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薄型テレビの能力を引き出す「画質調整の基礎」(2)本田雅一のTV Style

» 2007年10月26日 11時08分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 さて、前回は積極的に映画系の画質モードを切り替えながら使った方が、よりメーカーの技術者が意図した映像に近くなると紹介した。ただし、前回も書いたように、メーカーは映画モードをかなり暗い部屋で調整しているため、普通にリビングを明るくした状態ではパッとしない映像になる。

 できれば映画は暗いところで映画モードを使用するのがいいが、普段の視聴はどうすればいいのだろうか。明るいリビングで一般的なテレビ映像を見るなら、やはり標準モードを選ぶことになる。

 ただし、テレビが置かれている状況は人それぞれ。どの程度の明るさの部屋で、照明が直接当たる場所にあるのか、それとも直接は当たらないのか。さらに昼間に見る場合は、テレビの対面に窓がある場合もあるだろう。

 テレビは光を出すことで映像を表現しているため、テレビを囲む光の環境に応じて調整を加えた方がいい。今回は自分で画質を調整する際の、ごく基礎的な知識を紹介しよう。

photo ソニー「KDL-46X2500」の画質調整画面。ブライトネスは「明るさ」と表記されている

 まず普段見ているテレビ番組を見ながら、自分の見る環境に適した映像モードを選ぶ。明るい部屋ならば、たいていは標準、あるいはスタンダードといった名称のモードを選ぶ人がほとんどだろう。

 次に調整すべきは(液晶テレビの場合は)、バックライトの輝度だ。バックライトの調整を行えない機種もあるが、その場合は明るさ調整は別の項目で行うほかない(この後に紹介する)。

 バックライト調整の目安は、真っ白と真っ黒のバランス。明るすぎて色が眩しすぎたり、白に近い部分の階調が判別しづらい場合、あるいは真っ黒な部分が浮いてしまい、締まりがないと感じるならバックライトを暗い方向に調整する。

 逆に黒に近い部分の階調が見えにくいようなら、黒浮きしない、白が眩しすぎないといったことを確認しながらバックライトを明るい方向に調整すればいい。ここはあまりシビアに考えず、目への刺激の強さを適度に調整する程度で構わない。

 次に調整するのが「ブライトネス」。明度や明るさといった名称が使われていることもある。メーカーによっては「明るさ」という名称をバックライトの調整用に使っている場合もあるので注意しよう。

 ブライトネスは表示する映像全体を均一に明暗を調整する項目で、マイナス方向に調整すると白い部分がどんどん暗くなり、黒に近い部分が階調表現の限界以下になって黒潰れしてくる。真っ黒な信号と思われる部分が浮かない程度に明るくしておくのがポイント。

 ただし、デジタル放送を直接表示していたり、HDMIでチューナーやレコーダーなどを接続している場合は、ブライトネスは規定値のままでいい。きちんと調整しなければならないのは、アナログ信号(D端子など)で映像が入力されている場合だ。この場合、信号を出している側の機材が、正しい信号レベルなのかどうかはわからない。だからブライトネスできちんと黒となるポイントを調整しておく。

 ブライトネスを調整し終わったら、次に「コントラスト」を調整する。製品によってはピクチャー、あるいはユニカラーといった名称が使われる。この調整項目は、黒のポイントを固定したまま、白として表現する明るさを変化させる。つまり明暗の輝度差を調整するのである。ただし、表示パネルのコントラストには限界がある。限界を超えてコントラストを高めると、白飛びを起こし、ハイライト側の階調が失われてしまう。

 バックライトが適度に調整されているなら、コントラストは可能な限り高くする方がメリハリが出る。デジタルの表示デバイスの場合、コントラストは白飛びしないギリギリまで高く設定した方が実質的な階調数も増える。

 ただし、こちらも実際の映像を見ながら調整することを勧める。内蔵デジタルチューナーやHDMIからの入力では、コントラストを最大にしても白飛びしないように設計されているが、あまりに明るい場合は目の明るさ感も飽和してくるため、少し押さえた方が階調を多く感じられる場合もある。とくにバックライト調整が行えない機種の場合、明るすぎるピーク輝度を抑えるには、多少の階調性を犠牲にしてでもコントラスト値を下げた方が良い場合が多い。

 またアナログ映像入力の映像を見る場合は、ブライトネスの調整と同様に信号レベルに合わせて最適な値としてあげる必要がある。映像調整パラメータは入力端子ごとに異なる値を記憶してくれるので、アナログで映像を入力している端子ごとに設定しよう。

 以上で大まかな調整は終了。

 さらに好みに合わせて「色温度」(この調整項目を持たない製品もある)を合わせたり、色の濃さを変更する。実際に色温度を変化させてみて、もっともイメージに合うホワイトバランスを選べばいい。この際、標準設定よりも低めの色温度にすると、全体に赤みが強くなり、結果として肌色も濃く描写されるので、やや色の濃度を下げてやる方がいいかもしれない。逆に色温度が高めの場合は、ほんの少し、色をのせてやるといい。

 ただし、これもテレビそのものの色濃度が高い設定のもの、濃度が控えめな設定の製品があるので、あくまで目安として好みに合わせて上下させるといい。一般に明るい環境下では色は薄めに感じられるため、そのあたりも含めて色の濃さを微調整しよう。

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