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理想のデジカメスペック、その実力は?――リコー「Caplio R3」レビュー(3/5 ページ)

» 2005年11月18日 13時12分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 ADJ.ボタンはリコー独特のもの。撮影時によく使う機能(露出補正とWB)をワンボタンで呼び出せるものだ。さらに好きな機能を2つまで追加できる。例えばISO感度とフォーカスモードという具合だ。うまく使うと撮影中はほとんどADJ.ボタンと十字キーで済むため便利だし、ADJ.メニューの状態でもシャッターを押せばすぐ撮影にかかれ、またADJ.メニューに戻るので条件を変えながら連続して撮りたいときによい。

 ISO感度は64から800まで。増感するとノイズは増えて画質は劣化するが、ISO800まで用意されているのもリコーの特徴だ。ISO400以上ではかなり荒れるが、それを承知で高感度を使いたいこともあろう。あまり増感しなくても等倍でみると細かいノイズが気になるが、逆に余計なノイズリダクションはかけてないという感じで気持ち悪いノイズではない。

 ISOオート時は最大ISO200までちょっとずつ、焦点距離に応じて上がっていくプログラムだ。

 WBはカスタム設定も備えた本格的なもの。AWBは強めに効かせるタイプで白熱灯下でもその赤みを完全に消し去ることもある。これは好みが分かれそう。

 フォーカスモードはマルチAF、スポットAF、MFのほか、約2.5メートルの距離に固定するスナップモードと無限遠モードがある。スナップと無限遠はうまくピントが合わないとき便利だ。

シーンボタンを押すと、オートのほか、各シーンや斜め補正などの特殊なモードを選ぶことが可能
メニューは4つのタブに分かれているが、一連のメニューとしてスクロールさせることもできる。細かい設定はここで行う

 撮影機能はプログラムAEとシーンモード。基本的にはオートで使うカメラで、シーンモードにはポートレートや風景などのほか、高感度モード(ISO400になり、プレビュー時の映像が増感されるので暗いところでも構図の確認をしやすい)、斜め補正モード(斜めに撮った写真から矩形部分を検出して長方形画像を生成。EXILIMのホワイトボード撮影機能に似ている)も用意されている。

 動画はMotionJPEGのAVIファイルだが、320×240ピクセル止まりなのは残念だ。

底面にSDメモリーカードとリチウムイオンバッテリーがある。バッテリーは3.7Vの1150mAと結構大容量。本体右にUSB端子などがある

 バッテリーは専用のリチウムイオン充電池のみ。今までサポートしてきた単三形バッテリーとの併用はなくなった。CIPA規格で約310枚の撮影が可能になるなど、性能的には悪くない。

リコーらしいシャープな写り

 肝心の画質は、もうリコーらしいシャープでくっきりした絵。色も鮮やかでコントラストも高いがややカリッとしており、低感度時もややざらつきが気になることもある。逆にその分、増感時はノイジーだがディテール描写力の低下やリダクションによる不自然さはない。好き嫌いが結構出る絵作りといっていいだろう。

 7.1倍でありながら広角時の樽型歪みも最小限で、カリっとした写りなので建物を撮ったりマクロで寄って撮るときには非常に気持ちいい絵を見せてくれる。逆にボケはあまりきれいじゃない。撮り比べると望遠よりは広角時の方がいい描写をしてくれるようだ。基本的に高画質よりは守備範囲の広さを楽しみたい、あるいは雰囲気よりはそこにあるモノをシャキッと撮るカメラといってよさげだ。

 よって、望遠メインで使いたい人には勧めづらいが、広角系のスナップが中心で、でも時には望遠で撮りたい、多少暗いときも手持ちで撮りたいという人にいい。また前述のようにマクロモードは超強力なのでそういう写真を楽しみたい人にもお勧めしたい。

 個人的にはときどき動作がもたついたことやフォーカスやブレ補正がやや不安定だったこととレンズ駆動音が気になる。価格や大きさを考えるとそのスペックは破格で申し分ないが、それを実現する分、ほかで無理をしてなきゃいいがと思う。

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