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巨体がうなるぞ、ドアとるぞ。その名は「援竜」っぽいかもしれない(3/3 ページ)

» 2004年03月26日 02時38分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]
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 今回のデモでは、両手を使った作業というのがなかった。左手で押さえておいて右手で引っ張るとか、倒れてくる壁を左手で押さえながら右手で作業するとか、そういう生々しいのがちょっと見たかった。これは、操縦者がまだ熟練していない(4時間くらいしか練習していないらしい)のが大きな理由で、ハードウェア的にはできるはずだそうだ。

 実はデモの途中で、引きちぎった自動車の扉が右手に引っかかっちゃって、なかなかとれないという状況があったのだ。手首あたりに張り付いたガムテープを右手だけで剥がそうとしているみたいで、見ていてむずむずした。なんで左手使わないのか? どうやら操縦者が思いつかなかった、らしい。

 

photo ムービーはこちら(1.8Mバイト)

 また、T-52の手首は、いまのところひねることができない。だから、両手をそれぞれ上下に開くということができない。パイプを曲げたりするのは難しそうだ。蝶々結びも無理だ。

 

photo

 マスタースレーブには、同じ姿勢を保持するというのが難しいという弱点がある。人間はどうしても動いちゃうのだ。また、肩と肘を固定したまま、手先だけ動かすというのも難しい*3。そこで、T-52のマニピュレータは各関節を物理的にロックできるようになっている。ほんとに油圧でロックしてしまうので、手を上げた状態で固定しても疲れない。ただ、このロックのスイッチ(バルブ?)が手の甲のあたりに並んでいて、あんまり直感的じゃない。

 また、T-52は今でも乗り込んでコックピットから操縦できるのだけど、このときには2つのジョイスティックを使うようになっている。これもダブルスタンダードでなんだか気持ちが悪い。

 

photo コックピットからの風景

 操作系を担当なさっている京都大学大学院工学研究科の横小路泰義助教授に、伺ってみた。

 マニュピュレータの操作性については(さっきのフォースフィードバックも含めて)まだまだ研究中だそうだ。また、乗り込んでもマスタースレーブにはしたいのだそうだ。ただ、コックピットは狭い。狭いところで腕を振り回すわけにはいかない。じゃあどうしよう……というあたりを考えているんだそうだ。身体をちょっとだけ動かせばいい方法はないか、小さな人形を作ってそれを動かせばいいのかとか*4

 なお、テムザックや消防関係者、研究機関、自治体などからなる「防災ロボット開発委員会」では、このような大型レスキューロボットの操作免許証を作ることを考えている。免許証そのものがICカードになっていて、免許証とパスワードとがないと、動かすことができないようにするのだ。たしかに、このあたりはとても大事だ。レスキューロボットは、犯罪にも使いやすいものなのである。

photo 左右の手の先の形状が違う


*3床屋さんならできそうだ

*4なんにしても、こんな大きな研究道具ができたので、とてもうれしそうである。うらやましい。

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