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データビューワになる薄型デジカメ――カシオ計算機「EX-S770」レビュー(4/5 ページ)

» 2006年11月08日 12時30分 公開
[永山昌克,ITmedia]

退色補正やアングル補正に対応

 撮影機能としては、フルオートのほか、シーンを選ぶだけで各種の設定を最適化する34種類のベストショット機能を搭載する。古い写真を色褪せを補正しながら複写したり、斜めから撮った画像の歪みを修正して記録できるのは、従来機から受け継いだ同社ならではの機能だ。

 また画面を2分割し、画面全体とその中央部分を同時に記録する「ズーム連写」、フラッシュ発光しながら最大3枚連写できる「フラッシュ連写」、動画の撮影中でも静止画が撮れる「スチルインムービー」、白黒/セピア/赤/緑/青/黄/ピンク/紫の色調を選んで撮影できる「フィルター」機能などもユニークだ。絞りやシャッター速度の調整機能はないものの、独自の多機能を生かして撮ることを楽しめるカメラに仕上がっている。

 撮像素子は、前モデルEX-S600から高画素化し、1/2.5型の有効720万画素CCDを搭載する。選べる感度はISO50〜400までの4段階で、「ブレ軽減」や「高感度モード」を選んだ場合には最大ISO800まで自動アップする。

 画質は、彩度とシャープネスを強調した見栄え重視の傾向だ。必要に応じてメニュー画面からシャープネス/彩度/コントラストを±2段階の範囲で微調整もできる。画質を厳密な目で見れば、画像周辺部の解像感の低下や高感度時の画質劣化を指摘できるが、メモやスナップを撮り、L判やハガキ大に印刷する範囲では特に不都合は感じない。

 メカ的な手ブレ補正機構を持たないことや、レンズが標準的な光学3倍ズームであることは、最近のコンパクトデジカメのトレンドとしては弱い。とはいっても、そもそも撮影機能や画質にケチを付けるカメラではないし、このカメラで本格的な写真作品を目指す人はいないはずだ。それよりも、カメラメーカーの製品には見られないデータキャリング機能やワイド液晶の柔軟性こそが魅力であり、デジタルツールとしての利便性は従来よりさらに高まっている。

photo フルメタルの高品位な外装で、写真のシルバーのほか、赤と青のカラーバリエーションがある。前から見たデザインは、EXILIM ZOOMシリーズの最上位機「EX-Z1000」に似ている
photo 付属のUSBクレードルを使って、パソコンとの接続やテレビでの再生、バッテリの充電を行う。単体の充電器はオプションとして用意される
photo 電源は専用リチウムイオン充電池で、CIPA準拠のバッテリ寿命は約200枚。大容量バッテリーを採用したEXILIM ZOOMシリーズとは異なり、このEXILIM CARDシリーズはボディのデザインや携帯性を優先しているようだ

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