映像の印象はというと、コントラストのはっきりした、メリハリの良い絵作りが特徴的。上位モデルや他社製品に対して、階調感のきめ細やかさがあまり感じられないものの、ホワイトのエネルギー感が強く、黒浮きも視覚的にあまり目立たないため、とてもダイレクトな印象を受ける。
今回の視聴では、オートアイリス(映像によってネイティブに明るさを調整する機構)を強くしたり、オフにしてみたりも試してみたが、多少階調の細やかさに変化が生じるものの、どの設定にも一長一短があり、いずれがベストかは断言しにくかった。色合いの設定も含めてデフォルトを基本とし、部屋の明るさや環境、好みによって微細な範囲でコントロールする程度が無難だ。
一方、絶対的な明るさに関しては、文句がないどころか、かなりのアドバンテージを持ち合わせていた。今回のテストでは意地悪く、新品の30型+40型蛍光灯を点けて明るさをチェックしたが、「ダイナミック」モードを利用すればそんな劣悪な状態であっても何とか映像を確認することができた。この明るさははっきりいって驚き。間接照明であれば、本を読める程度の明るさでも充分鑑賞にたえられるだろう。
こういった明るい部屋でもフルHDならではの細やかな絵作りを堪能できるモードとして、「ブリリアントシネマ」が用意されている点も好印象だった。明暗の中階調はだいぶ粗くなるが、もともとメリハリがしっかりしているため、条件の良い=部屋を暗くしている状態に比べて、それほど見栄えに見劣りを感じないのだ。このあたりのセッティングの妙には、関心させられるばかりだった。
1200ルーメンという明るさと、1万対1のコントラストを有するフルHDパネルを搭載しながらも、20万円台という低価格を実現したZ700。決して高性能機ではないが、フルHD映像の良さ、大画面の素晴らしさを充分感じさせてくれる実力派であることは確認できた。
フルHDプロジェクター歴の長い、こだわり派ユーザーには物足りないかもしれないが、リビングや自分の部屋で気軽にホームシアターをスタートさせたいと思っているプロジェクター初心者にはうってつけ。映像と使い勝手の両面で、それだけの魅力をZ700は持ち合わせている。
品番 | LP-Z700(W) |
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パネル形式 | 有機液晶パネル0.74型×3枚、アスペクト比16:9 |
投映レンズ | 手動ズーム・フォーカス(1〜2.0倍)、F2.0〜F3.0、f=22.6〜45.3mm |
光源 | 165ワットUHPランプ |
画面サイズ | 最小40型〜最大300型 |
投射距離(100インチ) | 3.0〜6.1メートル |
有効光束(明るさ) | 1200ルーメン(ダイナミックモード選択時) |
コントラスト比(全白/全黒) | 1万:1(ダイナミックモード選択時) |
騒音レベル | 21dBA(ランプモード:シアターブラック選択時) |
映像入力端子 | HDMI端子×2(HDMI 1.3b Deep Color対応)、コンポーネント(Y-Pb/Cb-Pr/Cr)×2、S端子×1、RCAビデオ端子×1、ミニD-sub15ピン×1 |
消費電力 | 246ワット(待機時 0.5ワット) |
外形寸法 | 400(幅)×346(奥行き)×146(高さ)ミリ |
質量 | 7.5キログラム |
今回のテストには、わが家の自称「極小シアタールーム」を使用。広さは6畳程度であるものの、スクリーンは16:9、100インチのキクチ「ホワイトマットアドバンス」を使用。スピーカー下の床を抜いて地面から直接重量ブロックを積み上げたり、両サイドの壁面に反響板を設置して音響特性をそろえるなど、ホームシアター系のテストにはおおよそ適した環境となっている。
この部屋を縦長に使用し、スクリーンの対向面にある棚にプロジェクターを設置。レンズシフト機能を使って最適な投射に設定することで、ごく一般的なパターンの利用方法を再現している。またプロジェクターとプレーヤーはオーディオテクニカ製の高級HDMIケーブル「AT-EDH1000/1.3」(2万3625円)を使用してダイレクトに接続。音声は光デジタル出力とした。また各機器はオーディオテクニカ製の電源タップ「AT-PT707」(オープン価格)に接続、配線や電源による音質の劣化も最小限にとどめている。
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