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1台で二度美味しい? シャープが「デュアルビュー液晶」発表(2/2 ページ)

» 2005年07月14日 18時52分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 2つの液晶パネルは、いずれも裸眼立体視が可能な3D液晶の技術をベースにしている。3D液晶では、人間の目の幅(視差)に合わせて左目用の映像と右目用の映像をそれぞれ作成し、2つの映像を微妙にずらして表示し、画面の上に設けられた「視差バリア」で、それぞれの目に別々の光(=画面)を届ける。視差のある映像が左右の目に入ると、人間は立体的に感じるという。

 デュアルビュー液晶は、3D液晶の視野角制御技術を進化させたものだ。3D液晶より、液晶パネルに近い位置に視差バリアを設け、バックライトの光の拡散を左右2方向に分離する仕組みだ。液晶パネルには、2つの映像がそれぞれ短冊状の互い違いに表示されていて、視差バリア越しにみると1枚の映像として見える。つまり、3D液晶では右目用、左目用の映像になるところを別々の映像に置き換え、視差を大幅に広げたようなイメージだろう。

photo デュアルビュー液晶の原理

 もちろん、液晶パネル自体は従来と同じのため、2つの映像を同時に見るときは水平方向の解像度が半分になってしまう。また、視差バリアがあるため輝度も通常よりは落ちる。「確かに同レベルのバックライトで比較したときは暗くなる。しかし、バックライト側の調整で現在の液晶テレビなどと同レベルにできるだろう」(シャープ)。

 実際に試作機をみると、左右どちらの画面も十分にキレイだ。シャープでは、2画面による対戦ゲーム、カーナビ、航空機内のテレビなど、さまざまな応用を検討しており、発表会場の一画に設けられた展示スペースでデモンストレーションを行っていた(別記事を参照)

 一方のベールビュー液晶は、一般的なTFT液晶パネルの上に、もう一枚の「スイッチ液晶」を重ねたところが技術的なポイントだ。スイッチ液晶は、電圧をかける(=スイッチを入れる)と黒い画面を表示するのだが、その液晶分子の複屈折により、光を透過する方向が調整できる。これを利用して、正面にはそのまま光を通し、左右への光を遮蔽すると、視野角が狭くなるという仕組みだ。左右から見ると、スイッチ液晶が描画した「SHARP」のロゴだけが見える。

photo ベールビュー液晶の断面図

 シャープによると、2種類の液晶パネルは、ともに2005年7月から三重県の同社工場で量産を開始する予定だという。自社を含むセットメーカーとは交渉を進めている段階だが、「この夏から秋にかけて、これらのパネルを採用した製品が登場してくるだろう」(シャープ)としている。

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