金井氏自身「しばらくはブランニューの新機種を投入する必要はないでしょう」と話す。
AVアンプには今後、次世代光ディスクにおける新オーディオフォーマットへの対応といったテーマもあり、それへの対応がどうなるか? といった点も注目されている。
しかし、たとえばDolby Digital PlusをHDMI経由で転送する規格はまだ決まっておらず、実際に対応製品が出てくるのは2007年と言われている(これは開発するDolby自身のコメント)。またプレーヤー側に新音声フォーマットのデコーダが搭載されていれば、デコード後のリニアPCMデータをHDMI経由で転送することも可能だ。
今回の新製品でDVD-Audioに対応し、HDMIの音声伝送にも対応した。またアナログ映像入力のHDMIへのアップコンバートが可能になるなど、最新のAVトレンドも盛り込まれている。アナログからデジタルへ、SDからHDへとトレンドが移り変わる狭間において、きちんと次への対応ができたことが、前述の金井氏の言葉につながっているのだろう。
DA9100ESのバックパネル。写真は試作機のもので、実際の製品はスピーカー端子が透明素材のものに変更されている。iLINKが2ポートになったことやHDMI端子の装備などの違いがある
とはいえ、アンプの本職はスピーカーを気持ちよく鳴らすこと。その意味で本機が突き抜けた製品になっていることは間違いない。このレベルの完成度が他機種に伝搬すれば、“オーディオメーカーとしてのソニー”に対する見方も大きく変わっていくだろう。そう言えるほどにインパクトの強い製品である。
ソニー、自動音場補正機能を備えたフラグシップAVアンプなど
ソニーマーケティングは、自動音場補正機能などを備えたAVアンプのフラグシップモデル「TA-DA9100ES」と、同じくフラグシップモデルのSACD/DVDプレーヤー「VP-NS9100ES」を販売する。
音質調整は“職人技”、ソニー「DA7000ES」ができるまで
AVアンプ開発の最終段階であり、製品の評価を左右する音質の“チューニング”。その過程を、ソニー「TA-DA7000ES」を例に紹介してみよう。また、製品版を借りることができたので、上位機「TA-DA9000ES」と比較しながら試用してみた。
ソニー、「音作り」の哲学を語る
アナログオーディオアンプ時代からソニーの“音作り”に携わり、現在では同社のハイエンドAVアンプ「TA-DA9000ES」の開発・音決めを行った金井隆氏らに、同社の音作りの現場、そしてその哲学を語ってもらった。
若い世代が作り出した、新しい“ヤマハの音”〜「DSP-Z9」
従来のハイエンド機から一気にレンジを引き上げ、税別50万円という価格で投入されたヤマハ「DSP-Z9」。その背景にあったのは、今後10年の技術基盤を“コスト度外視”で作ろうという、トップシェアベンダーならではの大胆なプロジェクト運営だった。若いチームで挑んだハイエンド機種開発の経緯から、同社のAVアンプに対する取り組みを探る。
どん欲なまでの技術指向が生んだ“忠実な音”〜パイオニア
2001年11月に発売されたパイオニアの「VSA-AX10」は、それまでの国産AVアンプの概念を変えた。ピュアオーディオで培ったノウハウ、デジタルサラウンドなどのテクノロジ、自動音場補正ーーそこにあるのは、貪欲に最新技術を追い求め、高音質に繋がるものすべてに取り組む姿勢だった。
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