[メラノックス]次のデータセンター接続技術は何かストレージ関連ベンダ それぞれの戦略(13)(2/2 ページ)

» 2007年12月18日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]
前のページへ 1|2       

――結局のところ、主力技術としてはInfiniBandを推していこうということですか?

 はい、InfiniBandの市場はこれからもどんどん拡大していきます。それはイーサネットと比較して、InfiniBandはいつでも高いパフォーマンスを提供できるからです。2008年には40GbpsのInfiniBandチップが登場し始めます。InfiniBandの遅延はイーサネットよりはるかに小さいものです。拡張性の点でも大きな違いがあります。InfiniBandでは1万ノード以上の接続に対応できますが、イーサネットはこのような拡張性を実現した実績がありません。つまり、InfiniBandには多数の重要な機能があり、イーサネットと比較しても今後ずっとリードを保っていくと思っています。

 同時に、イーサネットも10Gbpsへ移行し、パフォーマンスは向上していきます。ほかの機能についても充実させようとしています。イーサネットは親しみやすいですから、幅広く使われてきています。それでも、投資対効果を最大にしたい人々はInfiniBandを使い続けると考えます。

――ネットワークの世界では、必ずしも高機能な技術が勝利してきたわけではないと思います。イーサネットはこれまでも、親しみやすさや価格面での有利性で、より優れているかもしれない技術に打ち勝ち、普及してきました。

 私も同意見です。だからこそ当社では両方の技術を提供します。市場が親しんでいるという要素を克服することはできません。しかし同時に、最高のパフォーマンスを必要とする市場セグメントも、急速に拡大しているのです。金融関連や電子設計といった最高レベルの市場、さらにはサーバ仮想化といった市場はベストなパフォーマンスを要求しており、こうした市場に対して当社はInfiniBandを推進していきます。

――製品はどのように進化しているのですか。

 メラノックスは第4世代のアダプタを2007年3月に提供開始し、発売後6カ月で、1万6000個の出荷を達成しました。このようにハイパフォーマンスなソリューションには強い需要があります。

 2007年9月にはこのアダプタでPCI Express 2.0のサポートを開始しました。これでプロセッサとの接続のパフォーマンスを2倍に引き上げられることになりました。InfiniBand版、10Gbpsイーサネット版のどちらも、これを活用することができます。PCI Express 2.0のサポートは史上初だと思います。

 メラノックスがInfiniBandやデータセンター・イーサネットの市場に提供できる価値は、単一の、共通なソフトウェアスタックで、ユーザーが選択するいずれのネットワークでも活用できるようにすることにあります。従って当社では、これら各種のレイヤ2技術に対し、非常に統合されたソフトウェア・スタックを標準で提供しています。どのアプリケーションも、いずれのネットワーク・インターフェイスでも使えるわけで、これは非常に重要なメッセージなのです。

――InfiniBandの投資対効果が高いという点について説明してください。

 現在の多くのサーバはマルチコアのCPUを搭載しています。これはコスト的に高くなりますし、搭載メモリ量も多くなります。しかしネットワークについては1Gbpsイーサネットしか搭載していないケースも多く見られます。問題は、ネットワークへの接続部分でのパフォーマンスが足りないために、お金もパワーも無駄になってしまうということです。これを補うために、複数のアダプタを搭載する人はたくさんいます。するとコストはさらに高くなりますし、電力消費も多くなります。正しい方法は10Gbpsから40Gbpsをサポートする(InfiniBandの)アダプタ1つを使うことです。これによってCPU、メモリ、I/Oのベストなバランスを得ることができます。1Gbpsイーサネットよりアダプタ1個の価格は高いですが、何千ドルも掛かっているシステムの全体としてのパフォーマンスは大きく向上するので、投資対効果は非常に高くなります。

ファイバチャネルは徐々に衰退していく?

――ストレージ接続で現在普及しているファイバチャネルの今後については、どう見ていますか。

 ネットワーク技術の統合は今後さらに進み、ファイバチャネルはネットワークという観点からは消えていくと考えます。ファイバチャネルはストレージしか接続できません。InfiniBandとイーサネットはストレージもネットワーキングもできるのです。

――しかし、ストレージのトラフィックとネットワークのトラフィックを混ぜることに不安を感じるユーザーも多いと思います。双方に同一の技術を使う必要性はそれほどないように思うのですが。

 データセンターにおけるそうした政治的な問題は理解しているつもりです。ストレージとネットワークには別個の管理者がいる場合も多いですから。InfiniBandはトラフィックを論理的に分割できる規格ですが、メラノックスの製品の導入でも、ストレージ接続とネットワーク接続は別個のアダプタを使うケースは多いです。実際の統合には何年も掛かるでしょう。これは当社にとっては長期的なビジョンです。

著者紹介

▼著者名 三木 泉


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ