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松下、HDD内蔵STBを「ダビング10」対応など大幅に機能アップユーザーに朗報

» 2008年03月07日 16時12分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パナソニック製のHDD内蔵セットトップボックス(以下、STB)――とくに旧モデルの「TZ-DCH2000」を使っているCATVユーザーに朗報だ。同社は5月中旬にSTBのファームウェアアップデートを提供し、「ダビング10」や「ビエラリンク Ver.3」対応など大幅な機能アップが実現する。しかも「さがして毎回予約」など最新機種と同等の機能も追加される。

 同社のHDD内蔵デジタルCATVチューナーは、2006年に初代「TZ-DCH2000」が登場して以来、J-COMやイッツコムなど全国60局以上のCATV局に採用され、累計20万台以上が出荷されている(2007年10月時点)。昨年夏にはソフトウェア面を強化した「TZ-DCH2800/2810」が登場。地上デジタル放送のパススルー方式に対応したほか、録画・視聴に関してもいくつかの新機能が盛り込まれた。

 今回のファームウェアアップデートでは、まず旧機種のTZ-DCH2000でもTZ-DCH2800/2810と同じ機能が利用できるようになる。「これまでに出荷されたHDD内蔵STBの機能は基本的に同一になる。CATVサービスの一環として提供されている“STBならでは”のアップデート」(同社)。

 例えば電子番組表(EPG)では、使用頻度の低いチャンネルや未契約のチャンネルを“非表示”にするといったカスタマイズが可能になる。またユーザーの視聴・録画履歴を参照して“おすすめ番組”があると教えてくれる「番組推薦機能」も追加。EPGではお勧め番組に☆マークが付き、視聴中も他チャンネルでお勧め番組を放送していれば画面で教えてくれる。

photophoto チャンネルスキップ設定(左)。予約録画時には設定を簡略化する“かんたん予約”も追加される(右)

 番組予約では、同じシリーズの番組を自動録画する「探して毎回予約」が大きな機能追加だ。DVDレコーダーの「シリーズ予約」と同様、EPGのデータから同じタイトルの番組を探し出す仕組み。専門チャンネルが時間帯別に再放送(昼の放送を夜に再放送など)しているケースを考慮して、その日に予定されている同じタイトルは放送時間が連続しているものだけを録画する。

「ダビング10」の嬉しいトコロ、困ったトコロ

 「ダビング10」対応では、内蔵HDDに録画した番組をi.LINK経由で9回までダビングおよび1回のムーブが可能になる。i.LINK接続の場合、ダビングあるいはムーブするたびに再生時間と同じだけの時間が必要だ。

 なお、外部機器へ直接録画する場合には注意が必要だ。例えば番組予約時に録画先としてi.LINK接続の外部レコーダー(同社製BDレコーダーなど)を指定して録画すると、番組データはコピーワンスになってしまうからだ。「ダビング10の仕様では、チューナーと同じ筐体にある録画機能でなければダビング10にならない」(同社)。

 とくにTZ-DCH2000シリーズはHDD容量が250Gバイトしかないこともあり、外部接続機器に直接録画したいというニーズは高いはず。これもダビング10の“盲点”といえるかもしれない。

ビエラリンクの進化

 ビエラリンク Ver.3の特徴としては、テレビ主体の操作が可能になる点が挙げられる。もともとHDMIコントロールはテレビのリモコンで外部機器を制御するものだが、TZ-DCH2000シリーズの場合は“STB=テレビチューナー”との観点から、STBのリモコンをメインにしてテレビを操作する仕様になっている。このため、テレビからの電源投入コマンドを受け付けないなど、ほかのHDMIコントロール対応レコーダーと異なる“クセ”があった。

photophoto ビエラリモコンでSTBの操作が行える

 しかし新ファームウェアを導入すると、テレビからSTBに対して電源オンのコマンドを送ることが可能になる。ビエラリモコンに用意された「ビエラリンク」ボタンを押すと、画面に専用GUI(グラフィック・ユーザー・インタフェース)が表示され、ほとんどの操作が実行できる。また、数字キーやチャンネル上下、4つのカラーボタンなどビエラリモコンの多くのボタンがCATV STBの操作に割り当てられ、そのまま利用できるのだ(写真参照)。

 もっとも、ビエラリンクに関しては新しい松下製テレビを導入しているユーザー限定のメリット。他社製テレビとの組み合わせたときにどのように動作するかは、アップデート後に改めて検証してみたい。


 新ファームウェアの適用は、放送波アップデート(CATV局からのデータ送出)で実施される。同社によると、5月のゴールデンウィーク明けには提供できる見通しだという。

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