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新「ブラビア」4つの疑問(1/2 ページ)

» 2007年04月05日 09時06分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 先日ソニーが発表した液晶テレビ“BRAVIA”(ブラビア)の新シリーズ「J3000/J5000」(関連記事)。10bitパネルや120Hz駆動の「モーションフロー」などで高画質化を進めながら、DLNAやアプリキャストといったネットワーク機能も充実させており、「高画質とネットワーク」2点をアピールポイントにする新製品だ。

 各機能の詳細についてはこちらの記事(関連記事)に詳しいが、今回は製品を見た上で浮かんだいくつかの疑問を同社に直接聞く機会に恵まれた。そのいくつかを紹介する。

新機能を多く搭載するが、なぜ「X」ではなく「J」なのか?

photo J5000シリーズ(上段)とJ3000シリーズ(下段)

 リアプロを除くBRAVIAはフラグシップの「Xシリーズ」、デザイン重視の「Vシリーズ」、スタンダードタイプの「Sシリーズ」とラインアップされているが、新発表された製品は高画質・高機能化を進めながらもフラグシップのXシリーズのバリエーションではなく、スタンダードタイプ――Sシリーズの後継として位置づけられている。

 その理由は2つある。ひとつはスタンダードタイプでも高画質化とネットワーク対応を進めたいという同社の意向。もうひとつはフラグシップモデルには欠かせないフルHDについて、モーションフローの実装がまだ現実的ではないという判断だ(Jシリーズは40Vでもパネルの解像度は1366×768ピクセル)。

 モーションフローは液晶テレビ特有の残像感を軽減する倍速駆動&中間フレーム生成・技術だが、これは画面解像度が高ければ高いほど、負荷が高まるために大容量のメモリや高速なプロセッサを搭載する必要がある。

 フルHDでのモーションフローは技術的にはすでに可能とのことだが、「コスト面の問題が解決できない」との理由でワイドXGA(1366×768ピクセル)までの搭載となった。これも新製品がスタンダードタイプとして用意されている理由のひとつだ。

モーションフローはどれだけ効果的?

photo 左がモーションフロー搭載機、右が非搭載機。写真では分かりにくいかも知れないが、左の方が人物の輪郭が滑らかに描写されている

 モーションフローは、毎秒60コマのテレビ放送(60i)では各コマの間に新しい1コマを作り挿入するほか、毎秒24コマの映画(24p)ではオリジナルフレームの間にそれぞれ4コマを挿入し、動きのある場面では感じられる“ボケ感”を低減する。新しいコマの生成については、縦・横・斜め方向の動き検知を行う独自アルゴリズムが実装されている。

 実際にモーションフロー搭載/非搭載の機種を並べていくつかの映像を確認してみたが、確かに搭載されている機種の方が映像の滑らかさが向上している。最も効果が分かりやすいのは高速なテロップや動いている被写体に描かれているロゴ(運動選手のユニフォームの文字など)などの文字だが、映像全体の滑らかさを向上させるという効果もあるため、人物の輪郭なども同じ解像度のパネルとは思えないほどだ。

 デモ映像を見る限りでは有用性が確認できるが、本来は存在しない中間画像を生成するという技術のため、ソースや映像の種類によっては適切に動作しない(ボケ感が解消されない)事態が起こることも想像できる。「強」「標準」の2段階および「切」を選択できるようにはなっているが、あくまでも店頭などで効果を確認するべきだろう。

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