これらの機能はこれまでのRio Suシリーズにも搭載されていた機能だが、本製品ならではの機能として、「イメージビューワ」と「テキストビューワ」が搭載されている。
イメージビューワは、メモリ内に収納された画像ファイルをカラー液晶画面で確認することができる機能で、表示可能なファイル形式は.bmpのみ、表示可能サイズも96×96のみと限定されている。カラー液晶とはいえ、CSTNだけにTFTほどの発色や再現性は期待できない。
試しに、300×300ピクセルのbmpファイルを表示させてみようとしたが、正常に表示されなかった。ファイル形式の限定はとにかく、表示サイズの限定までされるとなると、使い道を思案せざるを得ない機能だ。
また、テキストビューワは文字通り、.txt形式のファイルを表示する機能。適当なテキストファイルを表示させてみたところ、1行あたり全角8文字×7行の表示が可能だった。文字そのものについて読みにくさを感じることはなかったが、画面スクロールが1画面単位になってしまうため、全角56文字以上(全角8文字×7行)の文章に読みにくさを感じたことも事実だ。
本製品のスペックをみると、S/N比は90dB以下、周波数特性は20Hz〜20KHz。他のMP3プレーヤーと遜色ないレベルだ。ただ、iPod miniで聞いていた同じ曲(同じMP3ファイル)と聞き比べると、若干本製品の方がクリア感に欠ける印象を受けた。
これはRio Su10のレビューの際にも指摘されていたことで、先のレビューでも触れられているように、その差はほんのわずか。本製品でも、数分間、曲を聴いていればその差はすぐに感じられなくなる。
レビューにあたって、「君繋ファイブエム」(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、「EXODUS」(utada)、「Welcome To The North」(The Music)、「NEW YORK,NEW YORK JULY 8TH 2003」(PEARL JAM)の各アルバムをいずれもビットレート160kbpsのMP3に変換して視聴してみたが、音響効果・イコライザーを共にオフにした状態では、「君繋ファイブエム」や「Welcome To The North」などゆがんだギターがメインとなるアルバムでは若干ながら低域が弱い印象を受けた。
音響効果とイコライザーは共に結構な効きを見せるので、好みで「T.Bass」や「ROCK」などの設定を施すといいだろう。
電源は内蔵リチウムイオン充電池で、ACアダプタのほか、PCのUSB端子からの充電も可能。公称連続再生時間は約35時間で、液晶コントラスト「42」、バックライト点灯時間「15秒」、パワーセイビング「なし」の設定にして、ビットレート160kbpsのMP3ファイルにエンコードした「君繋ファイブエム」を連続再生してみたところ、実際に約35時間の再生が可能だった。
シリコンストレージを利用するポータブルプレーヤーとして、小型軽量な本体に多くの機能を搭載する本製品だが、多機能ゆえか、詳細な機能の設定についてはやや分かりにくい点があるように感じる。
本体側面に設けられている「ファンクション」キーだが、これを音楽再生中に押すと、「音質切り替え」「再生繰り返し」「SRS設定」「バックライト設定」「コントラスト調整」「Sleeptimer設定」「パワーセイビング」「録音設定」「スクロール速度設定」「EQ設定」「時計設定」「多国語設定」という各設定項目が現れる。
音楽再生中にファンクションキーを押して音質を設定する、という操作の流れは自然だが、ビットレートやバックライトについての設定を行うとき、その項目を「音楽再生中にファンクションキー」という方法で呼び出すのは不自然に感じる。そうした設定について、ジョグキー押し込みで現れるメインメニューの中から選択できる方が自然ではないだろうか。
また、新搭載のカラー液晶についても、96×96ピクセルのbmpファイルを閲覧するという使い方しかできず、有効利用できていない感がある。先日発表された東芝のgigabeat Fシリーズにもカラー液晶が搭載されているが、この製品の場合、専用転送ソフトが必要だが、再生中の曲と任意の画像を結びつけ、「アルバムの再生中にジャケット画像を表示させる」という使い方を提案している。
256Mバイトのメモリを搭載した製品が2万6800円(同社オンラインストア価格)と、128Mバイトのメモリを搭載して9980円というRio Su10に比べれば価格的なインパクトは薄い。しかし、本製品は同社がこれまでシリーズ製品に登載してきた機能をすべて詰め込んだ“全部入りRio Su”ともいえる製品だ。
また、わずか41グラムという小型軽量ながら、連続再生時間が35時間と非常に長い点もポイントだ。35時間というのは、Rio Suシリーズの中でも飛び抜けて長く、Su10が18時間、Su30が14時間、Su35が16時間、Su40が14時間なのだ。
設定方法やカラー液晶の活用法などにややこなれていない感を受けるものの、多機能さやWindows DRMへの対応など、小型MP3プレーヤーとしての実力は水準以上を満たしている。長時間駆動を重視するユーザーならば、検討の価値がある製品といえるだろう。
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