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急速に拡大するVOD事業の夢と現実(後編)小寺信良(3/4 ページ)

» 2005年08月08日 10時00分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 このあたりのサービスについて、オンデマンドTV広報部課長の岳崎将義氏にお話しをうかがった。

岳崎氏:「我々はVODサービスとして結果的には後発になってしまったわけですが、その理由の1つがSTBの開発に長く時間をかけたこと、そしてもう1つが『見放題』という仕組みにこだわったことです。各コンテンツホルダーさんに交渉に行くわけですが、最初は見放題という条件を出すと、まず門前払いでしたね。それで契約に至るまで、ずいぶんと時間がかかりました」

photo オンデマンドTV広報部課長の岳崎 将義氏

 現在オンデマンドTVで用意しているコンテンツは、1500本。今年度末までには2800本、さらに5年後には5500本まで拡充したいという。

岳崎氏:「現在公開している1500本という品揃えに関して、多いのか少ないのかという議論はあると思います。例えばレンタルビデオ店には、だいたい1万2000本から1万5000本の作品がありますが、実際に流動するコンテンツは、1/3から1/5と言われています。そう考えると、 一般ユーザーが満足できるような本数というのはだいたい3000本ぐらいかなと。それは今年度までで揃えていけると思っています」

 オンデマンドTVのコンテンツラインナップを見てみると、聞いたこともないようなマイナーな映画はほとんどなく、音楽系コンテンツもかなり充実しており、一般的に見たいと思われるコンテンツが揃っている。またテレビ局提供のコンテンツとして「フジテレビ On Demand」の「女子バレーボール ワールドグランプリ2005」が7月23日から早速登場している。

岳崎氏:「VODが『家で見るレンタルビデオ店』にならない可能性というのも、実はまだあると思うんですね。そうなったときに、実際にどういうコンテンツが視聴者に受け入れられるのか。品揃えの数は誰しも気にするところなんですが、誰も見ないようなシリーズをたくさん揃えて本数を稼ぐようなことはしたくないんです。そう言う意味で我々は、コンテンツの質を重視しています」

VODライフがスタート

 オンデマンドTVの操作は、非常に簡単だ。スクエアエニックスに開発を依頼したというGUI画面に従って、リモコンの十字キーで操作するだけである。メニューを移動したり決定したりすると、それに合わせてかわいい音が鳴る。このあたりはTivoのメニュー操作に近い。

photo オンデマンドTVのトップメニュー。十字キーで選ぶだけですべての操作が可能

 いくつかのコンテンツを視聴してみた。画質は現在のところ、MPEG-2で4Mbpsの1passエンコードということで、込み入ったシーンではブロックノイズを感じる。ただほとんどのシーンでは問題なく、平均すると少なくともスカパー! の画質よりはいい。ただ、総じて言えるのは、決して大画面テレビ向きの映像品質ではないということだ。おそらく14〜20インチ程度のブラウン管テレビが、一番キレイに見えるだろう。

photo オンデマンドTVから送られてくる専用STB。バッファローが製造している
photo 映像出力はD1出力とコンポジットで、S端子はない。音声はアナログLRのみ

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