前編、中編とプレイステーション 3をAV機器として評価してきた。最後はPS3をAVプレーヤーとして活用する際のプランニングについて。
「プランもなにも、いまあるAV機器に接続するだけ」という人も、せっかくなのでこれを機会にシステムの見直しを検討して欲しい。なぜなら、PS3が高級AVアンプや大型スピーカーと組み合わせても遜色(そんしょく)ない実力は持っているからだ。これを活用しない手はない。
とはいえ予算や設置スペースなど、人によってさまざまな制約があることも確か。そこで状況に合わせつつステップアップも容易な、3つのプランを紹介したい。
最初におすすめするのが、テレビとPS3を直接つなぐシンプルなシステム。音声に関しては目をつぶり、フルHDの映像を存分に堪能しようというものだ。現在持っているテレビがフルHDでない場合はリプレースの必要があるが、テレビもずいぶん安くなったことだし、ぜひ検討して欲しい。
テレビのメーカーやモデルは問わないが、チェックすべきは1080P/24Hzに対応しているかどうか。最新モデルであればほぼ問題はないはずだが、廉価な製品では対応していない場合がある。BDソフト、なかでも映画ソフトは1080P/24Hz収録のものが多いので、対応はチェックしておくべき。
音声に関して「さすがにテレビの内蔵スピーカーはちょっと」という人がいるかもしれない。その場合は一体型サラウンドスピーカーを活用するのも手だ。マルチチャンネルスピーカーとAVアンプが一体となったこれらの製品は、比較的安価な上に設置も簡単。一体型ゆえにサラウンドはバーチャルとなり、HDオーディオをフルに楽しむことはできないが、テレビ内蔵スピーカーよりは上質なサウンドを楽しめる。特にリビングなど、スピーカーをたくさん置きたくない場所ではこういった製品を選ぶとよいだろう。
具体的にはマランツ「ES7001」やヤマハ「YSP-3000」などのHDMI端子付モデルがオススメ。壁掛けにしたい人は薄型のソニー「RHT-S10」、コンパクトサイズが希望の人にはヤマハ「YSP-600」あたりが有力候補となるはず。どちらにしても、音が好みに合うかどうかじっくりチェックしたのちにチョイスして欲しい。
迫力よりも自然さ、2chにも強いマランツ「CINEMARIUM」
圧倒的なサラウンド感を実現した一体型、ソニー「RHT-S10」
手軽さを絵に描いたような軽量システム、デノン「DHT-S5」
次におすすめしたいのが、サラウンド重視のシステムプランだ。
オーディオの世界では、クオリティを追求しようとすると、それなりの出費を覚悟しなければならない傾向がある。「ここまでデジタルシステムが発展しているのだから低予算でもいい音で楽しめるのでは」と思われるかもしれないが、それは少々考えが甘い。確かにデジタル化は普及帯製品の底上げを果たしたが、高級製品はさらに良くなっている。特にHDオーディオのような高品位なフォーマットではその差が顕著に現れる。
ひとまずは新世代フォーマットの音場感の素晴らしさを楽しもうというのがこのプランだ。必要な製品はフルHD対応テレビに加えて、HDMI1.3a対応のAVアンプと7.1chスピーカーとなる。
AVアンプに関してはHDMI 1.3a(DTS-HD MAも)対応、7.1chアンプを搭載した最新モデルでならどんな価格の製品でもかまわない。ひとつだけ望むとすれば、自動音場調整機能付モデルを選んでおくとよい。これを使えば手軽に高度な音響セッティングを実現できるので、7.1chものスピーカーが必要なHDオーディオではかなり重宝する。
この3つの条件にマッチする製品のなかで、比較的低価格なのはヤマハ「DSP-AX763」とデノン「AVC-1508」の2つ。自動音場調整がなくてもよければオンキョー「TX-SA606X」も候補に入れられるだろう。
スピーカーは5.1chではなく7.1chをそろえる必要はあるが、価格や大きさは部屋の広さや予算にあわせて構わない。音質的な統一感を求め、7ch分同じ(同型番もしくは同シリーズ)ものを揃えよう。サブウーファーに関しては、メインスピーカーほど統一感を求めないので、いま使っているもので充分。新たに買い足す場合のみブランドを揃るといいだろう。
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