ITmedia NEWS >

気軽さと音質を両立したSDプレーヤー、松下「SV-SD370V」レビュー(3/3 ページ)

» 2006年03月30日 21時20分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

シンプルで分かりやすい操作系、パワフルな低音が楽しめる音質

 転送が完了すれば本製品で音楽を楽しめる。再生ボタン長押しで電源ON/OFFとなり、「M」ボタンを押せばメインメニューを呼び出せる。用意されているメニュー項目はシンプルで、「オーディオ」、「FMチューナー」「ボイス再生」「ボイス録音」「オーディオ設定」のみだ。

photo メインメニュー

 選曲するには、機能を「オーディオ」にした状態で「S」(ミュージックサーチ)のボタンを押す。ボタンを押すと「50音検索」「プレイリスト」「アーティスト」「アルバム」「印象」「マーク登録曲」などの項目から曲が検索できる。なお、「50音検索」はプレイリストのタイトルを元にしており、曲単位の検索を行うことはできない。

photo 「S」ボタン(ミュージックサーチ)で呼び出される項目

 「プレイリスト」にはSD-Jukeboxで作成したプレイリストのほか、アルバム名/アーティスト名も表示される。便利といえば便利だが、楽曲数が多い場合にはなかなかお目当てのプレイリストにたどり着けないこともある。自分で作成したプレイリストだけを表示するようなオプション設定があってもいいように思える。

 メニュー操作にもたつきは感じられず、快適な操作が行える。特にミュージックサーチボタンが新設された効果は大きく、同種の製品を利用したことがあれば、ほぼマニュアルなしでも一通り操作できるはずだ。既存機種「SV-SD750V」では選曲するために「MODEボタンを2回押す」という操作が必要であったことを考えると、格段に分かりやすくなっている。

 操作自体は分かりやすいのだが、ディスプレイから得られる情報量は少ない。ディスプレイは2行表示になっているが、上の行は電池残量や再生モードなど状態表示専用となっており、再生中の曲名/アルバム名などは下の行にしか表示されない。本体の小型化を図った代償といえばそうなのだが、もう少し何とかならなかったのかとも思う。

photophoto 再生中のディスプレイ。表示エリアが狭いので、曲名やアーティスト名は必然的にスクロール表示になる。

 再生中のディスプレイには曲名/アルバム名のほか(曲名/プレイリスト名、曲名/ファイル形式、再生時間のいずれかに切り替えも可能)、バッテリー残量、再生モード、適用中の音響効果などが表示されるが、何も操作をしないで20秒ほど経過するとディスプレイがOFFになる。省電力のためと想像されるが、ふと曲名などが気になって目をやっても何も映っていないというケースもしばしば。ディスプレイOFFになる時間は調整できるようにして欲しい。

 音質の全体的な傾向は「SV-SD750V」と変わらない。全域に渡って張りのある、存在感を感じさせるサウンドで、ベースやバスドラの低音もしっかり感じられる。標準添付のヘッドフォンは標準的なサイズとデザインだが、既存製品の添付品と比べてユニットの口径やハウジング形状を見直したほか、振動板も新形状になっている。このヘッドフォンが低音のプレゼンス向上に寄与している部分は大きいだろう。

photo 標準添付のヘッドフォン

 「EQ」にはノーマル/S-XBS1(低音強調)/S-XBS1(さらに低音強調)/トレイン(電車モード)の4項目が用意され、「音質効果」にはリ.マスター/P.SRD1(バーチャルサラウンド)/P.SRD2(バーチャルサラウンドをさらに強調)の3項目が用意される。リ.マスターは圧縮音源の自動補正機能で、具体的には圧縮時に失われる高音域を補正することで原音に近い音を再現する。機能の性格上、高ビットレート楽曲への効果は薄いが、WMA 96kbpsなどではハッキリとその差が実感できた。


 2005年冬に登場したカードタイププレーヤー「SV-SD750V」をレビューした際、筆者は「iPodやウォークマンとは異なり、誰でも気軽に使える“家電”としての路線を歩んでいる」と評した。新製品はシンプルな操作系や丁寧な取扱説明書などを備えており、その路線を忠実に踏襲している。約38グラムという軽量化も、より「気軽さ」を強調しているように感じる。

 SDメモリーカードを別途用意しなくてはならず、単純な価格競争では他製品に見劣りする面があるのは否めないが、最近では2GバイトのSDメモリーカードですら1万円を切る価格で購入できる。デジカメで使わなくなった128Mバイトや256Mバイトのカードを転用してもいいし、1枚の大容量カードをデジカメと兼用で使ってもいい。

 実売想定価格は1万5000円前後だが、音楽再生だけに機能を絞った「SV-SD310」ならば1万3000円前後の見込み。気軽に使えるポータブルプレーヤーを探しているならば、検討する価値はあるだろう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.