ITmedia NEWS >

サウンドは魅力、サイズに課題――ビクター「HP-NCX77」レビュー;(2/2 ページ)

» 2007年02月05日 11時32分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2       
photo 低反発素材イヤーピースを装着。耳へのフィット感はノイズキャンセルの効果を大きく左右するので、付属する4つイヤーピースからもっともしっくりくるものを装着したい

 同社の測定によれば周囲の雑音を約1/5に低減するというノイズキャンセルの効果はどうだろうか。

 まずは音楽を流しながら室内で装着、NCのスイッチをオンにしてみた。スイッチを入れた瞬間は一瞬だけダイナミックレンジが変化したことが知覚できるが、その違いは非常に小さく、注意していなければその差には気が付きにくい。アクティブノイズキャンセリングを行う製品では必ず発生する、「サー」という動作音も非常に小さい。利用していると室内で稼働する空調やPCのファンの音は確かに低減されることが分かるが、大幅にカットされるという感覚はない。

 地下鉄構内と地下鉄車内でも試用してみた。地下鉄の加速音やホームに入線する際の空気音など、通勤時に感じる周囲のノイズは確かに低減されたが、その効果は控えめ。周囲のノイズを完全にカットするというというよりも、ノイズを低減して、音楽を聴きやすくするというキャラクターを持つ製品であるように感じた。

 これは同社製オンイヤータイプの「NP-NC80」(レビュー)でも同様の傾向を示しており、ボーズのQuiet Comfort2/3のような強力なノイズキャンセリング機能を期待するとやや肩すかしを食らったように感じるかも知れない。

 8.5ミリ径のドライバーを搭載したイヤフォンユニットのサウンドは非常に素直。本製品のように外出先での利用を念頭にしたイヤフォン/ヘッドフォンは低域の厚みを強調する製品が多い中、本製品は高音域の解像感や繊細さ、伸びを重視した作りになっており、全体としてはクセのない音を出す。

 低音にも厚みはあるが、高域のきらめきに比べると相対的に中域の落ち込みを感じる場面もあり、ジャンルとしてはジャムやフュージョン系にマッチしそうだ。なお、NCのON/OFFにかかわらず、その音質がさほど変化しなかったことも付記しておく。

万人に勧められるサウンドだが、ユニットサイズは課題

 前述したように昨年後半から多種多彩な製品が登場しているノイズキャンセリングヘッドフォン/イヤフォンだが、小型のヘッドフォン/イヤフォンを組み合わせる製品はそう多くない。本製品のほかには、ソニーの「MDR-NC22」やJBLの「JBL Reference 510」、ボーズの「Quiet Comfort3」があるくらいだ(MDR-NC22はカナル型イヤフォン、JBL Reference 510とQuiet Comfort3はオンイヤー型ヘッドフォンを組み合わせる)。

 言うまでもなく小型のヘッドフォン/イヤフォンを採用する製品の一番のメリットは、利用時に置ける軽快さ、取り回しの容易さだ。そうした点を考慮すると、本製品のNCユニットサイズは明らかに大きすぎる。特にフラッシュメモリタイプのポータブルプレーヤーは小型化・薄型化が進んでおり、プレーヤーより大きなNCユニットというのは携帯時に戸惑いを覚えてしまうユーザーが多いだろう。

photo iPod(30Gバイト)との組み合わせ

 音質面については満足できる仕上がりとなっており、そのクオリティを保つためにユニットサイズが小型化できなかったのかも知れないが、携帯製品としてはボディサイズが大きいだけで敬遠してしまうユーザーもいるだろう。次製品ではNCユニットの小型化を強く希望したいところだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.