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ヤフオクで入札されまくるブツ撮りテク脱フルオートの道 第9回

» 2007年09月05日 19時48分 公開
[小山安博,ITmedia]

 “ヤフオク”をはじめとするネットオークションの普及で、一般の人でも静物撮影――いわゆる「ブツ撮り」を行うことが多くなってきた。「ブツ撮り」は動く物である人物や動物などに対して、動かない=「静物」を撮影することを指す言葉で、商品撮影を指すこともある。ここではオークションで売る出品物の撮影方法について考えてみよう。

これまでの知識を生かしてブツ撮りに挑戦

 今回はオークション出品物を撮影するのが目的なので、出品物の魅力がきちんと伝わる写真を撮りたい。注意したいのは全体がきちんと写っているか、概要が正確に伝わるかどうかだ。

 出品物全体を撮ろうとすると、レンズの広角側を使って画面一杯に写し込みたくなるが、これはあまりオススメしない。前回に説明したよう、広角端は特に四隅が歪むことがあり、出品物の形を正確に再現できない可能性があるからだ。

 そのため、ブツ撮りをするときは極力ズームの望遠側を利用したい。入りきらなければ自分が下がればいい。もし、そのスペースがないときは出品物を小さめに撮影し、歪んだ四隅に入り込まないようにするといいだろう。

 また、ピントが合いにくい、または合わない場合はマクロモードにすること。以前紹介した「テレマクロ」を活用すると、望遠端でもピンぼけにならず済むだろう。

 望遠側にすると今度は問題になるのがボケだ。ボケの回で説明したとおり、ズームを望遠にした方がボケ量は大きくなる。イメージ写真ならともかく、オークション用の撮影については出品物全体が写っていることが重要なので、出品物の後方がボケていてよく分からない、というのでは困りものだ。

 この場合は、絞りを絞って被写界深度を深くすればいいのだが、コンパクトデジカメでは絞りを操作できないものも多い。とはいえ、コンパクトデジカメはボケにくい性質があることに加え、今回は「出品物全体を撮る」ので必然的に被写体からある程度の距離を取ることになる(被写体から離れるほどボケは少なくなる)。絞りを操作できなくてもそれほど問題にはならないだろう。

 撮影するとき「被写体から離れて」「ズームの望遠で」撮影すると、今度は問題になるのが手ブレ。ブツ撮りで手ブレは禁物だ。最近のカメラには手ブレ補正機能や高感度撮影機能を備えるが、高感度撮影でノイズが出たり、実際とは異なる色が出たりしたら問題なので、ここは万全を期すためにも三脚を使うべきだ。

 一般的なスナップ撮影に三脚は必要ないが、あると便利な道具ではある。よくオークション用の撮影をするなら持っていて損はない。三脚でカメラを固定すれば、シャッタースピードが相当に遅くなってもブレる可能性は低いので安心だ。ただ、シャッターを押す動作がブレにつながることもあるので、セルフタイマーの利用がオススメ。2秒セルフタイマーならばテンポよく撮影できる。

 次はフラッシュについて。内蔵されているフラッシュを使えばシャッタースピードが速くなって手ブレが防げるし、出品物も明るく写る、と思いがちだが、ブツ撮りに限っては利用をオススメできない。どうしても正面から強い光を当ててしまうので、金属の被写体であれば光りすぎてしまうし、背景にも強い影ができてしまう。

 照明に関しては、蛍光灯のスタンドに薄い白い紙を巻き付けて使うといい。トレーシングペーパーのような紙であればいいので、文房具屋に走らなくても、洋服を買うと服の間に挟まっているような紙などでも代用できるだろう。こうすると蛍光灯の光が柔らかくなり、強い影ができにくくなる。

photophoto 左が蛍光灯スタンド(トレーシングペーパー巻き付け済み)を使った作例。このように背景に適当な布などを使うとスッキリして出品物が目立つ、右は内蔵フラッシュを使った例。光が強すぎるし影が濃く出ていて、あまり美しくはない

 ここで重要なのが「正しい色の再現」だ。以前にも説明したように、コンパクトデジカメで正しい色を再現するため、ホワイトバランスの調整が必要な場合がある。

 カメラは一般的に複数種類の光が混じり合った状況が苦手だ。太陽の光が差し込む部屋で部屋の灯り(白熱灯)を付けて、さらに蛍光灯スタンドの光を当てるような状況では、正しい色が再現できないことがある。

 そのため、ブツ撮りをするなら夜(もしくは外光の入らない状況)、部屋の電気は消して蛍光灯スタンドだけの明かりで撮影する。たいていのコンパクトデジカメのホワイトバランス設定には「蛍光灯」があるので、それに設定することを忘れずに。

 ここまでやれば、コンパクトデジカメでも見栄えのするオークション写真が撮影できるはずだ。あとは、出品物の全体だけでなく、いろいろな角度から撮影したり、注目してほしいポイントをアップで撮影するといい。アップで撮影するときは、モードをマクロモードにしておかないとピントが合わないかもしれないので注意しよう。

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