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ワイヤレスで快適な“ホームシアター第一歩”――パイオニア「HTP-S2」レビュー:5.1chサラウンドシステム特集(1/4 ページ)

» 2004年11月25日 16時16分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 “ホームシアターの時代がやってきた”――。

 そんな言葉をよく耳にするが、導入しているのはごく一部の層にすぎないというのが現実だろう。DVDプレーヤーやデジタル放送チューナーなど、再生側の機器は持っていても、フロントプロジェクターや本格的なスピーカーを何本も組み合わせたサラウンドシステム、それをドライブするためのAVアンプと、出力側の敷居が高そうに感じられるのは、やむをえないのかもしれない。

 さまざまな情報ソースで、何百万円もするプロジェクターや、何十万円もするAVアンプやスピーカーシステムが、ごく当たり前のように喧伝されているのも、その要因の1つだろう。

 しかし、実際のところは、各メーカーでは低価格帯の製品も提供している。一般への普及に取り組むなら、こうした入門機の存在が不可欠だからだ。実をいうと当初は「10万円以下の5.1chサラウンドシステム」というくくりで、マルチチャンネル対応アンプとスピーカー6本をセットにした製品を取り上げようと企画していた。しかし、調べてみると、5万円以下の価格帯が賑わいを見せている。

 そこで今回は、「5万円以下の5.1chサラウンドシステム」を6〜8製品ほど取り上げることにした。レビュー機は、最近(古くても今年)発売された製品のみに絞っている。

 ここまで安いと、機能や品質に疑念を抱いてしまうが、リストアップした製品はすべて、ドルビーデジタルやDTSはもちろん、MPEG-2 AACのデコードにも対応している。中にはワイヤレス(リア)スピーカーを採用した製品や、木目調に仕上げられたスピーカーもある。音の程度は聴いてみないと不明だが、少なくとも機能面では、サラウンド入門者にとって、満足のいく内容が揃っているといえそうだ。


 レビュー連載の第1回目に紹介するのは、パイオニアのワイアレスシアター「HTP-S2」。この製品ではサラウンドチャンネル、つまりリアスピーカーに無線伝送を採用しており、スピーカーケーブルを接続しなくてよい。

photo パイオニア「HTP-S2」。アンプ、フロントスピーカー2本、センタースピーカー、サブウーファー、および、リアスピーカーユニットとワイヤレストランスミッターで構成される。外箱は1つにまとまっている

 とはいえ、当然ながら、電源を供給してやる必要はあるので、完全にセッティングフリーとは言えない。ただし、ワイヤレスモードを切り替えれば、単なるワイヤレスステレオスピーカーとして利用可能だ。ふだんはリビングのリアスピーカーとして使い、料理の際にはキッチンへ持っていってBGMを流す、という使い方ができるのは面白い。

photo 小型アンテナを装備したワイヤレストランスミッター。受信状況に応じて、4つのチャンネルに切り替えられる

 製品の構成は、アンプ、フロント左/右(以下、L/R)、センター(以下、C)、サブウーファー(以下、SW)、そして、リアスピーカーユニット、および、ワイヤレストランスミッターとなる。L/RとCは密閉式ブックシェルフ型、SWはバスレフ式フロア型で、ともに防磁設計。また、SWはパワードスピーカーではないので、電源は必要なく、L/RやCと同じく、スピーカーケーブルのみを接続すればよい。

photo サブウーファーは前面(写真左)にバスレフ、背面(写真右)にスピーカーユニットが取り付けられている
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