というのも上位実売で20万クラスの720P解像度対応プロジェクターが、モデルチェンジを前にして実売価格がEMP-TW20に近いところにまで落ちてきているからだ。本機が高い設置性と1200ルーメンという明るさでアピールする一方、解像度の差は現実には存在する。透過型液晶パネルプロジェクターにある液晶のブラックマスクに起因する格子感も、解像度が低い分だけ目立つ印象だ。
しかし格子感を抜きにすれば、むしろDVDとの親和性は720Pの各機種よりも高い。DVD映像の拡大処理がしやすいパネル解像度になっているためだ。ハイビジョン画質を重視しないならば、本機の方がむしろ良いかもしれない。また、絵作りの面でも十分に満足できる完成度の高い仕上がりになっている。
設置性と同じぐらいに、画質面もソツなくまとまっており、大きな不満を感じない。ローエンド製品の定番とも言える完成度の高さだ。
エプソン製プロジェクターは、絵作り/ランプパワー/エプソンシネマフィルターの3要素の組み合わせをカラーモードとしてプリセットしており、利用シーンの選択(=カラーモードの選択)を行うことで明るさや絵が変化する仕組みになっている。
ここで注目したいのは最大1200ルーメンから最低は350ルーメンまで、非常に幅広い輝度レンジで絵を作り込んでいる事だ。さすがに最も明るく見える[ダイナミック]は、白が潰れコントラスト感も低く、さらに色のバランスも悪いが、かなり明るい部屋でも映像を判別できる。しかし、明るい部屋で多用するのは、おそらく[リビング]モードだろう。
リビングモードはダイナミックモードほど、明るさを強調するような絵作りにはなっておらず、比較的ナチュラルに映像を見れる上、さほど明るくない電灯ならば点けたままでも映像を見ることが可能だ。子供たちに、比較的明るいシーンの多いアニメ系のDVDを見せるといった時にいいだろう。
エプソンシネマフィルターは高圧水銀ランプの光が持つスペクトラムのクセを抑え、色かぶりを抑え、緑の色純度を上げる効果がある。緑を液晶パネル側で抑え込む必要がないため、階調の分解能という面でも有利だ。
[ナチュラル]は、パソコンのディスプレイに近い雰囲気だが、肌色や緑、空や海の青などがキレイに見えるよう絵を作り込んでいるようだ。同社製プリンタの絵作りに近い。
一方、一般的なDVDソースは[シアター]モードが適している。ナチュラルモードよりも、グッと黒が沈み込むトーンカーブを描き、フィルムソースの映像を自然に見せる。肌色や自然色の再現手法はナチュラルと同傾向。つまり、色の作り方はほとんど同じで、トーンカーブを映画向きに最適化しているわけだ。
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