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「DIATONE」、高級カーオーディオ市場へ本格参入

» 2006年09月07日 13時36分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 三菱電機は9月7日、「DAITONE」ブランドの高級カーオーディオ用スピーカー「DS-SA3の受注を10月中旬より開始すると発表した。価格は25万円。上位モデルの「DS-SA1」も2007年春から受注開始の予定で、こちらの価格は50万円(予定価格)。

 新製品は25ミリトゥイーター(DS-SA1は25ミリ)と160ミリウーファーを組み合わせた、2ウェイ構成の車載用スピーカー。クロスオーバーネットワークも用意される。いずれのスピーカーも、トゥイーターの振動板に同社独自の素材が利用されているのが大きな特徴で、素材の選択を含めて車載に適した設計が行われている。

photo 「DS-SA3」。左からトゥイーター、ウーファー、クロスオーバーネットワーク

 「音楽情報をできるだけ加工せずストレートに再生するという、ハイエンドホームオーディオの設計思想を車載用として実現した。“DIATONE”の名にふさわしい製品として送り出したい」(同社 常務執行役 自動車機器事業本部長 上田敦氏)。

 クルマの前トビラ内側にウーファー、フロント部分にトゥイーターを配置することを想定しており、既にスピーカーシステムがある場合には入れ替えとなる。調整を含めて、取り付けには車両の加工が必要となるため、専門技術を持ったカーショップでの販売となる。

 DS-SA3のトゥイーターには、SR(SuperRigidity)チタンを振動板の素材として使用。特殊焼成処理による3層構造で、従来のチタン製トゥイーターに比べて剛性値が40%向上しており、内部損失特性も向上している。チタン特有の金属音が減少しているほか、再生周波数帯域も広域化している。

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 また、トゥーイーターの前縁部(フロントロード)は振動板のエネルギーを無駄なく空気へ伝える「フロントロード・ダイレクトラジエーター方式」を採用。窓ガラスでの反射音量を低減し、騒音でかき消されがちな高音の純度を保つことに成功している。

 ウーファーにはDIATONEで豊富な採用例のある、磁気回路と振動系をアルミフレームに一体化した「ダイレクトマグネット構造」が採用されており、不要な共振を抑制しながらも伸びやかな低音を再現する。コーンには、軽量かつ高い剛性を持つ「アラミッドスキン・アルミハニカムコーン」を採用し、高速な立ち上がりと消失を実現した。

 DS-SA1はトゥイーターの振動板に「DS-MA1」と同じくDIATONE伝統のピュアボロン(B4C)を採用。最高レベルの剛性と軽さ、従来の金属では実現不可能だった「適度な内部損失」を持つ素材を使用することで、音の軽快な立ち上がりと迅速な消失、音と音の間の静寂までも再現するという。

 ウーファーとクロスオーバーネットワークは基本的にDS-SA3と同一だが、「DS-SA1は振動板にピュアボロンを採用することで、より不要な音の発生を抑えている。“世界最高レベルの音楽再生”を実現できる」(同社)

 「新製品はいずれも、音源に入っている音をストレートに再生するというホームオーディオの設計思想を車載用で実現した。現在はデジタル補正を前提としたシステムが主流となっているが、スピーカーの質を高めて補正する量を減らすことが第一と考えた」――製作を担当した同社 三田製作所 副所長の中西康之氏は基本コンセプトについてこう語る。

 同社はエンジン用電装品や電子制御システム、カーナビをはじめとしたカーAV関連製品などを国内外のカーメーカーへ納入しており、DIATONEの名前を冠した車載用スピーカーも既に存在している。しかしながら、同社は新製品とともに「DIATONE」ブランドで高級カーオーディオ分野へ参入し、同ブランドへ親しみを持つ団塊の世代を中心にアピールをしていきたい考えだ。

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