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帰ってきたハイエンドコンパクト――キヤノン「PowerShot G7」レビュー(3/8 ページ)

» 2006年11月28日 10時52分 公開
[小山安博,ITmedia]

 新搭載となるのがコントローラーホイール。PowerShot S80にも搭載されていた機構だが、ちょっと同社製デジタル一眼レフに近い操作性が実現されており、ホイールの回転もなめらかで操作は快適。

 G6まではシャッターボタン手前にダイヤルがあったが、ちょうどこれが背面になった格好で、シャッタースピードや絞りの変更にも使える。ダイヤルとホイールの両方での操作がキヤノンの一眼レフの伝統だが(Kiss Digitalはのぞく)、これまでのような「ダイヤルだけ」よりも「ホイールだけ」という方が、撮影時だけでなく全体の操作性としては良いように感じる。

photo コントローラーホイールと十字キー、さらにファンクションボタンが一体化している。慣れないうちは十字キーを押すつもりでホイールを押してしまったりもしたが、慣れれば省スペースかつ使いやすいインタフェースだ

 マニュアル撮影時にはシャッタースピードをホイールで操作し、絞りは露出補正ボタンを押してからホイールを回す。ダイヤルとホイールの違いはあるが、このあたりの操作方法はG6までと変わらない。シャッタースピードと絞り以外にも、設定項目変更や再生時の画像送りにもホイールは利用できる。

photophoto モード切替時のアニメーション。分かりやすいが、ちょっと過剰な気もする(左)、撮影時のディスプレイフル表示。グリッドラインとアスペクト比3:2のガイド、ヒストグラムは、どれを表示するかカスタマイズできる(右)

 ちなみにシャッタースピードと絞り変更時のインタフェースは新しくなっている。目盛りが表示され、それに数値を合わせる感じでちょっとアナログ感を感じる。

photophoto シャッタースピードを変更しようとすると現れる目盛り。設定できる範囲が分かりやすい(左)、絞りも同様の表示(右)

 ホイールの中には十字キーとファンクションボタンが配置され、十字キー上にはMF、右にはフラッシュ、下には連写/セルフタイマー、左にはマクロが割り当てられる。

 この十字キーは一度押しただけだと設定できる項目が一覧表示されるだけで、もう一度ボタンを押すかホイールを回すことで設定項目が変化する。この方法だと、設定を変えたいときに、ボタン押しかホイール回転という1ステップが必要になるが、誤ってボタンを押したときに気づかないうちに設定が変わっていて失敗する、といったことはなくなる。

photo たとえば1画像撮影の状態で連写ボタンを押すと、まずは現在の設定が表示され、ここからさらにホイールを回転させるか、(この場合は)十字キー上下で項目を設定できる。ちなみに十字キーの左右にあるマクロボタン、フラッシュボタンを押すと、設定項目が横に表示され、十字キー下にある連写ボタンを押すと項目が下に表示される、というように、最初に押したボタンを連打すれば、そのまま設定が変更される。こうした統一感のあるインタフェースはいい

 このホイールの内側に配置された形の十字キーは、周囲から盛り上がる形にはなっているものの、ホイールと十字キーで押し間違えることもあった。ただ、そんなに頻繁でもないし、慣れればなんてことはない。

 中央のファンクションボタンはキヤノン伝統のインタフェース。いい加減、このインタフェースも長いとは思うのだが、使い勝手は悪くないので特に不満は感じない。設定できるのはホワイトバランス/マイカラー/フォーカスブラケット/ストロボ発光量/測光方式/NDフィルタ/画質/画像サイズ。Gシリーズ伝統のNDフィルタは健在。これはうれしいところだ。

photophoto おなじみのファンクションボタンによる設定項目(左)、明るいシーンで低速シャッター、絞り開放で撮影したい場合などに有効なNDフィルター。設定はファンクションから(右)

 スペックダウンといえば、画像サイズの項目からRAWがとうとう消えてしまった。仮にもハイエンドなのにRAWに対応しないのはどうかとも思うのだが、キヤノンはPowerShot Sシリーズでも最新のS80からRAWを省いているし、このあたりは最近のキヤノンのポリシーなのかもしれない。

 外観としてはそのほかに光学式ファインダーとアクセサリーシュー搭載。光学式ファインダーは実像式のズームファインダーだが、ワイド端からレンズにケラれるため、バッテリーが足りなくなった場合の緊急用と考えた方がいいかもしれない。

photophoto 露出補正の表示(左)、これは本体背面右上のAE/FEロックボタンを押したときの表示。露出を変えずにシャッタースピードと絞りの組み合わせを変更できるのだが、表示が非常に分かりやすい(右)

 アクセサリーシューに関しては、コンパクトデジカメで搭載するカメラはそれほど多くないが、Gシリーズの伝統通り外部スピードライトを装着可能。小型/薄型化したため580のような大型のスピードライトはかなりバランスが悪くなるが、これが装着できることで撮影の幅はかなり広がる。

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