ITmedia NEWS >

フルHD記録対応の“カードなハイビジョン”――パナソニック「HDC-SD3」(3/4 ページ)

» 2007年05月02日 14時27分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 撮影した動画の品質については、解像感や色合いにおいて、ビクター「GZ-HD7」に似た傾向のように思えた。ただ、エンコード方式・性能の差か、両者を比較した場合には「GZ-HD7」のほうが輪郭部などのノイズが少ない印象だ。ただ、水平解像度1920での記録を確保したとはいえ、それだけで1440×1080の製品を超えているとはいえない点は両者共通の問題といえる。映像の緻密さに関しては、むしろ、(1440記録ながら)キヤノン「iVIS HV10/20」のほうが上だと思う。

 しかし、この製品はビクター「GZ-HD7」でも、そして、キヤノン「iVIS HV20」でも不可能な“技”をこなしてくれる。つまり、「HDC-SD1」と同じく、音声をドルビーデジタル5.1chで記録可能だ。内蔵マイクを使うだけに、分離はあまり明確ではないものの(とくに後方)、なかなか立派に現場の音をサラウンドで再現してくれる(当然ながら、リアは自分の鼻息なども拾ってしまうので、撮影ポジションには注意したいが……)。

photo 内蔵マイクは5ユニット構成で、5.1chサラウンド録音に対応。カメラのズーム操作と連動する超指向性ズームマイク機能も搭載している

 最大の問題となりそうなのは、やはり再生・編集環境だろうか。AVCHD規格については、ファイルを読み込めるPC用ビデオ編集ソフトが決して多いとはいえないため、本体での編集機能や付属ソフトの機能充実に期待したいもの。しかし、「HDC-SD3」では本体に編集機能はほぼなく、付属ソフトの「HD Writer 1.5J」も簡易編集(シーンの分割/結合/削除)とDVDメディアへの書き込みに対応している程度である。

photo 再生モードのサムネイル一覧は動画・静止画を切り替える形式なので、カーソルをタブに合わせて左右で切り替える必要がある

 当座の手段として「HD Writer 1.5J」の「MPEG2形式で保存」を使う手もありかと思ったが、これはSD解像度のDVD作成を想定したもので、HD解像度を維持したままでのコンバートに対応したものではない。また、動画からの静止画切り出し機能が、(本体でも付属ソフト上でも)とくに用意されていない点は残念だ。ビデオ撮影中のフォトショットは可能なのだが、この場合、静止画撮影時よりもビデオからの切り出しイメージに近い品質となるため、利便性を考慮して、撮影後に静止画切り出しを行いたいユーザーは多いはずだ。

 ただ、「Nero 7 Premium」や「VideoStudio 11」(6月15日発売予定)など、低価格のビデオ編集ソフトでもAVCHD対応は徐々に果たされつつある(完全なサポートかどうかは明確でないが)。ほかに、DIGAを利用してSDカードからBDディスクへと保存する手段も用意されているし、あるいは、PlayStation3との連携使用もいいだろう。

 いずれにせよ、「HDC-SD3」はSDメディアを利用したAVCHD対応カメラとしての完成度を高めつつあるものの、いまだ“カードならでは”の特徴は明確には把握しづらいともいえる。しかし、ある程度使い続けるうちに、緩やかながらも堅実に、細かな部分での利点が感じられるのもたしかだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.