Photokinaのオリンパスブースでは、木材を独自技術で加工してコンパクトデジカメのボディに応用する技術展示が行われている。
同社がカメラ製品の外装・筐体などで培った高度な金型加工技術を生かして、木材の三次元圧縮成形加工技術を開発。Photokina直前の25日に技術発表を行ったもの。Photokina会場では、木材がデジカメボディに至るまでの加工工程を5段階に分けて展示していた。
デジカメのような電子機器の外装・筐体に適用するためには、可能な限りの薄さと硬度を両立させなければならない。現在はポリカーボネイト樹脂やABS樹脂といったエンジニアプラスチックが広く採用されているが、アルミニウムやステンレス、最近ではチタンなどレアメタルを使って“こだわりのボディ質感”を追求する流れもあわられている。
比重が軽くて薄板加工が難しい木材は、本来電子機器の外装・筐体には非常に使いづらい素材だ。だが今回、同社が開発した三次元圧縮成形加工技術により、比重約0.4〜0.5のヒノキ材を比重約1.0超(約2.5倍超圧縮)まで変化させることで、電子機器の外装・筐体に適用可能な「薄さ」とエンジニアプラスチックを超える「硬度」を達成したという。
「当社のガラス非球面レンズを作る技術を応用している。熱の加減で色の濃さが変わり、高温・高圧でプレスすることで地のままでも光沢のある表面加工が施される。当社のガラス非球面レンズの金型自体が非常になめらかなので、そのなめらかさがそのまま木の表面に反映される。その結果、磨きこんだかのような素晴らしい光沢のある木目調のボディができあがる」(同社のPhotokinaブース担当者)
加工工程としてはプレスするだけなので、機械による作業となる。一見手作業のようなこだわりの木製ボディが、意外と簡単にできる可能性が出てきたのだ。
とはいえ、エンジニアプラスチックと比べるとはるかに製作工程は多く、歩留まりの問題もあり現時点ではかなりの高コストになることから、すぐに実用化は難しいとのこと。
「加工により比重が1.2ぐらいと木材が水に沈むようになる。実際に手に持つとズッシリと重量感があり、光沢のある木目の質感とあいまって“こだわりのモノ作り”を具現化する手段としては最適。商品化にはまだハードルが高いが、個人的にも実現してもらいたい技術」(ブース担当者)
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