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リアプロTVは日本に根付くのか?Theater Style〜麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/5 ページ)

» 2004年11月19日 10時01分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 年末商戦に向けて薄型大画面テレビの人気が加速しているが、今年後半に国内で注目を集めた大画面テレビがある。――それが「リアプロジェクションTV(リアプロTV)」だ。

 実はリアプロTVは米国では昨年から大ヒット商品となっていた。50インチ以上の大画面が安価に楽しめるコストパフォーマンスの高さや、以前に比べて大幅に向上した画質などがヒットの理由。だが国内の家庭用リアプロTVは、これまではソニー1社が2世代前のモデルを細々と販売しているぐらいの小さな市場だった。

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 その状況が一変したのが今年の5月で、セイコーエプソンがリアプロTV「LIVINGSTATION」を国内に投入したほか、三菱電機も液晶テレビの発表会で今年度内のリアプロTV国内発売を表明。9月には三洋電機が国内向けリアプロTVを12月に発売すると発表した。

 そのほか、ソニー日本ビクターも北米向けリアプロTV新製品を国内メディアや展示会を通じてアピールするなど、ここ数カ月でにわかにリアプロTV市場がにぎやかになっている。

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 だが一方で、「欧米に比べて家屋の狭い日本でリアプロTVが普及するのか」という疑問の声も聞かれる。果たして“第3の大画面”リアプロTVは日本のユーザーに受け入れられるのだろうか。

 読者に役立つ最新のデジタルAV情報を聞き出す月イチ連載“麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」”。先月の第1回は「ホームシアター派に贈る“秋のプロジェクター”」をテーマに語ってもらった。

 連載第2回目のテーマは「リアプロTVは日本に根付くのか?」。麻倉氏独自の鋭い視点で、日本市場でのリアプロTVの位置付けや将来性などを語ってもらった。


――米国でリアプロTVが普及した背景を教えてください。

麻倉氏 : 米国ではリアプロTVがものすごい人気で、2000ドルぐらいからの低価格なCRT管タイプのものと、LCD/DLP/LCOSなどマイクロディスプレイタイプ(画素型)で人気を二分しています。米国でリアプロTVが売れ始めたのは2000年ぐらい。普及の引き金になったのは“結果的に”デジタル放送なのですが、デジタル放送が観たくてリアプロTVが売れたのではないところが面白いところです。

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 米国では1998年にATSC方式のデジタル放送が始まったのですが、最初は鳴かず飛ばずで一向に普及しませんでした。メーカーはテレビとオプションのデジタル放送対応STBをセットにした“HDTVレディ”の新世代テレビとして売りだしたのですが、これがCRT方式のリアプロTVだったのです。だがSTBは売れなくて、リアプロTVばかりが売れてしまうという皮肉な結果になりました。理由は、リアプロTVがデジタルハイビジョン対応のために搭載していたスケーラーが、DVDのプログレッシブ(480p)映像に対しても非常に相性がよかったためです。

 つまりリアプロTVはデジタル放送だけでなく、DVDを大画面で見るのにも非常に適したテレビだったのです。ユーザーはリアプロTVをデジタル放送が観れるテレビとしてではなく、DVDを大画面で美しい画面で楽しめるシアターとしてこぞって購入したというわけです。

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