
リピート率は、顧客が初めて購入したあとにもう一度買ってくれる割合を示す指標です。新規顧客をどれだけ効率よくリピーターに育てられているかがわかるため、ECや店舗運営で業績を伸ばすうえで欠かせない存在となります。本記事では、リピート率の定義やリピーター率との違い、計算方法から業界別の平均値、さらに改善のための実践的な取り組みまでをわかりやすく解説します。売上アップや顧客満足度の向上を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
リピート率の定義と基本
はじめに、リピート率の意味を正しく押さえておきましょう。言葉の使い分けを間違えると、数値の解釈や改善策がずれてしまいます。ここでは「リピート率」と、似ているけれど別物の「リピーター率」を整理します。
リピート率とは何か
リピート率は、特定の期間内に「初めて購入した新規顧客」のうち、もう一度購入してくれた人の割合を示します。アンケートのような主観的評価ではなく、「再びお金を払った」という実行動に基づくため、初回体験の満足度を客観的に測れる指標です。商品そのものに加え、購入プロセスやサポートの質まで含めた体験価値が届いているかを、率直に映し出します。
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リピーター率との違い
リピーター率は、同じ期間の「全顧客(新規+既存)」のうち、2回目以降の購入者が占める割合です。現在の売上が新規と既存のどちらに依存しているかを把握するのに役立ちます。一方、リピート率は「新規をどれだけ効率よくリピーターに育てられているか」を示す先行指標です。
両者は補完関係にあり、どちらか片方だけでは全体像を見誤りやすくなります。
| 観点 | F2転換率(初回→2回目) | リピーター比率(期間内2回以上) |
| 対象顧客 | 当月の初回購入者(新規) | 当月の全購入者(新規+既存) |
| 分母 | 当月の初回購入者数 | 当月の総購入者数 |
| 分子 | n日以内に2回目購入した人数 | 当月に2回以上購入した人数 |
| 示すもの | 初回体験→再購入の転換力 | 顧客基盤のリピートの厚み |
| 主な活用 | 初回施策/商品体験の評価 | 既存維持と新規比率の最適化 |
| ※定義:F2転換率=当月初回購入者のうち n日以内に2回目購入した人数 ÷ 当月の初回購入者数 / リピーター比率=当月に2回以上購入した人数 ÷ 当月の総購入者数(返品・キャンセル除外) | ||
注意したいのは、「リピーター率が高い=安心」とは限らない点です。新規獲得が止まり、お得意様だけで売上が成り立っている場合もリピーター率は高く見えます。この状態は将来の縮小リスクにつながるため、リピート率とセットで捉えることが大切です。
データの見立てと代表的手法は「CRM分析とは? 主な分析手法、効果」をご覧ください。
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リピート率の計算方法
リピート率の算出自体は難しくありません。分母と分子の定義を決め、期間設定を商材の購入サイクルに合わせることがポイントです。自社で定期的にチェックできる形に整えていきましょう。
リピート率の出し方
基本式は次の通りです。
リピート率(%)=(特定期間のリピート顧客数 ÷ 累計新規顧客数)×100
- 特定期間のリピート顧客数:分析対象期間に「2回目の購入」を行ったユニーク顧客数
- 累計新規顧客数:事業開始から分析対象期間の開始時点までに獲得したユニーク新規顧客の総数
例:開店以来の累計新規顧客が1000人で、5月中にそのうち100人が2回目購入をした場合、5月のリピート率は(100 ÷ 1000)×100=10%です。
期間は商材の購入サイクルに合わせるのがコツです。消耗品は月次、家電などの耐久財は四半期や年次のほうが実態に合います。
エクセルでの集計方法
多くの企業がエクセルで購入履歴を管理しています。次の手順で簡単に集計できます。
- データの準備:「顧客ID」「購入日」を含む購入履歴を用意します。
- 購入回数の特定:顧客ID→購入日の順に並べ替え、各顧客の購入に連番を付けます。例:新しい列Cに `=IF(A2=A1, C1+1, 1)` を入れ下までコピー(A列が顧客IDの場合)。これで「1回目」「2回目」…が付与されます。

- 集計と計算:
- 累計新規顧客数=購入回数「1」を持つユニークIDの数
- リピート顧客数=購入回数「2」を持つユニークIDの数
以上を前述の式に当てはめれば完了です。ピボットテーブルでIDごとに回数をカウントしても効率的です。
リピート率の平均値や業界比較を知る
自社の数値を評価するには、業界相場を把握するのが近道です。扱う商材の特性で目安は大きく変わります。まずは自社ジャンルの水準を知り、現実的な目標を設定しましょう。
業界別リピート率の目安
| 業界 | 平均リピート率の目安 | 影響する主な要因 |
| 健康食品・化粧品 | 約20~30% | 消耗品で定期購入が見込める/肌に合うと乗り換えが起きにくい |
| アパレル | 約20〜26% | ブランドロイヤルティや季節性が追い風/トレンド変化で乗り換えも |
| 耐久財(家電など) | 約10〜20% | 製品寿命が長く購入サイクルが長期/技術革新やライフイベントで買い替え |
参考:MobiLoud「What’s a Good Repeat Customer Rate? (2025 Ecommerce Benchmarks)(2025年7月3日)」
ECの文脈での活用は「ECサイトのCRM導入と活用“早わかり”ガイド」をご覧ください。
リピート率が高い商材の特徴
| 消耗品 | 食品・化粧品・日用品などは構造的に再購入が起きやすい。 |
| 習慣性の高い商品 | コーヒーやサプリのように日常の一部になると継続されやすい。 |
| ブランドロイヤルティが強い商品 | 情緒的価値やコミュニティ性が強いと、消耗品でなくても高い水準を保ちやすい。 |
リピート率が重要な理由
リピート率は、単なる満足度指標にとどまりません。利益、成長、予測可能性といった経営そのものに直結します。なぜ注力すべきなのか、根拠を整理します。
収益や成長に直結する
よく知られる「1:5の法則」では、新規獲得は既存維持の5倍のコストがかかると言われます。リピーターを増やせば、広告費などの獲得コストを抑えて利益率を高められます。
さらに「80:20の法則」が示す通り、売上の大半は上位の優良顧客が生み出します。リピーター基盤の強化は、筋肉質な収益構造づくりに直結します。また、リピーター売上は変動が小さく見通しが立てやすいため、在庫や設備投資などの意思決定も精度が上がります。
顧客満足度やファン化の指標になる
再購入という行動は、満足の強い証拠です。繰り返し買ってくれる顧客は、やがてブランドへの愛着を持つ「ファン」に育ちます。ファンは自発的にSNSで紹介したり、周囲に勧めたりしてくれるため、口コミによる新規流入も促進されます。
リピート率の改善→利益増→体験強化への再投資→さらなる満足と再購入…という好循環をつくりましょう。
顧客管理の全体設計については「顧客管理を効率化し売上を上げる方法」もご覧ください。
リピート率を上げる方法
大がかりな仕組みがなくても、今日から始められる打ち手はたくさんあります。ここでは現場で動かしやすい施策を4つの切り口でまとめます。
会員制度やポイントを活用する
購入金額に応じたポイント付与は王道です。会員ランク(例:ブロンズ/シルバー/ゴールド)を設け、上位ほど特典を厚くすると、帰属意識と購入意欲が高まります。貯めたポイントや獲得したランクが「他店に乗り換えるともったいない」という心理的スイッチングコストになり、再購入の後押しになります。
購入後のフォローを徹底する
リピートの起点は購入直後です。
| サンクスメール | 素早く感謝を伝え、選択が正しかったと実感してもらいます。 |
| 活用情報の提供 | 使い方のコツやメンテ方法を届け、価値の最大化を支援します。 |
| レビュー依頼とサポート | 到着後しばらくして感想を尋ね、問い合わせには迅速・丁寧に対応します。小さな不満を放置しないことが継続購入につながります。 |
SNSやアプリで接点を増やす
継続的に思い出してもらえる接点づくりが重要です。新商品やセール告知だけでなく、裏話やスタッフの声など「読んで得する・好きになる」投稿を続けましょう。
アプリのプッシュ通知は直接届く強力な手段です。限定セールやタイムクーポン、新着情報を適切なタイミングで案内すれば、休眠気味の顧客も呼び戻せます。
キャンペーンやイベントの定期開催
「今、買う理由」を定期的に用意します。誕生日や会員記念日のパーソナライズドクーポンは高い効果が期待できます。購入履歴や属性でセグメントし、興味に合った提案(関連商品のクーポンなど)を届けましょう。会員限定の先行販売やシークレットセールも、ロイヤルティを高める施策です。
CRMで「誰に・何を・いつ」届ける仕組みを整える
これまでの施策を効果的に回すには、CRM(Customer Relationship Management)で顧客情報をひとつにまとめることが重要です。CRMは、顧客IDや購入日、購入回数などを軸に「誰に・何を・いつ」届けるかを決める土台になります。初回体験の満足度が次の購入に直結するため、F2(初回→2回目)の到達を主眼に、購入直後のフォローや記念日のクーポン配布、関連商品の提案を計画的に行いましょう。
具体的には、まず初回購入者・リピーター・休眠気味の顧客といった状態でセグメントを作り、それぞれに合った内容を用意します。初回購入者にはサンクスメールと使い方の案内、リピーターには会員ランクやポイントの活用提案、休眠気味の顧客には改善点の共有や限定オファーなど、「今、再訪する理由」を丁寧に伝えます。SNSや自社アプリでの発信、プッシュ通知とも連動させると、思い出してもらえる機会が増えます。
CRMを活用したメールマーケティングについては「CRMを活用したメールマーケティングの効果と実践方法」をご覧ください。
併せてチェック!CRMを活用したメールマーケティングの効果と実践方法
リピート率アップの注意点とKPI設定
数値だけを追うと、かえって利益やブランドを傷つけることがあります。短期の数字合わせに陥らず、指標設計と検証サイクルで賢く運用しましょう。
休眠顧客を減らす工夫
まず、商材のサイクルに合わせて「どの期間未購入なら休眠とみなすか」を定義します。そのうえで、件名「お久しぶりです」「◯◯様だけの特別なご案内」などの再エンゲージメントメールを配信します。単なる割引ではなく、離れていた間の改善点や新商品の魅力を丁寧に伝え、「今戻る理由」を作るのがコツです。限定クーポンやポイント付与で背中を押すのも有効です。
KPIの設計・モニタリング
大幅値引きを乱発すれば一時的にリピート率は上がりますが、利益率やブランド価値の毀損を招きかねません。次の指標をセットで追うと、改善が現場に結びつきます。
| LTV(顧客生涯価値) | 最終的な到達点。リピート率はその重要構成要素。 |
| 購入単価(AOV)と購入頻度 | リピーターがより高単価・高頻度になっているか。 |
| F2転換率 | 初回→2回目の橋渡し。多くの離脱がここで起こりやすく、いったんF2を越えると継続率が大きく高まります。 |
特にF2転換率を最重要KPIに置き、初回購入者へのフォロー(サンクスメール、活用情報、限定オファー)を細かく検証しましょう。リピート率の総量を見るだけでなく、最初の山場に集中投下する方が、LTV最大化への近道です。
継続改善の基盤には「CRM分析とは? 主な分析手法、効果」をご覧ください。
リピート率アップに貢献するおすすめCRMシステム10選【EC・店舗運営向け】
ECや店舗運営では、新規顧客を獲得するだけでなく「リピーターに育てる仕組みづくり」が業績アップの鍵となります。購入履歴や行動データを活用して、初回購入後のフォローや再購入のきっかけ作りを自動化すれば、リピート率やLTVの改善につながります。ここでは、現場で定着しやすく、顧客体験の強化に直結するCRMシステムを10サービスを紹介します。(製品名 abcあいうえお順/2025年9月時点)
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必要な機能だけを選べる構成と分かりやすい画面で、初めてのCRM/SFA導入でも現場に定着しやすいのが強みです。メール一斉配信やステップメールを組み合わせ、初回購入直後のフォローや休眠顧客の呼び戻しを仕組み化できるため、F2転換と継続購入の底上げに向きます。






















