日々の運用であなたは何に悩んでいますか?目指せ! ネット時代の幸せな管理者(1)(2/2 ページ)

» 2007年07月24日 12時00分 公開
[川村 聖一, 仲西 亮子, 山崎 佑司,@IT]
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複雑化と分業化が進む現場

 システム管理者は、なんでも屋。そういったイメージが定着していた時代もありました。パソコンのこと、ネットワークのこと、はたまた、業務アプリケーションの使い方まで、ITのことなら、すべてシステム管理者に聞いてみよう。そういった環境の中で、システム管理・運用を行ってきた皆さんも多いことと思います。

 そんなシステム管理の現場は、近年、2つの方向に向かってきているのではないかと考えています。

 1つは、複雑化の方向。次々と現れてくる新技術、新製品の波。技術はどんどん複雑に、難しくなってきています。それらを、ひとつひとつ学び、理解し、有用性や実現性を吟味し、お客様やユーザーへ説明しなければなりません。そのスピードが速まるにつれ、システム管理の現場への負担は大きくなりますが、それにも増して、ユーザーからの新しい機能への要望、内部統制やコスト削減などを含めた経営層からの期待も、さらにスピードを増しているのが現実です。

 もう1つは、分業化の方向。多くの企業で、ITへの依存度が高まるにつれ、システム管理の現場も、専門分野に特化したチームへの分業が進んでいると思います。また、アウトソーシングを利用した運用を行っている企業も多いことでしょう。

 このような状況の中では、システム管理者は、自らの専門性を高めることはもちろんのこと、チーム同士のシナジー効果を発揮するために、隣の畑の知識を身に付けることも必要です。

 こう考えてくると、システム管理者が考えなければならないことは、ますます増える一方です。しかし、皆さんが悩んでいるさまざまな問題を、実は隣の企業のシステム管理者も同じように悩んでいたりするものです。

 この連載では、皆さんが日々悩んでいるシステム管理の現場に、ピリッと効くようなトピックを取り上げながら、運用の現場を盛り上げていくお手伝いができたら、と思っています。

[この項の執筆:山崎 佑司]

日々の運用でアタマを悩ませるもの

 どこの企業も、システム管理の現場では問題が山積していると思います。障害、システム増強、そういった問題に直面している最中にも発生するウイルスやソフトウェアの脆弱性問題……。最近では会社の統合や、分割などによるドメインの統廃合、拠点の変化などもあるかもしれません。こうして残された問題に手を付けられずにいる間にも、新たな問題が山積していくという状況は、システム管理の現場でよくあります。この記事を読まれている読者の皆さんの会社に限った問題ではありません。本当に多くの企業の中で発生している問題なのです。

 私自身、エンタープライズのアウトソース分野に注力したiDCで数年間働いていますが、多くのお客様が悩まれているポイントや障害の類似性を日々、感じています。

 システム管理の現場は非常に厳しい状況にあると思います。何かにつけて、「計画通りに動くのが当たり前」「ダウンしないのは当然」といわれてしまいます。インターネットが社会のプラットフォームであるように、読者の皆さんが管理されているシステムは、それぞれの会社のプラットフォームなのだと思います。こういった現場の中で、辛さの中にも会社を支えているという自負を持って運用することは非常に重要だと思います。

 ただし、自負だけでは障害をはじめとした問題点の解決にはなりません。多くのシステム管理者の皆さんが悩まれている点、直面している問題について、私なりの考えや運用のコツのようなものをこの連載でお伝えして、皆さんの日々の運用のちょっとしたヒントになればと思います。

[この項の執筆:仲西 亮子]

著者紹介

▼著者名 川村 聖一

2001年 日本電気株式会社入社。キャリア営業、法人顧客SEに従事。

2004年 同社ISP部門へ異動。ISPネットワーク設計・構築、新技術導入、ISMS取得に従事。

2006年 NECビッグローブ株式会社へ出向。法人向けアウトソースサービスのコンサルティング・設計・運用を担当。Internet Weekプログラム委員。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 仲西 亮子

2000年 三井情報開発株式会社(現:三井情報株式会社)入社。

2000年 外資系ISPの技術部へ出向、IPアドレス管理やドメイン名管理業務に従事の後、同社iDCのバックボーン運用業務従事。

2002年 三井情報開発株式会社でiDC事業開始と共に出向解除。同社でASの管理・運用業務に従事。

2005年 同社のiDC事業部がMKIネットワーク・ソリューション株式会社として子会社化。これに伴い、MKIネットワーク・ソリューションズ株式会社へ出向、現在に至る。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 山崎 佑司

1999年 ソニーシステムデザイン株式会社(現:ソニーグローバルソリューションズ株式会社)入社。ソニー本社をはじめとした、大規模エンタープライズネットワークの設計、構築、運用を担当。

2001年 ソニーグループのショールームや、ソニーグループが主催する各種イベントにおけるネットワークシステムの企画、設計、構築、運営を手掛ける。

2003年 ソニーグループiDCのネットワーク運用業務に従事。データセンターインフラの設計、構築等の業務を行う。

2006年 テオーリアコミュニケーションズ株式会社入社。システムインテグレーション全般を担当する。

2007年 JANOG運営委員として活動。


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