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圧縮音源もCDクオリティ――ビクターの高音質化技術「net K2」(1/2 ページ)

» 2005年09月15日 19時00分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 ビクターエンタテイメントと日本ビクターは9月15日、両社のデジタル高音質化技術「K2」を圧縮音源向けに改良した「net K2」を発表、同技術を用いた高音質音楽配信サービスを10月1日より開始すると発表した。

 K2は両社が1987年より開発/実用化を進めている高音質化技術で、デジタル信号の伝送過程に発生する音質変化を排除するインタフェース技術「K2デジタル信号伝送技術」や、マスターテープをDVD-AudioやCDなどへ変換する際に音質を変化させない「K2高音質化情報処理技術」などで構成されている。

 net K2はこのK2をベースに圧縮音源の高音質化を目指した技術で、「配信前の高音質化技術」(K2プリ処理技術)、「伝送過程における音質変化要因の除去」、「機器再生時における高音質化処理」(ポスト処理技術)の3つから構成されている。

 圧縮音源の形式(フォーマット)はそのままに、それぞれの技術を「マスターテープからの圧縮処理」「音楽配信時」「端末再生」それぞれの段階で活用し、包括的な音質の向上を狙う。

photo net K2の概略図

 本来アナログなものである音楽をCDなどのデジタルメディアに納める際には、何らかの変換/圧縮を行う必要があり、圧縮時には人間の耳には聞こえにくい部分からカットすることになる。聞こえにくい部分といっても、原音からなんらかの要素をカットしてることには変わりなく、マスターテープに比べると「躍動感や感動のようなものが失われてしまう」(同社)。

 K2プリ処理技術はマスターテープからデジタルマスターを作成する際に、このカットされてしまう要素をデジタル処理によって補完する技術。デジタルマスターの高音質化をはかる技術であるので、AACやWMA、ATRACなど、どのようなデジタルフォーマットを使用する場合でも「オリジナルのマスターにより近い」音質を実現するという。

photo K2プリ処理技術の概略図
photo K2プリ処理はソフトウェア処理にて行われる。デジタルマスター自体の高音質化をはかる技術であるので、最終的なフォーマットを問わない高音質化が行える
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