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今週は「脳サピエンス」で“今さら”受験英語に挑戦してみたレビュー(3/3 ページ)

» 2005年11月25日 23時26分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 さて、借りたソフトが「ビギナー」なので、一応大学を出ている筆者としては、すべて“知っているはずの単語”。したがって、あまり時間をかけては面子に関わる。通勤電車や寝る前など、暇を見つけては2択やら、4択やら、神経衰弱やら……をこなし、累計学習時間25分で「基礎コース」を終了した。もちろん、「知っている単語ばかりでは“暗記”のレビューにならない」という根本的な問題は無視した。

 それでも、暗記エンジンの役割の一端は理解できた。端的にいうと、暗記エンジンは、「記憶のメカニズムに沿った学習を効率的かつしつこく繰り返し実行させるための人工知能」のようだ。少し真面目に解説してみよう。

 人間は、視覚や聴覚によって受け取った情報のうち、興味のあるものだけを「短期記憶」として記憶する。短期記憶は通常1分程度で消滅してしまうが、たとえばその事柄を“理解”したり、別の刺激と組み合わせて結びつきを強化することで「中期記憶」になるとされている。

 「脳サピエンス」では、まずゲーム性の高いドリルやユニークなキャラクターで“興味”を引く。ミニ単語帳やドリルでは、単語だけではなく、イラストや発音(音声)を交えて暗記させて記憶の結びつきを強化。さらに「!/?」ボタンで詳細画面を参照すると、単語に関する“理解”を深めることもできる。

 しかし、中期記憶のままでは、まだ定着したとはいえない。中期記憶は、記憶を司る「海馬」に記憶されているが、これも数時間から1カ月程度で失われれる。すっかり記憶したつもりでも、「翌日になると半分くらい忘れていた」なんて経験は誰にでもあるだろう。

 学習したことを「長期記憶」にするには、中期記憶が失われないうちに「反復」を行い、海馬に何度もアクセスする必要がある。すると脳は、その情報を“重要”と認識し、記憶を側頭葉に移して「長期記憶」にするのだ。「脳サピエンス」は、同じ単語をしつこく何度も“反復”させることで、海馬へのアクセス頻度を強制的に増やしてくれる。

 また、「スケジューリング」や「学習状況」の確認も重要な要素だろう。受験勉強の場合、勉強することが多すぎて途方にくれてしまう時もある(経験者は語る)。しかし、「どれだけ勉強すれば、この日までに840語の単語を記憶できる」と分かれば“やる気”が湧くというもの。さらに学習状況の棒グラフが黒くなっていくと、暗記が進んでいることを認識できて自信に繋がる。そうしたサポートをしてくれるのが暗記エンジンのようだ。学習感覚としては、家庭教師が“つきっきり”で暗記のサポートをしてくれるようなものだろう。

 「脳サピエンス」の価格は2万6250円、ソフトは各6195円。いずれも12月9日から全国の有名書店などで販売される予定だ。

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