――来年にかけてのリアプロTVのトレンドを教えてください。
麻倉氏 : やはり“フルハイビジョン対応”でしょう。すでにソニーがSXRDでフルハイビジョンを実現していますし、D-ILAもフロントプロジェクターではすでに登場しているのでリアプロTVも時間の問題です。LCDもエプソンが1.3インチパネルでフルハイビジョンを実現し、先日富士通ゼネラルのプロジェクターとして製品化されました。来年には0.9インチ以下のサイズでフルハイビジョン対応パネルが登場するはずなので、リアプロTVへの展開も期待できます。DLPも来年後半以降にフルハイビジョンへ対応してくるでしょう。
一方、ライバルとなるプラズマテレビでは、フルハイビジョン対応をうたった家庭向け製品は今のところ登場していません。家庭向け世界最大をうたって登場した松下の65V型プラズマでもフルハイビジョン対応ではないのです。
液晶テレビではシャープの45V型、Samsungの46V型などがフルハイビジョン対応ですが、両機種ともに100万円前後と高額です。アフォーダブルなフルハイビジョン大画面テレビとしてはマイクロディスプレイによるリアプロTVが一番有力でしょう。
――日本でリアプロTVが普及するためにはなにが必要ですか?
麻倉氏 : 日本ではスペース的な問題のほかに、CRT方式でのフォーカスが甘く画質が悪いというマイナスイメージを払拭しきれていません。もっとも、フロントプロジェクターも数年前ちょうど同じような状況でしたが、今、ブレイクしています。スクリーンが必要など設置的にはリアプロTVよりも厳しいフロントプロジェクターが受け入れられたのですから、リアプロTVも日本で普及するチャンスはあるはずです。
マイクロディスプレイ方式は、ハイビジョンをキレイに映し出せるんだということをもっとアピールするべきです。重要なのはスタイリング。デザインへのリソースのかけかたをもっと増やすべきです。Samsung製品のデザインの秀逸さはさきほど述べましたが、実はSamsungも以前に大画面テレビの取り組みでFLCD(強誘電性液晶)を使って失敗しています。ですが過去の経験を生かして、今はDLPで成功しているのです。Samsungのように、日本メーカーもしっかりとリアプロTVに取り組めば、日本でも成功すると思います。
リアプロは安さが最大の売り。プラズマ/液晶などほかのテレビが高いからリアプロの存在価値があるのです。ですが業界の統計では、薄型テレビは2008年には今の半値になるという予測がされてます。そして、ブラウン管なみの高画質を薄型テレビで可能にするSEDも、2010年には8万円になるといっています。そうなったとき、リアプロTVの価格面のメリットは少なくなり、その存在価値が問われてくるのです。
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