OVA「青の6号」などで知られるアニメ製作会社GONZO(ゴンゾ)のTVアニメ次回作が、個人投資家向けにファンド化される。ゲームやアイドルのファンド化はこれまでにもあった(関連記事1、関連記事2)が、アニメは国内初だ。
ファンドは「アニメファンド! バジリスク匿名組合」。ゴンゾと、トヨタ自動車などが出資するジャパン・デジタル・コンテンツ(JDC)、楽天証券、ジェット証券の4社で運営する。
投資対象はアニメ「バジリスク」(仮称)。漫画「バジリスク 甲賀忍法帖」(原作:山田風太郎、漫画:せがわまさき、講談社)をアニメ化し、来年4月から全24話(2クール)の予定だ。
出資単位は1口5万円で、総額2億4000万円(4800口)を調達する計画。販売は楽天証券とジェット証券で9月13日から約2カ月間行う。
償還金額はDVDの国内売り上げで決まり、利回りの上限は10%。「TVアニメの収益の8−9割はDVDやビデオの売り上げ」(JDCの岩崎明彦氏)なため、DVDの売り上げだけで回収可能だと見込む。
第1弾のDVD/ビデオ発売時期は同年7月頃の予定。放映局は未定だが、「BSかCSになる可能性が高い」(JDCの岩崎氏)。ファンドの契約期間は2006年8月までだが、同年2月の中間決算時点で利回り10%を達成した場合は、2月で契約終了となる。
個人投資家とは別に、機関投資家も1億円弱出資するが、償還金額が投資金額の110%に達するまでは、個人が優先的に償還を受ける。110%を超えた分は、機関投資家の取り分となる。
おおまかな元本回収ラインは、「DVDが1巻あたり1万本売れること」(JDCの岩崎氏)。シリーズ全24話を12本のDVDに収録し、1巻を7800円で販売すると仮定。DVD 1本の利益は2000円程度なため、2億4000万円÷2000÷12=1万本という計算だ。
ゴンゾのアニメDVD販売数は、「青の6号」が1巻あたり4万5000本、TVシリーズ「PEACE MAKER 鐵」が同1万本強など、「1万本を割ることはほとんどない」(ゴンゾの梶田浩司社長)。
さらにバジリスクはコミックで100万部売り上げているほか、原作者の故・山田風太郎には固定ファンも多い。さらに楽天グループもプロモーションに協力するなどヒットする要素は多く、「1万本は固いのではないか」(JDCの土井宏文社長)。同ファンドは「ミドルリスク・ミドルリターン」商品との位置付けだ。
JDCは昨年、新人グラビアアイドルを証券化した個人投資家向けファンド(関連記事参照)を発売。テレビ朝日系アニメ「かいけつゾロリ」の製作に特別目的会社方式を導入したほか、Xbox向けソフト開発支援でマイクロソフトとファンドを設立するなど、コンテンツ投資に積極的だ。
アニメファンドでは、一定以上の投資をした人の氏名をDVDのエンドロールに表示するなどの特典を用意し、ファン心理をくすぐる工夫も施す。日本のアニメが世界的に評価される一方で、業界では慢性的な制作資金不足に悩まされているのが実情。個人向けコンテンツ投資マーケットの開拓で資金調達の多様化を促進し、新しい資金の流れを作り出したい考えだ。
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