パイオニアの「DVR-640H」は、国内大手メーカーの製品として初めてHDDの増設に対応したDVDレコーダーだ。また、ダビングには既存のDVDメディアすべてを利用できるなど、アナログチューナー搭載のスタンダード機ながら見るべき点が多い。
最初にスペックをおさらいしておくと、チューナーはアナログ地上波とアナログBS。HDDは250Gバイトを内蔵。DVDドライブは2005年モデルがサポートしていたDVD-R/DVD-RW/DVD-R DLのほか、DVD-RAM、DVD+R/DVD+RW/DVD+R DLに対応。すべてのDVDメディアへのダビングを可能にした。書き込み可能なDVDメディアであれば、とにかくダビングできるわけで、間違ってDVDメディアを購入しても無駄にならないのが嬉しい。また、DVD-RAMに対応したことでPCとの親和性も向上したといえる。
最大のトピックは、やはりHDDを増設できることだ。250Gバイトの容量を持つ専用外付けHDD(HDD-S250)が用意され、本機とはE-SATAベースのインタフェースを介して接続する。増設HDDは6月下旬発売ということで今回は試用できなかったが、マニュアルや実際に操作して確認する限り、内蔵HDDからはダビングという形で録画した番組をコピー/移動(ムーブ)することでバックアップ用途に使えるし、予約録画で直接録画することも可能だ。本体が電源OFFの状態であれば自由に着脱、交換できるため、複数台を使いまわせる(同時に接続できるのは1台だけ)。E-SATA接続であれば内蔵HDDとほぼ同列に扱えると思ってよく、信頼性という意味でも不安はなさそうだ。USB2.0やIEEE1394接続でも同じことを実現できるのだろうが、少なくとも内蔵HDDと同レベルの安定動作は見込めない。転送速度の問題もあるし、USB2.0においては優先順位が高く帯域を確保しやすいアイソクロナス転送はデータが保証されず、データが保証されるバルク転送は優先順位が低いという問題も生じる。少なくともダイレクトな録画を実現するにはUSB2.0は採用しにくいだろう。
ユーザーインタフェースは、昨年のモデルから使われている新GUI。洗練されたわかりやすい操作性を持ち、マルチタスク動作の制限も非常に少ないのが特徴だ。他社でも高速ダビング中に予約録画を実行できる製品は珍しくないが、本製品のように録画中に高速ダビングやDVDメディアの初期化を行えたり、高速ダビング中でも手動録画を開始できる製品は決して多くはない。ちなみに高速ダビング中や録画中でもジュークボックス機能(後述)が使えるため、音楽を楽しみながらダビングの終了を待つ、なんてこともできる。
電源の投入から画面表示まで5秒程度(DVDメディア未装着時、全ての機能が利用可能になるまでは10秒程度)というのも素早い部類に入るし(待機電力を大きくして起動を高速化している製品を除く)、DVDメディアをセットして認識されるまでの間にもDVDメディアが関連しない操作なら行えるなど、使っていてストレスを感じない操作性を実現している。なお、操作に関しては2005年モデルから大きな変更はくわえられていないので、こちらや、こちらの記事も参考にしていただきたい。
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