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電子ペーパーを綴る“魔法の粉”もうすぐ実用化FPD International 2004(2/2 ページ)

» 2004年10月21日 11時30分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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photo 超薄型の特性を生かしたICカードへの組み込み例

 E Inkなど、他の電子ペーパーに採用されている電気泳動方式と絶対的に異なる点は「応答速度の速さ」だ。電気泳動方式の応答速度が数十〜百数十ミリ秒と非常に遅く、動画用途には不向きといわれているのに対し、粒子が空気中を移動する電子粉流体は液晶(10ミリ秒前後)よりも高速な0.2ミリ秒というスピードで白黒の切り替えが行えるため、液晶を超えるスムーズな動画再生も可能になる。

 TFT基板が必要ない単純マトリックス構造で、液晶のような偏光板/反射板/バックライトも要らないため非常に低コストで作れ、E Inkなど他方式よりもはるかに安くできるという。また、高精細化に向けた開発も進んでおり、ブースでは400dpiのQR-LPDも紹介されていた。

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 「2002年3月の発表から研究を重ね、かなり完成度が高まってきたので今回国内で初めて公開した。実用化も近く、来年春ぐらいの量産を目指している。最初のアプリケーションは詳しくは言えないが、3〜5インチぐらいのサイズで解像度QVGA程度のディスプレイになる予定。カラーフィルターを使用したり粉流体自体に色をつけたりして、カラー化も技術的には十分可能。当初はモノクロからスタートし、マルチカラー/グレースケール/フルカラーと進化させ、4〜5年後には動画再生も行えるペーパーライクディスプレイを作っていきたい」(同社)

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