケティングに欠かせないもう1つの下位システムに「分析システム」があります。分析システムの機能は、顧客を意味のあるセグメントに分けることです。ですから、インプットは「セグメントされない顧客」であり、アウトプットは、「セグメント化された顧客」となります(どちらも非顧客を含んでいます)。

 この分析システムは、ほかの下位システムそれぞれに対して、「セグメント化された顧客」というアウトプットを供給する関係にありますので、図3のホッパー図には入れず、別枠でお話しすることにしています(図4)。

  さて、第3章以降では、本章で示した枠組みに沿って、各下位システムの仕組みを具体事例やそれぞれの下位システムに適用可能な各種ソフトウェアをご紹介しながら詳しく説明していこうと思います。

まつおっち先生の“ココがポイント”

これが、eCRM実現のためのメソドロジーの全体像である。このメソドロジーは、リレーションシップ・マーケティングにおける各種広告・プロモーション施策を立案・実施したり、eCRMソフトウェアを導入したりする場合の枠組みとして活用するためのものであり、マーケティングとITを結びつけるための共通の土台ともいえる


<参考文献>
『システム設計思考法』(高橋輝男著、白桃書房刊)
『システム思考とシステム技術』(五百井清右衛門ほか著、白桃書房刊)

本文中に「まつおっち先生の“ココがポイント”というコーナーがでてきますが、「まつおっち先生」とは、筆者の松尾氏が仲間内では“まつおっち先生”と呼ばれて いることに由来しています。


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