この冬、ホームシアター用のフルハイビジョンプロジェクターがものすごいことになっている。何がすごいかというと、それはズバリ“価格”だ。昨年までは普及価格機でも50万円前後が主流だったフルHD対応のプロジェクターが、わずか1年でその半額近く、30万円前後で購入できるようになったのだ。
なかには20万円強で手に入る機種も登場しており、あこがれの“ホームシアター”が、にわかに現実味を帯びてくる。しかも最新モデルはかなりの明るさを持ち合わせており、部屋をある程度明るくしても楽しめる。今回は、そんな最新フルHDプロジェクターなかから、実売30万円以下のエントリーモデルに的を絞って、その実力をあらゆる角度から検証してみた。
まずは三洋電機の「LP-Z700」からリポートしよう。
「リビングで楽しむフルHD大画面」をキャッチコピーに掲げる「LP-Z700」(以下Z700)は、D7世代と呼ばれるフルHD透過型液晶パネルを搭載したエントリーモデル。上位機種の「LP-Z3000」に搭載されるD7C2FINEパネルとはひと世代の違いがあり、有機無機の違い(C2FINEが無機)があるほか、120Hz倍速表示やコントラスト比(Z700は1万対1)が異なっているものの、それ以外のスペックや機能面に関してはそれほど大きな違いがない、いわばハイコストパフォーマンス・モデルだ。
この価格帯でほぼ最新のフルHDパネルが搭載されているだけでも驚きだが、加えてZ700は1200ルーメンという明るさを確保。100インチ以上のスクリーンで、かつ間接照明などをつけたリビングルームであっても、美しいフルHD映像が楽しめる。
いっぽうでメーカーがこだわっているのが、ユーザビリティーと画質の両立だ。サンヨー製品は歴代調整幅の大きいレンズシフト機能を搭載しており、設置場所の自由度の高さには定評があるものの、レンズシフトを起因とする画質劣化がどうしてもつきまとっていた。それを解消すべく、Z700では「新リアルフォーカスFull-HDレンズ」を搭載。レンズシフト時であっても高精細でフォーカス感の高い映像を実現している。
エントリークラスでありながらも、決して手抜かりのないスペックが与えられたZ700。1年前ならこの倍、2年前であれば3倍のプライスタグがつけられていたかもしれない。コストパフォーマンスの点では、充分以上の納得度を得られるはずだ。
ボディーサイズは400(幅)×346(奥行き)×146(高さ)ミリと比較的コンパクトであるため、設置場所の自由度は高い。また操作系は上面と右側面、端子類は背面とシンプルなレイアウトとなっているため、設置の際に煩わしい思いをすることはまずないだろう。
何よりも嬉しいのが、投射距離とレンズシフト量に対する許容範囲の大きさだ。100インチスクリーン設置時で、投射距離は3〜6.1メートル、上下100%、左右50%のシフトが可能となっており、プロジェクターの置き場所に関しては、相当の自由度を誇る。
試しに床置きしてみたところ、スクリーン下端が床からおおよそ60センチ以下であればしっかり投射できた。これだけの自由度があれば、Z700をローテーブルの中に入れてもレイアウト的にはまったく問題はなく使えるはずだ。
ちなみにレンズシフトの調整はボディ右側面の上下/左右ダイヤルで行う。あえてダイヤルに少々の遊びが持たされているのは過去のZシリーズと同様だが、調整後にロックできる機構が用意されているため、使い続けているうちに調整が狂い頻繁に再調整しなければならないといった煩わしさはない。なおピントとズームは、レンズ外周に備え付けられたリングとバーを手動で操作することになるが、どちらも動作がスムーズだったので調整は容易だった。
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