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» 2005年09月16日 12時00分 公開

事例で学ぶビジネスモデリング(4):企業の健康を診断する「業務分析」〜IT技術者のための戦略・業務分析入門〜 (3/3)

[大川敏彦(シニアコンサルタント),ウルシステムズ]
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業務分析作業は誰が行っているか

これまで、健康法を引き合いに出しながら業務分析の進め方を説明してきた。実際の現場では、このような業務分析作業は、通常誰が行っているのだろうか。

 社内のシステム企画部門が各部署を主導して行うのが本来の姿だが、必ずしもそうとは限らない。実際は、システム企画担当者が自分の頭の中だけで行うケースも少なくない。外部に委託する場合でも、戦略コンサルタントが戦略プロジェクトの下流工程として実施したり、SIerが請負開発のプリセールスとして安価に実施する程度である。

 しかし、戦略立案フェイズから見ると、苦心して立案した事業戦略を「どのように」実現するか(戦略に対してはHowに当たる)を決める作業である。またシステム構築フェイズから見れば、「なぜ」あるいは「どんな」システムを構築するのか(システムに対しての「Why」「What」に当たる)を決める重要な作業である。このように、業務分析はシステムを活用して経営課題を解決するための“要”ともいえる重要な仕事である。従って、システムによって経営課題の解決を実現したいなら、業務分析にコストやリソースをかけて取り組むべきだ。

IT技術者こそが業務分析の主役になるべき

 さて、この業務分析は誰が主体的に行うべきだろうか? 私はIT技術者こそが最もふさわしいと考えている。なぜなら、作成した新業務モデルをそのまま、システムの要件定義へとつなげるためには、ITに関する深い知見が必要になるからだ。当然のことながら、IT技術者は施策の重要な実現手段であるIT技術に精通している。優秀な技術者がITに関する深い知見を懐に持ち、経営の視点を踏まえながら第三者の立場で業務分析を行うことが、企業経営に真に貢献するシステムの実現につながるだろう。IT技術者こそが、業務分析の主役になるべきだ。


 実際の業務分析作業は、人や業務といったあいまいかつ複雑なものが相手であり、通り一遍の教科書的なやり方でうまくいくものではない。また、単に業務モデルを描くだけの作業でもない。例えば、トップ主導で業務分析を行ってきて、人件費効率化のための施策を立案し、新業務フローに表現したとする。それをいざ社内に展開しようとしたら、現場からものすごい抵抗を受けてしまうことだってあり得る。それを避けるためには、施策立案時に、その施策の目的や、どのように実現するのかなどを、現場サイドともよく話し合って合意しておくことが必要だ。

 実際の業務分析作業は、何よりも経営サイドや業務担当者、システム部門などさまざまな利害関係者に対するバランス感覚が大切であり、それらを考慮してあるべき業務の姿を描いていくことに業務分析の難しさがあり、まただいご味がある。

 次回以降、具体的な業務分析の事例を紹介する。

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