138万平方フィート。これが世界最大のコンシューマーエレクトロニクスショウ「2004 International CES」の広さだ。大きく5つに分かれた会場は、さらに2階建てになっていたり、中2階があったりと、ほぼ迷宮。毎年、何人か行方不明になるという噂もあながち嘘ではない(嘘)。
そんなイヤミなほど広い展示会場のなかでは、携帯電話が唯一の通信手段となる。国際ローミングが当たり前になった今年、昨年の失敗をもとに、再度国際ローミングに挑戦してみることにした。
同行したライターH氏は、「国際ローミングなんて、もう半年以上も前の話題でしょ」などと言うが、こちらは1年ぶりの米国である。昨年の雪辱をはらさなければ、2004年が始まらない。ちなみに、昨年のCESが終わったあと、ほんの1カ月でラスベガスもサービスエリアに入ったらしい。おのれボーダフォン。
今回は、モバイル編集部からVGS端末「V801SA」を奪取した。V801SAは三洋電機製で、W-CDMAのほか、GSMの主要3周波数帯900/1800/1900MHzにも対応するなど、国際ローミングに関して充実した機能を持つ。ちょっとでかいが、カメラも付いているし、なんといっても通話料は別の編集部持ちだ。
V801SA。ちなみに、CESの三洋電機ブースでも展示されていた |
成田からロス経由で約13時間。ようやくラスベガス空港に到着し、スロットマシンの置かれた休憩所で一服しながら、早速日本に国際携帯電話を発信してみた。時間は昼の12時〜日本時間では早朝の5時。不幸な着信先はモバイル編集部のG記者に決定。
国内で使うための電話番号が登録してあれば、発信はごく簡単。電話帳から番号を選び、メニューボタンを押して「国番号付加」を呼び出す。日本は81だが、ここでは国名を選ぶだけでいい。さらに「海外から発信」を選択すると、普段使っている「090〜」の番号が、「+8190〜」に変わる。あとは発信するだけ。お手軽だが、事前に設定画面で北米ネットワークを選択しているのだから、自動的に付加してくれてもいいかな。
さて、ちょっと意地悪な気分で発信ボタンを押すと、聞き慣れた発信音が数秒流れたあと、見事につながった。「現在、電話に出ることができません」。ち。やっぱ寝てるか。
一方、ホテルの通信環境も日本とあまり変わらない。部屋にはイーサネットポートと液晶ディスプレイ付きのインターネット端末が置かれ、24時間あたり9ドル99セントで“ハイスピードインターネット”が利用できる。昨年までは一部のホテルにしかこのような設備はなかったのだが、今年は新たにラスベガス・ヒルトンなどでもブロードバンドインターネットが整備された模様だ。
さて、通信の発達は、人と人との距離感をなくすといわれるが、今年はそれを実感した。なにしろ、Instant Messengerさえ起動しておけば、日本の編集部とも常につながっている状態で、時差を除けば、日本にいるときと大差ない形で連絡が取れる。もちろんこれは、常に記事を催促される危険と隣り合わせということだ。さらに今年からは、席を外していても携帯電話にコールが入るようになったわけで、何というか、国際ローミングさまさまである。おのれボーダフォン。
距離感がなくなると、中にはこんな“困ったちゃん”も出てくる。明け方の4時頃(日本時間では夜の9時)、眠い目をこすり、朝のカンファレンス開始時間から逆算して「何時間寝られるか?」などと考えつつキーボードを叩いていると、同僚のS記者がいつもの調子でインスタントメッセージを送ってきた。
「晩飯、どうします? カレーの出前を頼みますけど」
「牛ココナッツカレーがいいな」
あれから3日。未だラスベガスに牛ココナッツカレーは届かない。
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