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贅沢なパーソナルサイズ、初の有機ELテレビ「XEL-1」(前編)(2/2 ページ)

» 2007年12月10日 19時47分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 研究開発の成果は、画面を見てすぐに分かる。まず気がつくのは、白の白さ、そして黒の黒さだ。白はまぶしいほどに明るく、黒はベゼルと一体化して見えるほど黒い。さすがコントラスト比100万:1。夜景や夜空のシーンなどは、窓の明かりや星が煌めき、澄んだ空気の中で見る星空や夜景を思い起こさせる。

photophoto UIはお馴染みのクロスメディアバー。サクサク動いてストレスは感じない

 色の純度も高い。今回は地上/BSデジタル放送とHD DVDのハイビジョン映像を中心に視聴したが、風景などを表示した際の色鮮やかさも特筆ものだ。緑は“青々”として、金属の質感も現実味を持って表現していた。パネル解像度は960×540ピクセルフルHDの4分の1に過ぎないが、画面が小さいため精細感は十分。実際、フルHDの大画面テレビと比べても遜色ないレベルだと思う。動画ボケなども見られず、サッカーの試合などは見ていて安心感があった。

 難点を挙げるとすれば、暗いシーンの階調性だろう。画面サイズや解像度も手伝ってか、とくにスタンダードモードで映画を見た時は、暗い部分の微妙な違いを描ききれず、黒のベタ塗りに見えてしまう部分があった。それでも黒が沈んでいるためか、絵としてはカッコ良く見えるのだが……。

 画質モードは、基本的に「ダイナミック」「スタンダード」「カスタム」の3種類で、写真再生中のみ「フォト」が選択できる。各モードをチェックすると、まず「ダイナミック」は個人的には白がまぶし過ぎる印象だ。また映画などの素材では「スタンダード」でも明るく、輝度を下げるか、省電力モードをオンにするくらいで丁度いいと感じた。個人の好みや視聴環境にも左右される部分だが、少なくとも明るい場所でも使えることは確かだ。

photophoto

 そのほかの設定項目は「有機EL発光制御」「ピクチャー」「明るさ」「色の濃さ」「色あい」「色温度」「シャープネス」など。一見、発光制御と明るさは同じように思えるが、「有機EL発光制御」の調整バーを左に動かすと画面が暗くなる一方で動きの早い映像が見やすくなる。

 「スタンダード」「カスタム」モードのときは、より詳細な設定が可能だ。設定項目には「黒補正」(→関連記事)や「ガンマ補正」のほか、「クリアホワイト」「カラースペース」「ライブカラー」といった項目が並ぶ。

 クリアホワイトは白の鮮明さを強調するもので、「強・弱・切」の3段階を選択できる。ライブカラーはデフォルトではオフになっているが、カラースペースを「ノーマル」から「ワイド」にすると、「強・中・弱・切」の4段階で変更できるようになる。これも色の鮮やかさを強調する働きを持っており、とにかく有機ELの特徴である白と黒の美しさ、色鮮やかさを生かすメニュー構成といえそうだ。

 疑問に感じるのは「映画」モードの不在だろう。画面サイズや卓上テレビという位置づけを考えれば不自然ではないし、「カスタム」があるためユーザー自身で調整することはできる。しかし、何と言っても全く新しいパネルの新世代テレビ。パネル特性を熟知した技術者による映画向けチューニングも見てみたかった。

 なお、有機ELパネルは表面に薄いガラス板を使用しているため、映り込みが生じる点は認識しておきたい。画面が明るいときはほとんど問題ないが、明るい場所で暗い映像を見るときは少々気になる。ただ、XEL-1は画面が小さいため、自分の顔がまるまる映り込んで興ざめするといったケースは少ないだろう。

 もう1つ触れておくと、有機ELは“焼き付き”が生じる可能性がある。前例がないので説明しにくいが、基本的にはプラズマテレビと同じ。同梱の説明書によると、レターボックス映像の横帯や、4:3映像を表示したときの縦帯、静止した映像などが焼き付きを発生させる原因になるという。4:3映像ではワイドズームモードの使用したり、ゲームプレイ中に特定の画面で放置しないといった気配りは必要かもしれない。

 後編では、XEL-1の操作性にくわえ、HDMIコントロールやDLNAクライアントといった付加機能を検証したい。

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