2004年からまったく音沙汰がなく、開発がストップしたとさえ思われていたキヤノンのコンパクトデジカメのフラッグシップ機「PowerShot G」シリーズが2年ぶりに復活を果たし、「PowerShot G7」として発売された。
キヤノンのGシリーズといえば、コンパクトデジカメのフラッグシップモデル。F2.0から始まる大口径レンズ、バリアングル液晶、高度な撮影機能といったスペックで定評のカメラだった。
ところが2004年のG6以降は新モデルが登場しなくなり、長らく心配されてきたのだが、ここにきて大きくデザインを変更し、再登場したのがG7だ。実際に触ってみると、2年の沈黙を破って登場したG7は、時代の流れに応じて大きな変化を遂げていた。
思わず飛びついて自腹購入してしまったのだが、一応、筆者なりの思惑があった。デジタル一眼レフのサブカメラが欲しかった、普段使っているヒップバックに入るコンパクトデジカメが欲しかった、普段はオートの撮影でいいが、たまにはカメラらしい撮影ができる懐の深いカメラが欲しい――そんな希望に添ったカメラがG7だと判断したわけだ。
というわけで、そのあたりをふまえてG7をチェックしてみよう。
まずは外観から。大きさに関しては一気に小型化されたG6のデザインを踏襲し、コンパクトな横幅を維持。そこから厚みを3センチも薄くしてさらに小型軽量化を実現した。カード型には及ばないものの、小さなバッグにも収めやすいコンパクトサイズに生まれ変わっている。
本体サイズは106.4(幅)×71.9(高さ)×42.5(奥行き)ミリ、約320グラム。G6が104.9(幅)×72.8(高さ)×73.1(奥行き)ミリ、約380グラムだったからよりスマートで軽くなったと考えていいだろう。
G6はそれまでのシリーズ製品の横幅をぎゅっと圧縮したような感じで、コンパクトにはなったものの、正直やぼったいデザインだったと思う。しかしG7ではかなりデザインが洗練された。
カメラに詳しくない人でもオールドカメラ風に感じる外観は、落ち着いたブラックカラー。高い質感を備え、コンパクトデジカメのフラッグシップとしては十分及第点を挙げられるレベル。それでいて小型/薄型化を実現しているのだから、デザインとしては個人的には問題を感じない。
特に薄型化に貢献しているのは、バリアングル液晶の廃止だろう。Gシリーズは液晶を真横に開き、上下に270度回転するバリアングル液晶が大きな特徴で、アングルの自由度が高く、デジカメらしい撮影ができるので便利だった。同社製品ではPowerShot SシリーズやAシリーズで採用されている機構だが、G7ではとうとうこのバリアングル液晶が省かれてしまった。
バリアングル液晶だとヒンジ部の厚みなどが必要で薄型化は難しそうだが、G7で省かれた理由が、薄型化のためなのかコストダウンのためなのか、はたまた違う理由があるのかは不明だが、いずれにしてもGシリーズのメリットが1つ失われてしまった感がある。
ただ、液晶の視野角は非常に広く、上下左右からのぞき込んでも比較的正確な色味で確認できる点はいい。個人的にはバリアングル液晶の廃止はかなり残念で、購入を迷った部分だが、視野角の広さで何とか及第点といったところ。
また、G6までは本体上部にあったモノクロの情報パネルはなくなっている。バッテリー残量が残り少なくなったときに、液晶表示を消してファインダーで撮影するためには、この情報パネルは便利だったのだが、この辺も小型化の影響だろう。
液晶自体はG6の2.0型 約11.8万画素から2.5型 約20.7万画素に大型化、高画素化している。液晶の品質自体も悪くないようだ。
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