従業員の勤怠管理に課題を抱えている方へ。勤怠管理と一口にいっても、管理方法は企業によって様々ですが、大きくは手間と人手、確実性、コストが壁になっているのではないでしょうか。
この記事では、「すぐに・ほぼ無料」で実践できるGoogle スプレッドシートを使った勤怠管理の方法についてご紹介します。また、スプレッドシートで勤怠管理を行うメリットや、管理を効率化するための工夫、“スプレッドシートでは難しくなったらどうするか”の対策・方法とともに、自社の勤怠管理にお役立てください。
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目次
スプレッドシートで勤怠管理を行うメリット
スプレッドシート（Google スプレッドシート／Google Sheets）は、従業員の勤怠管理にも今すぐ活用できます。クラウド上で作業でき、またリアルタイムでの更新や複数人での同時編集ができることが特に魅力です。ここでは、スプレッドシートで勤怠管理を行うメリットを5つに分けて確認していきます。
- 無料で利用できる
- どこからでもアクセスできる
- 自社に合わせてカスタマイズできる
- 他のツールと連携できる
- 操作方法を覚えやすい
無料で利用できる
スプレッドシートを使った勤怠管理は追加の導入コストをかけずに始められるの特徴です。Googleアカウントさえあれば基本的に無料で使えます。厳密には普段PCやスマートフォンを使うのと同様に適当な操作機器と相応の通信費は必要ですが、ソフトウェア購入費のような新たなコストは発生しません。
スプレッドシートはクラウド型サービスのため適当なWebブラウザがあればよく、特別なインストール作業もありません。作成するデータは自動でクラウドストレージ（Google ドライブ）に保存され、ファイルの共有、表示・閲覧権限などの設定、複数の人が同時に編集できる仕組みも備えています。管理者と従業員の両方にとって手軽な選択肢と言えるでしょう。
また、ソフトウェアの機能やセキュリティ対策などの更新もオンラインで自動的に行われるため、最新バージョンであるかどうかなどを意識する必要がありません。コストを最小限に抑えて今すぐ勤怠管理を効率化したい企業に魅力的です。
どこからでもアクセスできる
スプレッドシートはクラウドベースのツールです。インターネットにつながってさえいればOK。会社のPCはもちろん、スマートフォンやタブレットなどのデバイスで容易に作業できます。
これは特にリモートワークやテレワーク勤務、外回りが多い従業員がいる企業に有効です。紙のタイムカードや申請書、Excelファイルを作成してやり取りする、そもそも出社しなければ申請できないといったローカル／アナログ作業が多かった状況と比べ、場所や状況を問わないオンラインで完結する勤怠登録・管理の体制を実現できることで、管理側も、従業員も勤怠管理に関する手間を大幅に軽減できます。
管理側はさらに、誰がいつ出勤しているのか、残業時間はどうかといったこともリアルタイムに、かつ的確に把握できるようになります。従業員の働き方が多様化し、また会社として法令の順守が厳しく求められる現代に正しく適応する一歩となる仕組みといえます。
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ニーズや業務に合わせてカスタマイズできる
スプレッドシートの利点は、汎用的な利用シーンを想定したオフィスソフトウェアならではの自由度の高いカスタマイズ性です。設計次第で、出勤時間、退勤時間、休憩時間といった基本的な項目だけでなく、「残業時間」「深夜労働時間」「休日出勤の有無」「有給休暇取得日数」「遅刻・早退の回数」など、法令に沿った自社就業ルールに合わせて必要な項目を自在に追加できます。
より工夫すると、法定労働時間を超えた場合の割増率を計算して示す項目を設けたり、休日労働が発生したときに自動的に色分けする機能などを組み込んだりすることも可能です。もちろんこうした設定を部署ごとに微調整したり、テンプレートを使って管理しやすいフォーマットに統一したりすることも容易に行えます。
他のツールと容易に連携できる
スプレッドシートは同じGoogleアカウントで使える他のツールとも容易に連携できます。例えばアンケートフォーム作成ツール「Google フォーム」を活用すると、従業員には勤怠打刻の入力だけに絞った機能を“かんたん打刻用アプリ”のように提供し、その打刻データを主管理の勤怠管理スプレッドシートへ自動連携させるといったことができます。タイムスタンプとともに誤入力や改ざんがしづらい仕組みもあることで、勤怠データの正確性・信頼性を高める上でも役立ちます。
スプレッドシートのデータはExcel形式やCSV形式などでエクスポートもできます。別に運用している給与計算や会計のシステムとの連携も比較的簡単です。
このほかには例えば、「一定の累計残業時間を超えた」をトリガーに管理者へアラートを出す、「入力漏れがある」を自動把握して従業員へリマインドするといった仕組みも工夫次第で追加できます。
操作方法を覚えやすい
多くのビジネスパーソンにとってMicrosoft Excelと似た操作感であるGoogleスプレッドシートも違和感なく、特段何か構える必要なく利用できるでしょう。Excelをある程度使い慣れているならば、行や列の扱い方、基本的な数式の入れ方、書式設定など、そのままのスキルで使えます。
また、ネット上にはGoogleスプレッドシートの使い方に関する解説記事や動画、テンプレートもかなりたくさんあります。テンプレートは例えばGoogleの「テンプレート ギャラリー」から、あるいは「スプレッドシート 勤怠管理 テンプレート」といった検索ワードで探してみてはいかがでしょう。
このように利用者が世界中にいるサービスなだけに、何か分からないことがあるとしても検索すれば大抵はすぐに解決策が見つかります。複雑な数式やスクリプトを組みたい場合でも、公式のヘルプや技術コミュニティが充実しているため、独学でも実現しやすい環境が整っています。
エクセルで実践する勤怠管理システムの作り方「エクセルで行う勤怠管理」もぜひ一緒にご覧ください。
おすすめエクセルで行う勤怠管理システムの作り方｜便利なExcel関数付きで分かりやすく解説
スプレッドシートで勤怠管理表を作成する手順
スプレッドシートを使って勤怠管理表を作る場合、将来的な拡張や日常の運用面を見据えて設計しておくと後々スムーズに運用できます。基本的な作成の流れを7つのステップに分けて解説するので一緒に作成していきましょう。
1.表の構成を決める
最初に行うべきは「どの情報をどこまで管理したいか」を明確にして、必要な項目を整理することです。
例えば、最小限の項目ならば「日付」「出勤時刻」「退勤時刻」「休憩時間」「実働時間」「備考」程度で済みますが、残業時間や休日勤務も管理したい多くのシーンでは「残業時間」「休日勤務時間」「深夜労働時間」を分けて管理できるように列を追加する必要があるでしょう。
また、氏名欄を固定表示にしておいたり、行見出しや列見出しをロックしてスクロールしても見失わないようにしておくと、入力作業や集計がスムーズになります。
2. 勤務時間を自動で計算する関数を入れる
次に、出退勤時刻や休憩時間をもとに、実働時間や残業時間を自動計算するための数式を設定します。
よく使われる例として、C列に出勤時間、D列に退勤時間、E列に休憩時間がある場合、F列（実働時間）に
と入力すると、退勤時間から出勤時間と休憩時間を差し引いた実働時間が算出されます。
残業時間の計算は、所定の勤務時間（たとえば8時間）を超えたら差分を残業として表示するようなIF関数で実現できます。
夜勤のように日付がまたぐケースでは、退勤時刻が出勤時刻より小さいと自動計算がずれてしまうため、IF関数で「翌日に+1日分足す」仕組みを入れるなどで工夫しておくとよいでしょう。
3. 曜日や勤務状況を自動で表示する設定を行う
日付が入力されたセルに対して、TEXT関数で曜日を表示させたり、WEEKDAY関数や条件付き書式を組み合わせて土日祝日を自動的に色分けする設定を行うと、表の視認性が格段に向上します。
たとえば、A列に日付を入れ、B列に
と入力すれば、A列の日付に対応する曜日が月・火などの形で表示されます。
休日を色分けする際は条件付き書式で
として、該当するセルを色付けすると土日を一目で把握できるようにできます。その他IF関数を用いて、欠勤時や休暇のときに「欠勤」「休暇」などと表示させる方法も便利です。
4.勤怠データを集計する関数を入れる
日次や週次、月次の合計勤務時間、残業時間、出勤日数などを素早く把握したい場合、SUM関数やCOUNT関数、COUNTIF関数を使った集計欄を設けておくと、後からの作業がグッと楽になります。
たとえば「F列の実働時間を合計して、今月の総勤務時間を出す」には
で、数式の対象範囲内にある実働時間をまとめて計算してくれます。別途、残業だけを集計するための列を作ったり、特定の条件に合うデータを数えるCOUNTIF関数を用いることで、細かい勤怠の内訳も簡単に可視化できます。
5.条件付き書式で視認性を高める
スプレッドシートの条件付き書式機能を使えば、特定の条件を満たしたセルや行を色分けして強調表示できます。
たとえば、残業時間が1時間を超えたら赤、休日勤務ならオレンジ、といった色で区別すれば、管理者が気をつけるべきデータを見落としにくくなります。打刻漏れや休憩時間の入力ミスなどをすぐに発見できるようにするのにも非常に有効です。
例：残業時間（G列）が1時間を超えたら色を変える
例：土日に該当する行の色を変える
6.勤怠管理を効率化するための工夫を凝らす
スプレッドシートによる勤怠管理は自由度が高い反面、運用面で注意しないと入力ミスや管理者の負担が増えることもあります。そこで、以下のような工夫が役立ちます。
- 入力規則（プルダウンリスト）：従業員の休暇種別や勤務区分の選択項目はあらかじめ決めた選択肢だけを選べるようにしておくと、表記揺れや入力ミスを防げます。
- 数式の保護：自動計算に使うセルや数式が誤って書き換えられないように、シート保護機能で管理者以外は編集できない設定にしておくと安心です。
- フィルタ機能の活用：大量の勤怠データから特定の従業員や特定の期間のみを素早く絞り込みたいときに便利です。表示を切り替えるだけで対象をすぐに確認できます。
- 他ツールとの連携：従業員の打刻作業はできるだけ「手軽にシンプルに」が望ましいです。併せて改ざんや誤入力のリスクも考えると、管理・確認と入力の系統は分かりやすく分けておくとよいでしょう。主となる勤怠管理スプレッドシートとは別に、例えば別のタブ、別シート、あるいはGoogleフォームのような別連携ツールを用いて「従業員向けの簡単・シンプル入力ページ」のような機能を用意し、Googleフォームを介して主の勤怠管理スプレッドシートへデータが一元的に記録される設計にすると、フォーム送信時刻のような固有データも別途自動で残るため、改ざんや誤入力のリスクを減らせます。
7.仕上げと動作確認を行う
最後にいくつかのテストデータを入力して想定通りに計算できるかをチェックします。夜勤や深夜残業がある場合、残業時間や休日労働時間が混在する場合など、さまざまなパターンで正しい時間が算出されるか確認しましょう。
また共有設定も重要です。従業員が編集していいセルと、管理者しか編集できないセルを明確に分け、必要に応じてファイル全体へのアクセス権を調整します。定期的なバックアップやバージョン管理を行い、誤入力や上書きトラブルに備えることも大切です。
スプレッドシートで勤怠管理を行う際の注意点
スプレッドシートは無料で使えて便利かつ多彩な機能を備えますが、適切に運用しなければリスクやトラブルを招く可能性もあります。ここでは、スプレッドシートで勤怠管理を行う場合に特に気をつけてほしい注意点をご紹介します。
- データ書き換え対策が必要
- 法令改正等に合わせた見直しが必要
- 人数が多いと管理が難しくなる
- データの保存やバックアップが必須
- PC以外のデバイスを用いた入力も考慮する
- 管理側の負担が増える可能性がある
データの書き換え対策が必要
スプレッドシートは基本的に編集権限を持つ人であれば、後からでも簡単に数値を書き換えることができます。従業員が勤務時間を改ざんできてしまう状態であるほか、管理者が意図せず数式を消してしまうリスクもあります。
こうした事態を防ぐために、「シートと範囲の保護」機能で数式が入っているセルをロックしたり、手入力はせず打刻データはGoogleフォームからのみ受け付ける仕組みにしたり、変更履歴を定期的にモニタリングするといった対策が欠かせません。
法律の変更に合わせた見直しが必要
勤怠管理は労働基準法などの関連法令に深く関わります。例えば、残業時間の上限規制、有給休暇の取得、深夜労働割増の計算などは、法改正があるとスプレッドシートの計算式やフォーマットを見直す必要が生じる場合があります。労務担当者や社労士などと連携し、常に最新の法令に合った状態を保つ意識が重要です。
自社の成長・人数増に伴って管理が指数関数的に難しくなる
スプレッドシートで十分に管理できるのは、基本的に従業員数が少ない、多くても数十人程度までの企業が対象です。人数が増えるにつれて、以下の問題が起こりやすくなります。
- シートが重くなり、処理速度が遅くなる
- 多くの人が同時に編集することで、誤ってデータが削除されるリスクが高まる
- バージョン管理やバックアップの頻度を増やしても追いつかなくなる
データの保存やバックアップが必須
Googleスプレッドシートには自動保存や変更履歴の機能があるものの、ファイル自体が意図せず削除されたり、アカウントが利用できなくなったりした場合にデータが消失する可能性があります。
対策としては定期的にバックアップを取るルールを設ける方法があります。月末ごとにファイルをコピーして別名保存したり、ExcelやCSV形式でダウンロードしてローカルPCや別のクラウドストレージに保管したりします。……しかし、これはなかなか面倒で時間も人手もかかります。
PC以外のデバイスを用いた入力も考慮しなければならない
リモートワークや在宅勤務、フレックスタイム制などの多様な働き方が定着した企業では、スマホで勤怠管理をしたいニーズが増えます。スマホでも同様にスプレッドシートへアクセスはできます。しかし画面サイズと操作性がかなり違うので、PCの大画面で設計したスプレッドシートをそのまま操作には支障をきたす可能性があります。
そのためモバイル向けに、Google フォームなどの別ツールで「簡単入力アプリ」的なツールを用意する、AppSheetなどのノーコード開発ツールを利用してモバイル向けに最適化した管理画面を用意するなどの方法があります。入力項目を絞り、タップしやすいボタンやプルダウンを用意すれば、従業員の使い勝手を高めつつ、負担も軽くできるでしょう。
管理者の負担を減らす工夫が必要
スプレッドシートでの勤怠管理は低コストで始められますが、手作業でのチェックや集計、数式のメンテナンスで管理側に大きな負担がかかる可能性があります。
残業時間が一定以上になると自動で警告を出す条件付き書式を組む、打刻漏れをプルダウン選択で検出できるようにする、定期的にGoogleフォームからの入力を確認するなどの仕組みを取り入れれば、管理者が全件を目視チェックする必要は減るでしょう。
ただし、運用を続けるには更新作業や法改正への対応が不可避です。管理者自身のスプレッドシートスキルを高めるか、担当者を増やすなど、負担を分散させる必要は出てきます。
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スプレッドシートでの勤怠管理が難しくなったら
企業が成長し、従業員数や勤務形態が多様化してくると、スプレッドシートだけでは管理しきれなくなるケースが増えてきます。
エクセルやスプレッドシートでの管理はあくまで一時的／対症療法的と位置付け、そうした課題が顕在化してくる前に勤怠管理システムなどの、より高度で確実、楽な管理を実現する専用機能を備えたシステムで効率化する方法を推奨します。
勤怠管理システムを検討する目安
以下のような状況が見られたら専用の勤怠管理システムを導入するタイミングといえるでしょう。
- スプレッドシートが重く、リアルタイム編集が難しくなってきた
- 残業時間や有給休暇などを正確に管理・把握しきれない
- 従業員からの入力ミスや修正依頼が頻発し、管理者が対応に追われている
- 複数拠点で勤怠を一元管理したいが、スプレッドシートだけでは時間がかかりすぎる
- 法改正への対応を都度手動で行うのが負担になってきた
勤怠管理システムの機能で実現する効率化ポイント
勤怠管理システムには、スプレッドシートでは実現しにくい便利な機能が多数備わっています。たとえば、次の機能に高いニーズがあります。
- 多様な打刻方法： スマートフォンアプリ、ICカード、指紋認証などで自動的に出退勤を記録
- 自動計算と法令遵守： 深夜労働や休日勤務などの割増賃金を自動計算し、法改正にもアップデートで対応
- ワークフロー機能： 休暇申請や残業申請をシステム上で承認・却下し、紙やメールの手間を減らす
- 給与計算ソフトとの連携： 勤怠データをワンクリックで給与計算システムに送るなど、二重入力を防止
- リアルタイム集計とレポート： いつでも最新の残業状況や休暇取得率を可視化して、労務管理を最適化
スプレッドシートで管理しきれなくなった場合、こうしたシステムを導入すれば、より正確で効率的な勤怠管理体制を築けます。システム導入においては、導入費用や従業員の使い勝手、サポート体制などを比較検討して、自社に最適なサービスを選ぶことが大切です。
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法改正の機能自動アップデートに対応する勤怠管理システム10選
勤怠管理は給与計算やシフト作成、休暇の管理などといった他の業務と深く関わります。そのため、勤怠管理システムを導入するのであれば、既存のシステムと連携できるものを選ぶことで管理業務の軽減につながります。たとえば、打刻データを給与システム連携できると、転記の手間が省けてミスも減らせますし、申請や承認などのフローも一元化できるようになります。
そこで今回は、他のツールとの統合・連携機能を備え、また法改正時の機能アップデートに対応する勤怠管理システムをピックアップしました。気になった製品があれば詳細資料をダウンロードできます。無料ですのでぜひ遠慮なく資料請求をしていただき、その機能や特徴を確認してみてください。（製品名 abcあいうえお順／2025年5月時点）
