大型ボタンや表示行数の多い液晶を搭載していることもあり、使い勝手は良い。クリックホイールを搭載したiPodと比較しても引けを取るものではない。ただし、最大でも2Gバイトまでのストレージ(SDメモリーカード)しか搭載できないので、基本的にはSD-Jukeboxでプレイリストを作成して転送するか、アルバムやアーティストごとにSDメモリーカードを交換しながら利用することになるだろう。
既存製品「SV-SD90/100V」や「SV-MP720V/730V」にも搭載されている「D.SOUNDエンジン」の恩恵か、音質も極めて良好。全域に渡ってしっかりとした“押し出し”を感じることができるうえ、低音もわざとらしさを感じさせない範囲でその存在を主張している。
D.SOUNDエンジンはデジタルアンプ、イコライザー、圧縮音源の自動補正機能「リ.マスター」などを統合した高音化技術で、新製品4機種すべてに搭載されている。上位モデルのSV-SD700/750Vには、これに加えて、低域用と中高域という2つのドライバーユニットを搭載した「ダブルドライブインサイドフォン」が付属しており、これも優れた音質に一役かっている。
以前の同社SDポータブルオーディオ製品を使用した際にも感じたことだが、実際に新製品を触ってみてその思いを強くしたことがある。本製品は「デジタルオーディオプレーヤー」というジャンルの製品ではあるが、iPodやウォークマンとは異なる路線を歩んでいるということだ。
本製品はメディアに内蔵ストレージではなくSDメモリーカードを使用しているので、どうしても1曲あたりの単価は高くなりがち。SDメモリーカードは最大でも2Gバイトまでの容量を持つものしか用意されていないので、「これだけのコンパクトボディに○万曲」といったアピールもしにくい。
しかし、細部まで気を配った作り込みや取扱説明書の丁寧さなどは、デジタルオーディオプレーヤーというよりも、「家電」であるポータブルCD/MDプレーヤーを連想させる。また、デジカメの普及にともないSDメモリーカードが余っている人も多いはずで、そうしたカードを活用できるのも本製品のメリットだ。
あえて断言してしまうならば、この製品はポータブルMDを買い換えたい、というユーザーにこそ向いている。「アーティストやアルバムごとにSDカードを取りかえて楽しめます」という同社のアピールもポータブルMDを思い起こさせるものだ。
もちろん、操作性や音質も一定水準以上であり、デジタルオーディオプレーヤーとして競合他社製品と比べてもなんら見劣りするものではない。あまり類を見ない横長のカードタイプというデザインも秀逸であり、このデザインが気に入ったという理由で購入しても後悔することはないだろう。
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