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復活した「DIATONE」の音を聴く(1/2 ページ)

» 2006年05月09日 22時02分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 昨年末、往年のスピーカーブランド「DIATONE」が6年ぶりの復活を果たした。30代以上のオーディオファンなら“懐かしさ”や“憧れ”といった感情を呼び起こされるかもしれない、国産スピーカーシステムの草分け的存在だ。現在は店頭販売をしていないために実際の製品を目にする機会は極端に少ないが、4月下旬に東京・九段北に「試聴室」がオープン。事前に予約さえすれば誰でも試聴できるという。早速、訪ねてきた。

photo 九段下駅のすぐ近くにある三菱電機エンジニアリングのビル(東西線九段下駅から徒歩0分)。試聴室は1階ショウルームスペースの奥にある

 「DIATONE」といえば、1946年のフルレンジスピーカー開発とともに誕生し、半世紀に渡ってオーディオファンの支持を受けた三菱電機のブランドだ。しかし、1999年に三菱が民生用オーディオスピーカーから撤退。従来からのAV製品や車載用スピーカーなどには使われていたものの、単品スピーカーの開発はストップしていた。

 ところが2005年11月、三菱電機の子会社である三菱電機エンジニアリングが単品スピーカーの開発を表明。「今から6年ほど前に三菱電機からDIATONEの技術移管とブランドの使用権を受け、開発を進めてきました」(同社東日本営業所音響システム営業課の太田俊彦課長)。そして年末には、高級フロア型スピーカーシステム「DS-MA1」をリリースする。

photo 大胆なサーフェースカットが印象的な「DS-MA1」。価格は1本105万円

 DS-MA1は、伝統の技術と新しい技術が同居するスピーカーシステムだ。たとえば中・高音ユニットには、スタジオモニター「2S-3003」にも使われていたピュアボロン(B4C)振動板を採用し、一般的な金属製振動板では得にくい「固有音の少ないピュアな音質」を目指している。低音ユニットにはアラミッドクロスコーン振動板を使用。いずれも最新のチューニングを施し、また低ひずみ磁気回路「ADMC」(Advanced Magnet Circuit)なども取り込んだ。

photo ピュアボロン(B4C)振動板の中・高音ユニット。とても重い

 チェリー仕上げのエンクロージャーには、振動減衰特性に優れるピアノ響板材スプルースを適所に配置。大胆なサーフェースカットが、見る者に強烈な印象を与える。

 ただし、それだけに工程は複雑だ。DS-MA1は、専用の“ダイヤトーン工房”で一台ずつハンドクラフトによる受注生産を行っており、組み上げから表面の仕上げまで、すべて“職人技そのもの”という。「クラフトマンシップの製品です。そのために、長年経験を積んだ職人さんたちにも加わってもらいました」(音響システム営業課の佐山正明課長代理)。

型番 DS-MA1
方式 3Way3スピーカーシステム、バスレフ方式フロア型
使用ユニット 高音用:3センチリングラジエータ型(フロントロード付き)
中音用:7.5センチドーム型(フロントロード付き)
低音用:30センチコーン型
定格インピーダンス 6オーム
再生周波数帯域 35〜80000Hz
クロスオーバー周波数 500Hz、5000Hz
最大入力 180ワット(JEITA)
外形寸法 450(幅)×1096(高さ)×420(奥行き)ミリ
重量 73キロ
付属品 砲金製インシュレーター×4個
価格 105万円(1本)
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