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ケンウッド、DLNA準拠のメディアプレーヤーを参考出展A&Vフェスタ 2004

» 2004年09月24日 23時58分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ケンウッドは、「A&Vフェスタ 2004」でDLNA(Digital Living Network Alliance)のガイドラインへの準拠を目指したテストボードを参考出展した。リビングルームなどのテレビに接続し、PCやホームサーバに蓄積されたデジタルコンテンツをネットワーク経由で再生できるというもの。製品化は未定だが、10月の「CEATEC JAPAN 2004」では動作デモを披露する予定だ。

photo ケンウッドのDLNAテストボード。基板上にはHDDコントローラやPCMCIAコントローラも搭載している

 ケンウッドのテストボードは、小型の基板を2層とし、100BASE-TX、コンポジットビデオ、光デジタルオーディオ出力などのインタフェースを備えている。基本的には、ネットワーク機能を持つMPEG-2デコーダボードであり、パソコンやホームサーバに蓄積した動画をネットワークを介して別の部屋で試聴できるようになる。機能は既存のネットワークメディアプレーヤーと同様だが、大きく異なるのは、他社製品との相互運用性を確保できる点だ。

 DLNAは、Intel、Microsoft、NEC、松下電器、ソニーなど、主要な電機メーカーやPCメーカー約170社が参加する業界団体。ビデオや音楽、画像といったデジタルコンテンツをネットワーク上でシームレスに利用することを目指し、6月には製品間の相互運用性を確保するためのガイドライン「DLNA Interoperability Guidelines v1.0」をリリースした(関連記事)。松下電器産業のDVDレコーダー「DMR-E500H」も、このガイドラインに沿って設計されているため、たとえば松下のDVDレコーダーがサーバになり、ケンウッド製のメディアプレーヤーと連携できる可能性もある。

 ケンウッドCB開発センター要素技術開発部の真下喜久主査によると、「テストボードは、動作と相互接続性を検証するために作った。9月中旬に行われた相互接続性の検証イベントでは、ほぼすべてのメーカーの製品と相互運用できることを確認している」と話している。

 しかし、機能面ではまだまだ不足している部分が多い。というのも、DLNAガイドラインのv1.0は、ネットワークメディア(イーサネット、802.11a/b/g)やプロトコル(IP、IPv4、HTTP)、相互接続の核となるUPnPの仕様といった大まかな枠組みを定めているだけで、サポートするメディアフォーマットが極めて限定的であるため。たとえば動画はMPEG-2のみで、音楽もMP3やWMAといったメジャーなファイルが含まれていない。また著作権保護の仕組みが整っていないといった課題も残されている。

 このためDLNAでは、2005年3月をメドに追加コーデックやQoSの実装を含むバージョン1.1を策定する計画だ。追加コーデックには、MP3やWMAのほか、MPEG-4系の動画コーデックなども検討されているという。さらに、“次のステップ”では著作権保護技術も盛り込まれる可能性が高いという。恐らく“v2.0”となるこのガイドラインでは、DTCP over IPなどのコンテンツ保護スキームも検討していくことになりそうだ。

 なお、10月5日に開幕する「CEATEC JAPAN 2004」では、各社のDLNA試作品を使った相互運用性の検証デモンストレーションが行われる予定だ。デジタルホームの未来を占う上で重要なDLNA仕様。幕張メッセで行われるデモにも注目が集まりそうだ。

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