太陽をバックに人物を撮る場合のように、背景が明るすぎる場合に被写体が暗く写ってしまう場合や、スキー場や雪原など、画面内に白いものが多い場合には露出アンダーになりやすい。逆に、被写体が黒い服を着ているなど、画面内に黒いものが多いと露出オーバーになりがちだ。
そういうときは、自分で露出補正を行い、適正露出に設定する。また、標準露出よりももうちょっと画面を明るくしたい、逆に暗くしたい、といったように、自分で表現を変えたい場合も、自ら操作をして露出補正を行えばいい。
露出補正の仕組みは、シャッタースピードを速くしたり、絞りを開いたりといった具合に、いずれかを調節することで光を取り込む量を変え、写真を明るくするものだ。露出補正を行うことで、写真の明るさを自在にコントロールできるようになれば、写真表現の幅がさらに広がるだろう。
オートモードやプログラムモードでの露出は、カメラがシャッタースピードと絞りを自動設定して行うため、撮影する側の意図を入り込みにくい。たとえばシャッタースピードを速くして動く被写体を止める、絞りを開いて背景をボケさせる、ということをしたい場合に対応できなくなる。
その場合、一部のカメラのプログラムモードでは「プログラムシフト」という機能が搭載されている場合がある。
これは、最初に設定した露出と同じ明るさになるように、シャッタースピードと絞りの組み合わせを変更する機能だ。シャッタースピードと絞りの組み合わせが1/60秒・F8.0だった場合、1/30秒・F11や1/120秒・F5.6でも同じ明るさになるため、そのようにシャッタースピードと絞りの組み合わせを変える機能がプログラムシフトだ。
これを活用すれば、シャッタースピードを遅くして被写体をブレさせようと思ったときに、絞り値が自動で設定されるので失敗することがなく、自分の思ったとおりの写真表現が可能になる、というわけだ。
プログラムシフトと似たようなことを実現するために、カメラによっては「風景」や「人物」などといったプログラムモードとは異なる撮影モードも用意されている。ハイエンドコンパクトデジカメかすべてのデジタル一眼レフカメラに搭載されている「シャッタースピード優先オート(Tv)」「絞り優先オート(Av)」という2種類のモードがそれだ。
Tvの場合は、シャッタースピードを自分で自由に設定でき、その時の適正露出になるように絞りが自動設定されるモード。Avは絞りを自由に設定でき、適正露出になるようにシャッタースピードが自動で設定されるモードだ。
被写体の動きを表現するため、シャッタースピードを自分で操作したい場合はTvモードを、ボケをコントロールしたい場合はAvモードを使うといい。後はカメラが勝手にシャッタースピードか絞りを設定してくれる。プログラムモードの露出補正では、シャッタースピードと絞りのどちらが変わるかカメラ任せだが、Tvモードのときは絞りが、Avモードの時はシャッタースピードが変更され、明るさを変更する形になるので、自分の思い通りの写真を撮りやすくなる。
また、Tv/Avモードの方が、ダイレクトに設定したい数値をコントロールできるので、プログラムシフトよりも素早く、直感的に操作できる。プログラムシフトでシャッタースピードと絞りの関係が把握できるようになったら、これらのモードを使ってみるといい。さらに撮影が楽しくなるだろう。
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