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リアスピーカーを完全ワイヤレス化――ソニー「HT-SL99BW」レビュー:5.1chサラウンドシステム(1/3 ページ)

» 2004年12月06日 12時55分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 現在、レビュー特集として、「5万円以下の5.1chサラウンドシステム」(別記事123を参照)が継続中だが、そちらとは別に、ここではソニーの5.1chホームシアターシステム「HT-SL99BW」を単体レビューとして取り上げる。というのも、この製品は実売価格で10万円程度、1ランク上の機種となるからだ。

photo ソニーのバッテリーワイヤレスシアターシステム「HT-SL99BW」。フロント2本はコンパクトだが、比較的大型のサブウーファーとアンプで構成される

 「HT-SL99BW」ではリアスピーカーがワイヤレス仕様になっている。これだけなら、パイオニアのワイヤレスシアター「HTP-S2」と同じなのだが、「HT-SL99BW」ではバッテリー駆動まで実現し、リアスピーカーに関しては完全なフリーセッティングも可能となっている。

 アンプとリアスピーカーとの間のワイヤレス送受信には、赤外線を利用したソニー独自の光ワイヤレス伝送(デジタル)を採用。アンプ側に付属の発光ユニットを接続すれば(「「HTP-S2」」のように、別に電源ケーブルを接続する必要はない)、リアスピーカーに内蔵された受光部が信号を受け取り、音声を出力してくれる。同方式の場合、ワイヤレスLANなどとの干渉は少なくなるが、気になるのは光の遮断による影響の度合いである。

photo アンプ側に付属の光ワイヤレス伝送(デジタル)発光ユニットを接続。別に電源ケーブルを接続する必要などはない

 以前試用したビクターの光ハイビジョン伝送システム「LW-HDW1」では、設置時にかなりシビアな光軸調整(自動だが)が必要で、直線での見通しが必須だった。ただ、あちらはハイビジョン映像という、ビットレートが格段に高い信号伝送(伝送性能は1.5Gbpsを確保)を扱うので、当然といえば当然。「HT-SL99BW」では、さほど気にする必要はないようだ。

 実際、厳密に直線で見通しを確保する必要などはないし、しかも多少の遮蔽であれば回避する。つまり、前を通ったりする程度では音声は途切れない。また、うちではリアを棚の上に置いて使用したのだが、棚の底板で通信対象が若干隠れる位置関係にもかかわらず、特に受信状態に問題はなかった。さすがに、送信ユニットを手で覆い隠せば遮断されるし、あるいは赤外線リモコンの信号をリアスピーカーの受光部に向けて出せば、音は一瞬途切れる。

 しかし、それは意地悪な行為以外の何物でもなく、通常の使用(リモコン操作も含め)では音が途切れることはなかった。また、極端に受信環境が悪い場合に備え、外付けの受信ユニットも付属するので、状況によってはそちらを使えばいい(ケーブルでつなぐと、かなり意味ナシな感じになるが)。

photo 基本的には左側の発光ユニットのみ使用するが、受信状況に応じて利用できるよう、リアスピーカー側にも外付けの受光ユニットが付属

 バッテリー駆動が可能ということで、設置場所の条件は緩和されるが、それ以外に想定されるのは、ワイヤレスステレオスピーカーとしての用途だ。つまり、キッチンなど、離れた場所でアンプからの信号を受け、音楽などを聴くというもの。サウンドフィールドのモードを「STEREO.W(ステレオワイヤレス)」にすれば、サラウンド音声ではなく、ステレオ音声をダイレクトに流せる(左右は逆)。

 では、どれくらいの範囲・向きで使えるかとやってみたが、さすがに無線方式の「HTP-S2」ほどの融通はきかない。同じ部屋の中であれば5メートルほど離しても受信できたし、また、比較的近距離であれば、真っ直ぐに向かい合わせなくても壁からの反射が見込める状況なら受信可能だったが、別の部屋では当然ながら無理。デジタル伝送なので、受信不可の場合は基本的に、音声が弱まっていったり、ノイズが乗るのではなく、即座に音声が途切れる。

photo 門松の竹のような形状のフロントスピーカー。バラのケーブルを差し込む、一般的な端子

 フロントスピーカーは2ウェイ・バスレフ型で、もちろん防磁タイプ。センターはリアをそのまま小さくしたようなスタイルになっている(ワイヤレスではない)。この3本のスピーカーには、付属スピーカーケーブルのバラの側を差し込み、アンプ側はコネクタを接続すればいい。サブウーファーはアンプ内蔵型で、重量は10キロ程度だが、大きさは結構ある。接続は当然ながらRCAピンケーブル1本だ。

photo デザインの似通ったセンター(手前)とリア。ただし、リアにはバッテリや受光ユニットも内蔵されているので、サイズはひと回り大きく、スピーカーユニットの構成も異なる
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