第4回 デュアルコーデックのビクター「GZ-40HD」、アクティブ派に三洋「DMX-HD1010」
第3回 BDでノンストップの日立「DZ-BD10H」、AVCHDの限界に挑むキヤノン「HF11」
第2回 笑顔を切り取るソニー「HDR-CX12」、マニュアル派も満足の松下「HDC-HS100」
ここまで紹介した6台のフルHDビデオカメラのうち、“Xacti”「DMX-HD1010」を除く5台が記録方式にAVCHDを採用している。AVCHD採用のメリットについては第1回で既に述べたが、基本的にこのAVCHDはさまざまなメディアにフルHD映像を記録できるビデオカメラ向けの規格であり、基本的に「家電」という枠の中で完結することが想定されている。
そのため、カメラとテレビをつないで再生する、対応HDDレコーダーへ映像を取り込むといった使い方にとどまるならば困ることは少ないが、PCで編集しようとするととたんにハードルが高くなる。
単純な再生だけならばフリーで配布されている再生ソフトでも可能だが(それでもフルHD解像度の映像を再生するにはそれなりのマシンパワーが必要となる)、編集しようとなると話は別だ。Windows VistaやMac OS Xといった最新のコンシューマ向けOSでもAVCHDにデフォルト対応はしておらず、デジカメで撮影したJPEGのように自動でPCに取り込むことはできない。また、市販のビデオ編集ソフトでもAVCHD対応を果たしたものはまださほど多くない。
市販ソフトに関して言えば、「AVCHD対応」といっても実際の編集時には最初にAVCHDファイルを編集可能なファイル形式へ一時的に変換して、その上で処理するというものが多く、これではPCの高い負荷を与えるのは当然だ。
それぞれの製品に付属するソフトを使えば少なくとも撮影した映像の処理を行うことは可能だし、最近はようやくAVCHDに対応するビデオ編集ソフトも増えてきているとはいえ、処理はかなり重い。
例えばソニー「VAIO type A」(VGN-AR65DB)には「Adobe Premiere Elements 4」がプリインストールされているが、AVCHDの映像をそのまま取り込んで処理しようとするとプレビュー映像はカクカクするし、処理に待たされる時間も長い。
VGN-AR65DBはCPUにCore 2 Duo T8100(2.10GHz)、メモリを2Gバイトを搭載したモデルとはいえ、そのパフォーマンスはまだフルHDのAVCHDを快適に処理できる域には達していない。そのため、Premiere Elements 4では、わざわざ別のフォーマットに変換したプロキシファイルを編集するという手法も用意されている。
「Ulead Video Studio 12」や「Roxio Creator 2009」といったビデオ編集ソフトも同様にプロキシファイルを使う。デュアルコアCPUを搭載した高スペックなマシンでもAVCHD映像の編集作業には時間(というか根気)が必要なので、最初に変換の手間と時間はかかるが、プロキシファイルを使って処理するのが良さそうだ。
“Xacti”「DMX-HD1010」は.MP4(MPEG-4/H.264)、“Everio”「GZ-40HD」はMPEG-2での記録も可能なため、それらのファイル形式で録画すればAVCHDよりもPCで編集する際のハードルは低くなるが、フルHD映像を編集する限り劇的な違いとはならない。いずれにPCでフルHD映像を快適に編集したいと思うならば、処理能力の高いCPU、高速なHDDなどを用意して、PC環境を強化しておいた方がいいだろう。
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