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サッカー“人vsロボット”への1歩――ロボカップ、ヒューマノイドも団体戦に(2/2 ページ)

» 2005年06月27日 23時44分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 ロボカップの目標が「2050年までにサッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」であることは既に語られているが、自律型2足歩行ロボット(ヒューマノイド型)のロボカップでの競技内容はこれまで「歩く」「パスをする」「PK戦」などに限られており、より本物のサッカーの近い、団体戦がルールとして定められたのは今年からだ。

 VisiON NEXTAも2体がフォワードとゴールキーパーの役割を分担することでチームプレーを実現しているが、まだまだお互いの連携など未完成な部分も多い。「そうサッカーらしい試合は望めないかもしれないですが、見所です」――ロボカップ日本委員会 会長の松原仁氏は愛情を込めながらもやや皮肉なコメントを発したが、最終目標に向けて、ひとつの大きな課題に取り組み始めたと言えるだろう。

photo こちらはシュートシーン。キックされたボールは結構な勢いで飛んでいく

 また、会場にはロボカップに協賛する日本SGIの「BlackShip」と、同じく協賛企業であるイーケイジャパンの「サッカー・ロボ915」も展示されていた。

 「BlackShip」は移動機能を備えた台車(ベースユニット)とバッテリー、サンプルソフトで構成された研究開発用プラットフォーム。同社と電通大が共同開発したレスキューロボット「FUMA」を元に製品化されたもので、7月1日より販売される。価格は105万円。

photo Blackshipと日本SGI 代表取締役社長 CEOの和泉法夫氏

 移動という最低限必要な機能と各種接続インタフェースをセットにして安価に提供することで、ロボット用ソフトウェアや周辺装置類の研究開発を促進することが狙い。RS-232CとRS485を標準で備えるほか、カメラやジャイロ、熱センサーなども装着可能となっている。サイズは640(長さ)×460(幅)×310(高さ)ミリ、約20キロ(バッテリ含む)。

photo タイヤを交換可能。左はカメラ、右は超音波センサーを搭載しているBlackShip。「現在のロボット市場にはキラーアプリが存在しておらず、これでは市場は育たない。こうしたプラットフォームを提供することで、市場の拡大を促進できれば」(同社)

 「サッカー・ロボ915」は、ロボカップジュニアに対応した自律型ロボットで、フラッシュメモリ内蔵のワンチップマイコンを搭載しており、各種センサーと自作したプログラムを組み合わせることで、認識した環境に対応した動きをすることができる。現在、最も参加人数が多いカテゴリーはロボカップジュニアだそうで、「あと数年で世界のロボット研究者のすべてがロボカップジュニアの経験者になるだろう」とも言われている。

photo サッカー・ロボ915。「子供たちに物作りや科学技術への関心を持って欲しい」とは、イーケイジャパン 代表取締役社長の井口秀実氏。同社はテムザックと同じくロボット特区である福岡県の企業
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